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2024年度パタゴニア×COJ「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ」開催レポート

話すこと・聴くことで仲間がいる!と力づけられた2日間

2024年6月29日(土)・30日(日)に、パタゴニア日本支社と共催で、Charities Aid Foundation America (CAF America)の助成を頂き、パタゴニア日本支社の環境助成金プログラムの助成を受けて活動している2チーム11人に対してオンラインワークショップを開催いたしました。

今回のワークショップに参加しているチームは、地域の貴重な自然や生物を守り、後世に残していくための活動をしている点が共通していました。ワークショップを通じて自分たちの活動に深く向き合うだけでなく、活動する地域は異なれど、近い価値観や関心を持っている他の参加者の日々の悩みや活動に対する思いに触れ、刺激を受けることで、明日からの活動への活力や勇気をお互いにもらっている姿が印象的でした。

他の人の話を聴くことで、お互いの持つ価値観の違いと重なりに気づくことができた

1日目は、コーチング、ストーリー・オブ・セルフ、関係構築、リーダーシップチームの構築を学びました。

コーチングのパートでは、質問や言い換えを通じて、個人が自身の課題を見つけ解決策を考えられるように支援する手法を学びました。最初のワークで何をしていいかとまどう参加者もいましたが、「自転車に乗る感覚」を大切にして転びながらでも前に進んでいこうというコーチの声かけに勇気づけられながら積極的に学びを深めようと取り組んでくれました。

参加者からは「普段はアドバイスしてしまいがちだったことに気づいた。アドバイスをしないで質問をすることで、相手が抱える課題が早いスピードで見えてくる」という学びの共有がありました。

ストーリー・オブ・セルフでは、価値観が感情を介してつたわると人は行動したくなるということを学びました。演習では、現在の活動への原動力がどこから来ているのかを過去の自分自身の経験を振り返りながら探り、困難を感じた状況やその際の選択、その結果得られた希望や価値観を一貫したストーリーとして語ります。参加者からは他のチームの人のセルフを聴きながら、自分たちの置かれている状況と重ねて共感し、行動するエネルギーをもらえたという感想を聴くことができました。また、「いつもはここまでじっくり皆の話を聞けていない。1対1でもこうやって話せていくと気持ちがほぐれていきそう」普段活動を一緒にしている他のメンバーからも思いを聞いてみたい」など、今後自分たちの活動の中でも使っていける手応えを感じていることも伝わってきました。

関係構築リーダーシップチームの構築では、まずは一対一で、その後チーム全体で価値観で繋がる関係を築くための演習に取り組みました。共有する価値観、関心を見つけ出し、その関心事り、同じような価値観でも話を聞いてみると違うなということに気づけたりしました。チーム毎の演習では価値観として出た「豊かさ」というキーワードに対して、それぞれが自分の考える豊かさや価値観を共有しながら議論を白熱させていたのが印象的でした。そんな中でも「共有する価値観」が見つかったことで「ベクトルが揃い、活発な活動になりそうで楽しみだ」という感覚を抱くこともできました。

リーダーシップチーム構築の最後ではチームの一体感、エネルギーを高めるための「チャント」づくりにも取り組みました。自分たちの活動のシンボルとなる生き物の名前など、心を一つにできる言葉を取り込み、全身で表現をしました。難しい議論に限られた時間の中でとりくみ、疲れも伺えるメンバーでしたが、チャントを通じて一気に表情が明るくなったのを感じます。

1日目全体の振り返りでは「他の人の話を聴くのがすごく気づきにつながる」「普段活動していて、当たり前だと思っていたことにも、コーチの素朴な質問で気付かされることがあった」という感想が共有されました。また、各演習の内容だけでなく、時間を決めて取り組むという姿勢など、自分たちの活動に活かせそうなポイントをたくさん見つけていただけたようです。

戦略や思いを言葉にし、共有することでパワーにつながるということを実感できた

2日目は、戦略、パブリック・ナラティブ(ストーリー・オブ・アス、ストーリー・オブ・ナウ、ストーリー・オブ・セルフをつなげたもの)について学びました。

戦略の演習では、前半に困難に直面する「同志」は誰かを定め、その困難が解決された状態を「戦略的ゴール」として設定し、そのゴールに至るためにどのように働きかけるかの「変革の仮説」を立てていきます。後半にはそのゴールを達成するための具体的な「戦術」のリストを作り、最後に自分たちの「キャンペーン」として発表を行います。頭をフル回転させるハードな演習ですが、自転車に乗りながら社会を変革させる具体的な手法を体感しながら学んでいくコミュニティオーガナイジングの醍醐味の一つです。

