ナイスチャレンジ!転んだかもしれないけど、前向きに学べた2日間
この2日間は、初めて自転車に乗る気持ちを忘れずに、チャレンジし続ける仲間たちの暖かい学びの場でした。
オンラインだからこそ全国から集まれた参加者の皆さんとCOJスタッフ。2回目となった今回のオンライン主催フルワークショップは、北海道から九州まで、36人の参加者、16人のコーチ、7人のテックスタッフで実施しました。
参加者の多くは、過去のワークショップ参加者から勧められたり、昨年発売されたコミュニティオーガナイジングの本を読んで申し込んでくださいました。皆さんからは、それぞれの活動の場へ学びを持ち帰りたい、と言う期待が伝わりました。
そんな参加者の皆さんの学びは、実はワークショップの本番前から始まっていました。今回は、講義の一部を事前学習教材としてビデオで配布し、任意のビデオ視聴会を開催しました。
ワークショップ当日は、多くの方がじっくり予習をしてきたことがスタッフからも見えて、学びに対する前向きの姿勢を強く感じました。
「相手の価値観を深く聞くには『なんで?』が大切だと気付いた。」
参加者の皆さん、緊張しながらもワークショップ最初の演習では、ペア同士でのコーチングに取り組みました。質問の聞き方に悩み、制限時間に焦り、それでも最後までやり切ったところ、もっとコーチングの練習をしたい、と言う声が聞こえました。
ストーリー・オブ・セルフ(自分のストーリー)の演習では、講師とコーチそれぞれの熱い想いとストーリーを聞いてから、参加者一人ひとりもチームメンバーに向けて自分のストーリーを語りました。
コーチから、何度も「なんで?」と問われながら、一生懸命に自分と向き合い、大切な想い(価値観)を言葉にする姿が見えました。
チームメンバー同士でストーリーを語り合った後は、またペアになって関係構築の演習。お互いの関心が違っていても、「なんで?」と聞き続けることで二人が共有する価値観が見えてくることを体験しました。意外とストレートに「なんで?」と聞いても良いんだ、と気付いた方もいました。
そして、共有する価値観さえあれば、別々の関心を持つ仲間でも、それぞれが持つスキルや資源を交換し、共有