自分たちの地域を取り巻く課題の構造や、巻き込みたい人たちの顔を具体的に思い浮かべながら課題に臨む参加者の姿がパタゴニアのワークショップならではの光景で、参加者の本気度に引っ張られてコーチや講師の熱量もどんどん上がっていきました。最後に各チームで練り上げたキャンペーンの発表を聞いた時には「楽しそう!」「遠くてもぜひ現地に行って参加したい!」という声が飛び交いました。

2日目の最後の演習はパブリック・ナラティブで、1日目に考えたストーリー・オブ・セルフとこの場にいる「私たち」の共有する価値観を語る「ストーリー・オブ・アス」、今どのような緊急の課題がありどのような変化を起こしたいかを訴えかける「ストーリー・オブ・ナウ」を結びつけて、目の前にいる人にアクションを求めるためのストーリーを作ります。

2日間で自分自身の価値観や、誰のどんな課題を解決したいと思っていたのか振り返ることで、自分の活動の原点に立ち帰りさらに感情がこもったストーリーを聴くことで目頭を熱くしながら、語りかけることの力を改めて感じることができました。

自分たちの大切にしている価値観を信じ抜いて駆け抜けた2日間!

2日間の学びを通して、最後に共有してもらった参加者からの声をいくつかご紹介します。

  • 問題解決をするための方法論を学べるワークショップはなかなかない。活動をしているとチームの中で分断が起きたりするがそうならないように学んだことを生かしていけると思う。今の活動は多くの人が仕事でやっているわけではないし、いろんな形で参加している。いろんな人の、いろんな違いをまとめてやっていくことが、成し遂げたいことを実現するためにも必要だなと思った。
  • 考えや思いを言葉や文字にすることでこれからの具体的な行動が明確化してきた。言葉を共有することでパワーにつながるということを実感できた。
  • 自分の中で断片的だったことを整理できた。また、他のチームの方々の話を聞いて仲間がいる!と力づけられた。
  • 価値観を共有することと、誰もが想像できるゴールの設定が大事だと感じた。同志が誰なのかをよく考える必要があることを学んだ。同志が変わるとアプローチ方法も異なってくると思った。

2日間駆け抜けてくれた参加者の皆さま、お疲れ様でした!

頭も心もたくさん使って、とてもハードな2日間だったと思いますが、「早速持ち帰って自分たちのチームで実践したい」と具体的なアクションを共有してくれた顔はとても晴れやかでした。明日からの自分たちの活動にも希望や手応えを感じてもらえたのはとても嬉しい限りです。

今回参加してくれた2チームには、これからもCOJとしてパタゴニア日本支社と連携しながらコミュニティ・オーガナイジングの実践の伴走をしていきます。ぜひ実践のなかで一緒に学びを深めていきましょう!

レポート:矢野夏樹(コーチ)

※満員御礼・キャンセル待ち受付中※【第13回オンライン】COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ

<キャンセル待ち案内>

ご希望の枠が満席で申し込めない場合は、次の手順でキャンセル待ちの登録をお願いします。
 
・メール送り先:yuka.kiyama★organizing.jp(COJ 木山)(木山)※メールを送る際は★を@にご変更ください
・タイトル:【キャンセル待ち申込】7月19日・20日 オンラインワークショップ
・記載内容:名前(フリガナ)、メールアドレス、連絡の取れる電話番号、希望枠(一般or学生)
※学び直し枠希望で、一般枠に空席がある場合は、確実に参加できる一般枠にお申込みいただくようお願いします。
 
【お願い】迷惑メールの設定によっては、COJからのメールが届かない場合があります。お心当たりの方は、COJからのメールを受信できるようにドメイン指定受信で「organizing.jp」を許可するように設定してください。

 

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「なにかおかしい。でもどうしたらいいかわからない」そんなふうに感じたことはありませんか?

このワークショップでは、そんな想いを「行動に変える方法」が学べます。

申込はこちらから!

5月30日(金)17時までは早割期間です。この期間に是非お申し込みください!。

 

コミュニティ・オーガナイジングとは、仲間と思いを共有し、それぞれが持っている力を合わせて行動することで社会を変えるための方法です。
このワークショップは2日間で、社会の変え方を理論的・体系的・実践的に学びます。具体的には、講義を聞き、チームに分かれ演習し、振り返りをする、という流れで学んでいきます。

世の中に対して「なにかが変だ」、あるいは「なぜだか生きづらい」そんな気持ちになったことはありませんか?

そして、「でも仕方ないよな」と諦めの気持ちを持ったことは。

「社会を変える」なんて大それたこと自分にはできっこない、「変えたい」とは思うけど、どうしたらそんなことできるのだろうか…
こんな風に思っている方もいるかもしれません。

「仕方がない」から「自分もなにかできるかもしれない」、「仲間となら一緒にできるかもしれない」そんな希望を一緒に感じませんか?

ワークショップに参加し、変えられる!という希望を感じたみなさんと一緒に、より良い社会を作っていきたいです。ご参加お待ちしています。

 

2025年2月15日、16日【第12回オンライン】COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ開催レポート

2025年2月15日(土)、16日(日)に第12回目のオンラインワークショップを開催いたしました。市民団体、各種法人・組合、医療機関など、異なる背景を持つ様々な地域にお住まいの参加者27名と運営スタッフ23名が、コミュニティ・オーガナイジング(以下、CO)を学びました。

ワークショップのスタッフをやってみようと思った理由

今回、初めてコーチとして関わりました。ワークショップに参加したのが2024年の2月。一年後、まさか自分がコーチとして関わっているとは思ってもみませんでした。参加してからの1年間、COを通していろいろな人と出会うことができ、学んできたことをアウトプットしたいと思い、今回、コーチとして関わることを決めました。

結果として、アウトプットするだけでなく、改めて学ぶ機会をもらったような感覚です。

価値観でつながり、チームとなる

COのワークショップは、COの考え方や手法を講義で聞き、実践を通して学んでいく構成になっています。

1日目は、お互いの価値観を共有し、チームを作るプログラムになっています。自分が大切にしていることや、その基になった経験を、質問によって引き出し合い、共有していく中で、いつの間にか初対面のメンバーが一つのチームになっていきます

質問で引き出す、は意外と難しい

最初に学ぶコーチングでは、5つのステップや手、頭、心の観点から、相手の考えを引き出す質問をしていきます。

しかし、これが意外と難しいのです。参加者は、相手が何を考えているのか、自分は次にどのように進めたらいいのかを意識しながら質問を投げかけなければなりません

ワークの後、参加者からは「やってみると難しい!」「頭が疲れた!」「落ち着いて聞けなかった!」といった声が多く聞かれました。ここで質問する姿勢を身に付けていくことが、この後のワークの基盤となっていきます。

ストーリー・オブ・セルフを語る

コーチングの後は、個人的にCOで最も重要だと思う、ストーリー・オブ・セルフの時間です。コーチが語るストーリー・オブ・セルフも参考にしながら、参加者は自分の中で大切にしていること、そしてその価値観とつながる経験を、同じチームのメンバーに具体的に語ります

短い時間の中でまとめられるものではありませんが、コーチの質問に応えながら、参加者それぞれが自身のストーリーを語りました。コーチたちも何度も修正を重ねてストーリーを作り込んでいることも、コーチになって初めて知ったことです。

 大切なことは、経験した場面の情景を相手がイメージできるように語ることです。最初は初対面の人にどこまで話していいか分からず、緊張感も漂いましたが、参加者からは

  • 「聞いてもらえてよかった」
  • 「聞いてもらえたからこそ、安心感が生まれた」
  • 「自分の中で大切にしていることが何かを改めて考える機会になった」

という感想も出てきました。ストーリーで語ることは、相手の感情に訴えかけることでもあります。練習していけば、自分が何かを決断する場面、新たなチャレンジをする場面、仲間を見つけていく場面など、きっと様々な場面で役に立つと思います。

同志は誰か、同志の課題は何か

2日目は、チームが目的を達成するために、同志(課題に直面していて、一緒にゴールを達成した人々)と共に何をするのか、どのように行動していくのかを、参加者全員で情報や意見を出し合いながら進めていきます。一緒に課題解決していきたい同志を具体的に挙げ、ゴールを設定し、達成していく流れ(=キャンペーン)を作っていきます。


2日目も各ワークの要点と具体例を講義で確認しながら、演習を通して学びました。 参加者は、自分たちが普段、支援している相手や、共に課題に向き合う人を多く挙げることはできても、その人たち自身が自らの力で課題を解決し、活動をより大きなものにして、目的を達成するための計画を立てる方法は、なかなか学ぶことはありません。

2日目のワークでは、同志は誰なのか、同志が何を求めているのかを整理し、ゴールに向けて、どんなやり方でゴールを達成していくのかを学びます。

エネルギーが湧き出るキャンペーン

そして、設定したゴールを達成するためのキャンペーンのタイムラインや具体的な戦術を検討する時間は、とても創造的で楽しいワークになりました。お互いのアイデアや資源を掛け合わせることで、本当にゴールが達成できると思える、エネルギーが湧いて来そうだと思うキャンペーンがいくつも生まれ、ゴールを達成するまでのタイムラインになりました

参加者からも、「本当にやろうと心の底から語り合えたから、やりたいと思った。」という感想を聞くことができました。

学びを咀嚼し、言葉にする

2日目の後半は、パブリック・ナラティブを学び、語ります。各チームから一人ずつが、チームのキャンペーン、自身の価値観、参加者全員が体験してきたことをストーリーとして語りました。

語ることで、自分たちのキャンペーンが、自分とチームにとって、そして、このワークショップの参加者にとっても意味があることだと伝えるのです。

オンラインのワークショップでは、なかなか参加者が一堂に会して話すことが難しいのですが、それぞれが同じワークを経験してきたこともあり、各チームの発表後は多くの人がチャットやリアクションで声援を送りあいました。

お互いに、「ここまでたどり着いたことに、おめでとう」と、「一緒に頑張ってくれて、ありがとう」そして「これからも頑張ろう」という声を掛け合っているような雰囲気の中で、不思議な一体感が生まれました

コーチとして関わって、2日間、いろいろあった中で、一人ひとり、咀嚼しながら得たものを言葉にしていくのは、本当にすごいなと思いました。

一人ひとりのチャレンジと、チャレンジを応援するということ

一年前の自分がそうだったのですが、参加された皆さんは、あっという間に二日間が過ぎていった印象を持たれていると思います。

コーチとして関わって改めて気づいたのは参加者一人一人が自転車を一生懸命漕いでいること、チャレンジしていること、そして、そのチャレンジをコーチをはじめ、スタッフ全員が支えているということです。

コーチは参加者の答えを一緒に見つけていくことしかできません。関わる中で各ワークの意味やポイントをできるだけ寄り添う形で伝え、ゴールに辿り着けるように一緒に取り組みます。参加者の人数に対してコーチの人数が多いことは、このワークショップの特徴だと思っていますが、参加者一人一人と向き合い、フォローしていくには必要な人数なのだと感じました。

価値観でつながると、グッと距離が近づく

また、ワークショップのポイントについては、我々は価値観に基づき、つながりを作っていくのだと再認識できました。ワークショップにはさまざまな動機、背景、関心を持った人が集まります。そんな人たちがチームになり、キャンペーンというアウトプットを作れたのは、「自分のことも、相手のことも大事にする」、「未来をもっとよくしていきたい」、「今を変えていける可能性を自分たちが持っている」という価値観をみんなが持っているから、つながりあって出来たのだと思います。

自分の価値観を伝え合うことはなかなか難しいことでもありますが、伝わった、繋がった!と感じられると、途端に相手との距離がグッと近くなり、自ずと何を自分たちでやっていくか?が見えてきます。この感覚は、ぜひ覚えていてほしいと思っています。

次回、コーチとして参加する際にも、参加してくださる方たちが価値観でつながり、キャンペーンというゴールに至れるように、一人一人に、向き合っていきたいと思います。

レポート:古川貴啓(コーチ)

荒川 隆太朗

大阪生まれ大阪育ち。大阪市や門真市、豊中市などでNPOの中間支援で4年間勤務。同時に学童保育の指導員や子どもの居場所づくりの支援を行う中で不登校児に対する支援の必要性を感じ、豊中市でフリースクールを設立。また、大学在学中から6年ほど心理学を独学で学びつつ、対話的な実践を通じて人が癒えていくプロセスを探求中。
NPO、教育、心理の文脈から小さな街でのコミュニティ・オーガナイジングの実践を通じて、個人と社会の変容に関わっている。
NPO法人Gift 副代表理事
NPO法人クレイシュ監事

菅野 暁子

ワークショップに参加した動機は?

コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(以下、COJ)のワークショップに初めて参加したのは2020年の9月、オンラインでの開催でした。終わった直後の感想は「付いていこうとすることが精一杯…。変えたい人たちが集まるとこんなに一体感と推進力を感じることが出来るんだ」。変化が起こせるかもしれないという希望と自分には難しいという落胆が交じり合った何とも言えないものでした。
幸いにもチャンスに恵まれて、その後も諦めずに学び続けることが出来ていましたが、学んだことを現場に活かすには現場の仲間に「伝わらない」ハードルを感じていました。
伝えるにはどうしたらいいのか。そもそも自分は何を伝えたいのか。今振り返るとそのことをクリアにしたくて、今回参加を決めた気がしています。

ワークショップに参加した感想は?

参加前にモヤモヤしていたものがすっきりした気がしています。ストーリー・オブ・セルフ・ストーリー・オブ・アス・ストーリー・オブ・ナウをそれぞれじっくり深める中で、自分自身が何に緊急性を感じ、それはなぜなのか。そしてどんな仲間と力を合わせたいと思っているのか。そのことに向き合えた感じがしています。
行動したい原動力を他のどこでもない、自分自身の中に発見できたことに喜びを感じました

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

答えを学ぶのではなく、物事のとらえ方を学び、ワークという名の実践を通して経験の中で深めていく。ワークショップの参加経験は多いとは言えませんが、COJのワークショップは実践型だと思います。
1回のワークショップで完結するわけではなく、ワークショップでの経験が次の挑戦につながるというような、広がりを感じます。
COJワークショップのなかでは時折オーガナイジング・ジャーニーという言葉が使われますが、正にそんな感じでワークショップで一つの模擬旅行を経験し、現場にもどって実践してみる。そしてまたワークショップで学びを深めて現場で挑戦する。COJのコミュニティがあるからこそ挑戦し続けられるのだと思っています。

パブリック・ナラティブを今後の活動にどう活かしたいですか?

ワークショップに参加した仲間と一緒にパブリック・ナラティブを1日かけて学ぶことで、行動を阻害する感情を乗り越えるには自分や相手の心の中にそれを上回る感情があることに気づくことが大事なんだと実感しました。
自分の中の原動力に気づけたことも大きな成果ですが、一緒にワークショップで学んだ仲間の言動にもものすごく励まされたし、お互いの感情や経験を共有することで、行動したいという思いがより強くなるという経験が出来ました。
今後は現場で周りの反応を恐れず、自分の経験・感情(セルフ)を伝えていきたいです。フィードバックをもらい、相手のことを知る中で「私たちならできる」(アス)を見つけ、行動するなかで希望(ナウ)を見つけたいです。セルフ・アス・ナウを価値観でつないで行動する勇気を呼び起こすように、現場の仲間とパブリック・ナラティブを学び、語れるようになっていきたいです。

宮 由衣

ワークショップに参加した動機は?

コミュニティ・オーガナイジングについては以前から関心があり、本などを読んで独学で学んでいました。今回は私が伴走者として関わる休眠預金活用事業において、支援対象となった5団体への共通プログラムとしてコミュニティ・オーガナイジング研修を提供することになり、事業担当者として学びを深めるために参加しました。

本事業は各地域のこども食堂のネットワークづくりに取り組む団体である「こども食堂地域ネットワーク団体」が新たに生まれ、地域で協力者や支援を得ながら持続的に活動できるよう伴走するもので、「私たちの物語」を紡ぎ同志をオーガナイズするコミュニティ・オーガナイジングの手法や考え方は、支援対象団体が活動を行う上で大いに役立つのではないかと考えたのです。

ワークショップに参加した感想は?

とにかく盛りだくさんなワークショップでした。コーチングやストーリー作り、チームでの関係構築や周囲を動かすための戦略作りなど、よく2日間でこれほどの内容を学びきれたなと、自分自身を褒めてあげたい気持ちになりました。

参加者同士でのワークが中心だったこともあり、本を読んだだけではわからない「活動」の温度感を感じながら学ぶことができたのも良かったです。参加者もみんなそれぞれの目指す社会像を持ち、活動していたり想いをあたためていたりするメンバーで、2日間という短い時間の研修にも関わらず、本当に「一緒に社会を動かしてみたい!」という気持ちにさせられたのは、私だけではないはずです

またコーチの皆さんの、このワークショップにかける情熱や参加者に対する期待値の高さも、初対面の参加者を初日からぐっと近づけ、心をオープンにさせてくれた要因のひとつであったと思います。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

良い意味で「整いきっていない」ところかなと思います。このワークショップでは資料もテキストも提供されますが、「決まった内容を教える」のではなく、「とにかく経験する、体験する」ということに重きが置かれているように感じました。2日間のワークショップを終えた時の感想は、「やりきった!」というよりも、「時間をかけてここでの学びや感じたことを咀嚼し、自身の活動に落とし込んでいきたい」というものでした。

そのくらいのボリューム感があり、なおかつ一筋縄ではいかない生き物である「活動」を取り扱っていたことが特徴的だと感じました。本当にしっかりと落とし込んで理解しようと思うと、1週間はかかるであろう内容のエッセンスを、2日間にぎゅっと詰め込んだからこそ、参加者も短い時間で打ち解け、熱量の高い時間を共に過ごすことが出来たのではないでしょうか。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

前述した休眠預金活用事業の支援対象団体である5団体への伴走では、コミュニティ・オーガナイジング研修を共通プログラムとして提供します。その中で、コミュニティ・オーガナイジングが「共有言語」となり、さらに各地域で実際にその手法を用いて同志をオーガナイズしたり、仲間を増やしていく過程も含めて伴走していきます。

2年間という長いようで短い伴走期間の中で、今回学んだコミュニティ・オーガナイジングの考え方を活かし、またその他のプログラムとの相乗効果も図りながら、地域での実践に繋げていければと思います。また、採択先の団体以外にも、全国には400団体以上のこども食堂ネットワーク団体(都道府県域・市区町村域・圏域含む)があります。彼らのつながりづくりやピアラーニングを促し、学び合いの場を作るのも本事業で目指しているもののひとつですので、そうした広がりも視野に入れながら、今回のワークショップでの学びをひとつひとつ実践に繋げていきたいと思います。

平田聖子

ワークショップに参加した動機は?

わたしたちが支援させていただいている生活困窮状態にあるみなさまのほとんどが、“孤立無援状態”で頼れる人がいなかったり、利用できる制度を知らない状態です。そのため相談後に必要な制度や社会資源にお繋ぎしたり、シェルターのご提供をしています。しかし、そこから孤立状態は変わらず、お困りごとを再びひとりで抱えて、しばらくすると困窮を繰り返し、再度わたしたちのもとにSOSを出すという方が一定数いらっしゃいます。

そこで、「つながりつづけられる場所」の必要性を強く感じ、2023年の夏から居場所づくりを始めました。居場所づくりをする当初から、支援する側/支援される側という垣根のない、“おたがいさま”という気持ちを大切にした居場所づくりを心掛け、つながりつづけることだけでなく、メンバーの強み、本来持つ力を引き出していけるような場をみんなで創っていきたいとゼロからスタートしました。

最初はやはりみなさん受け身といいますか、主体的ではなく、細々と試行錯誤しながらの日々でしたが、いまでは自主的に準備や片付けの協力をしてくれたり、料理〜手芸、表現活動、ボクシング、月例ミーティングなど、みんなの力が合わさって色んなことをやるようになって、お部屋いっぱいに人が集まるようになりました。

ここに集まるメンバーそれぞれ、さまざまな苦労を抱えていますが、個性豊かでほんとに面白い人達で、そんなみんなと自分たちの身近な困りごとを自分たちの力で解決していけたらいいな〜って、ずっと考えていました

そこで、たまたまネットで『コミュニティ・オーガナイジング』の黄色い本を見つけて、読んで、「これだ!!!」と(笑)しかも今週末ワークショップがある??よし!これはワークを受けて取り入れたい!!と思って参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

『コミュニティ・オーガナイジング』の黄色い本の大まかな部分を読み終えた日が、ワークショップの開催2、3日前?で、ちょうど申し込み締切日だったんです。それで急ぎ申し込んで、テキストが前日に届いて…事前学習をする余裕が全くありませんでした。

事前予習に時間をかけられなかったのもあるし、わたしの飲み込みが遅く、分刻みの時間管理の中で理解が追いつかなくて困る場面は多々あり(汗)、また元々論理的に考えたり、パパっと言語化するのが苦手なので、2日間苦手なことに挑戦してる感覚で緊張感を持っていました。

実際にワークに取り組んでみて、コミュニティ・オーガナイジングの理論や戦術を取り入れながらコーチやチームのみなさんと一通りの流れを練習することで、具体的で実戦的な感覚をつかむことができたと思います。チームで共有できる価値観を見出すことで、関係構築(仲間としての一体感)を感じられ、上手くできなくても大丈夫だと、安心してワークを受けることができました

ワーク後もコーチに相談にのってもらったり、丁寧なアフターフォローをしていただけて、コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンのみなさんとつながりを持てたことが何よりの収穫だと感じています。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

生活困窮者(当事者)自身が、貧困問題において声をあげるということが世論から批判され、厳しい声を受けることがあります。そのようなことから貧困問題の界隈では支援者が当事者を守り、代弁するということが主流になっています。

わたし自身、困窮し生きづらさを経験してきた当事者でもあるのですが、支援者が主体となって問題解決していくことに、どこか「悔しい」という気持ちが拭えません

誰か強い力のあるヒーローみたいな人がなんとかしてくれるのを待ちながら、どうにもならない社会を、日々を、不平不満を言いながら終わらせたくないし、自分には何もできないと思ってる人達(わたしも含めて)に、「そんなことないよ」って、「自分たちの力で変えられることがあるんだ」ってことを、まずは所属団体の居場所のメンバーのみんなと小さなことから、自分たちの力で解決していくためにコミュニティ・オーガナイジングを活かしていきたいと考えています。

川村美湖

ワークショップに参加した動機は?

私がコミュニティ・オーガナイジングに出会ったのは高校2年生のときでした。当時は生徒会の活動に力を入れていました。「生徒会長として生徒会役員や学校を引っ張っていくぞ!」という強い想いのもと自分なりに一生懸命仕事をしました。

しかし、気持ちだけでは上手くいきませんでした。ただ空回りするだけで、理想としていた「それぞれの生徒会メンバーが生き生きと楽しく活動する生徒会」の姿とはかけ離れていました。精神的にも疲れ、生徒会室から足が遠のき始めたころ、学校の図書館でたまたま出会ったのが「ヨノナカを変える5つのステップ:マンガでわかるコミュニティ・オーガナイジング」という1冊の本でした。

最初は生徒会の運営に役立てるために手に取ったわけではありませんでしたが、読み進めていくうちに、「今の生徒会と同じ状況だ」「今度の話し合いで実践してみよう」とたくさんの気付きがありました。この本との出会いをきっかけに、私はコミュニティ・オーガナイジングをもっと知りたいと思い、このワークショップに参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

コミュニティ・オーガナイジングは、私たちに勇気を与えてくれるものだと感じました。たった18年間しか生きていない私でさえ、世の中のいろいろなことにモヤモヤした経験がたくさんあります。でも、そのモヤモヤを抱えたまま過ごしてきました。「私みたいなちっぽけな存在が行動したところで何も変わらない」と思っていたからです。

しかし、「私みたいなちっぽけな存在」も、実は世の中を変えることができます。それこそが、コミュニティ・オーガナイジングなのだと学びました

そして、私たちは一人ではありません。私はこのワークショップに参加して、年齢や職業に関わらずたくさんの人にコミュニティ・オーガナイジングを知っていただきたいと思いました。特に、学校生活の中で様々なことを経験して日々葛藤している中高生に学んでほしいと思います。あなたの感じているモヤモヤは、あなただけのものではありません。我慢するのではなく、仲間と一緒にその状況を変えることができるかもしれません。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

最初は「高校生の私が大人と一緒にワークを進められるのだろうか」「社会経験不足で、他の参加者の足を引っ張ってしまうのではないか」と不安でした。しかし、ワークショップが始まる前からスタッフの方がこまめに連絡を取ってくださったことで安心して参加することができました。

また、ワークショップの雰囲気も温かく質問や意見を発信しやすい環境でした。そして何より、運営の方も参加者の方も「変化を起こしたい」という同じ想いを持つ同志であり、そのような方々と出会えたことは、とても貴重な経験でした

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

このワークショップを通して「私たちはひとりじゃない!ヨノナカは変えられる!」と強く思いました。

どんな仕事をして、どんな人と関わって生きていくことになっても「コミュニティ・オーガナイジング」は私のお守りになると思います。

私自身、人間関係やコミュニケーションの面で苦手意識があり、自分の性格に嫌気がさすることもあります。でも、そんな私でも周りの人や社会に対してなにかできるはず、と思わせてくれたのがコミュニティ・オーガナイジングです。

今までも、きっとこれから先の人生でも、たくさん悩んで壁にぶつかることと思います。そんなとき、自分自身や周りの人に「ひとりじゃないよ」「いろいろありすぎる世の中だけど、なんとか一緒に生きていこうよ」と伝えられる人間になり、お互いの人生や挑戦を支え合って応援し合えるコミュニティ、そして声を上げた人を後悔させない雰囲気や環境を作っていきたいと思います。

堀川結以

ワークショップに参加した動機は?

きっかけは、職場の身近な先輩が「受講してよかったよ~」と話しているのを聞き、ちょうど自分が労働組合に入職してまもないタイミングだったこともあり、少しでも役立つスキルを学びたいと思い参加を決めました。

ワークショップに参加した感想は?

第一の感想としては、毎日普通に社会人生活を送っている中ではなかなか感じることのできない「人の熱量に触れられる」めったにない機会だったと感じます。土日に時間を作って参加して本当によかったです。

私が参加した回には、すでに社会活動に取り組んでいる方、将来的にそういった活動に取り組みたくて、何か手がかりを探しに来ている方、また、私のように非営利組織で働いている方もいらっしゃいました。COとは何か、という概念のベースの部分から説明があり、ワークに取り組むにあっての共通認識がそこで育まれたのがよかったと感じます。

ワークショップでは、人の悩みや課題を聞いて、今後どう動いたらいいかを相手自身に考えてもらいながら一緒に課題解決へと歩む手法「コーチング」を実践形式でトレーニングしたり、自分の価値観を言語化して、人に伝える「ストーリー・オブ・セルフ」の演習、一つのプロジェクトが軌道に乗る過程を、チームごとに体感するグループワークなどがあり、非常に密度が高い時間を過ごすことができました。

「ここから何か学んで、自分の所属する組織に持って帰ろう」という意識が大切なので、それさえ持っていれば、得られる知識や新しい気づきが必ずあると思います。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

①ワーク中に介入してくださるコーチの方の指摘が的確で勉強になりました。

②みなさん熱意を持って参加されているので、その方々の意見を聞けたことで、物事を見るときの自分の引き出しが増え、大変有意義でした。

タイムマネジメントの重要性を再認識しました。短い時間でも、きちんと複数人で時間管理の意識を持つことで、こんなにもプロジェクトが前進するのか、と感動をおぼえました。どんな仕事も限りある時間と資源のなかで進めなくてはならないので、終わりを意識しながら取り組むことで、その時点での最高のものが生み出せるということが再度分かっただけでも、私にとってはいい刺激になりました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

今回のワークショップで学んだなかで、実生活でどんどん取り入れて、スキルとして磨いていきたいと感じたのは「コーチング」です。

ワークショップでコーチングをやってみて、人が心の奥で抱えている悩みに気づき、解決に導いていけるように質問を投げていくことがどれだけ難しいことか分かりましたが、労働組合の職員としてこれからも伸びていくためには人の話をどれだけ深く聞けるか、という部分も必要な資質の一つと思いますので、これから意識的に活用し、相手方の課題が少しでも軽量化するよう働きかけを行っていきたいです。

井上正貴

ワークショップに参加した動機は?

以前、このワークショップに参加したことのある方からコミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(以下、COJ)を紹介されました。その方と同じような研修をやってみようと企画しましたが、実現できませんでした。企画する中で、技術を磨きたいと思い、コミュニティ・オーガナイジングを学びたいと思いました。

技術とは、人を救いうるもの。何らかの困難な状況に変化をもたらすもの。ながらく膠着している地域の現状に変化をもたらすのは、ひとりのリーダーだけでなく、複数のリーダーによって運営されるチームだと思います。

まさにコミュニティ・オーガナイジングがそのために必要な手法であり、参加は必然でした。膠着している状態を招いているのは、膠着している自分かもしれない。「ふつうの自分」を認めて、「ふつうの自分」を変え始める。そのきっかけとして、ワークショップに参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

ひとことで言うと参加してよかったです。特に良かった点としては、時間的な制約があることで参加者全員が協力しあい知恵を結集できたところです。

ワークの中では、実際の活動で困難を抱えている方のテーマを中心にし、このワークショップで知り合ったチームメンバーで力を合わせ、その課題の当事者自身が課題を解決できるためにどうすればいいか知恵を絞りました。そして、当事者自身も「支える側」となり、輪が広がっていくようなキャンペーンを考えました。

このような体験は初めてでした。よくよく考えるとチームメンバーのことをお互い詳しく知っているわけではなく、必要最小限の情報交換でここまでできるのか、という驚きがありました。すべてのプログラムが終わった後の交流も楽しかったです。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

一番に思い付くのはやはり時間的な制約です。時間に制約があるからこその緊張感や集中力。他のワークショップや研修ではついつい時間的制約を緩めがちで、それが普段向き合っている課題の緊急性を薄めてしまいがちだと思いました。

机上の空論や仮定の話ではなく、現実に起きていることを種にして、グループワークには時間的制約がある。話の構成や完成を急ぐことで生々しい成功や失敗を体験できる。そのプロセスで絞り出すような感覚で知恵が生まれる。そんな体験をさせてもらいました。

個人的には、最後にリンキングを全体で共有した場面で、このワークショップ全体の盛り上がりを感じました。競争とは違う、共創。それを感じずにはいられませんでした。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

今後の活動にはまず、基礎となるコーチングを深めることと、自分のストーリーを語ること、周囲の人にそれを伝わりやすくする工夫をすること。そして直面する課題に向き合い、それをチーム全体で共有することを意識して活動していきたいです。

この学びは生かさなかったり、復習しなければすぐに元通りで、記憶からは薄れてゆくと思います。なので、いただいた資料などを活用しながら今後の活動に臨んでいきます。

全国の仲間の皆さんと連携、連帯できるように、この学びを活かしていきたいと思っていますので、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。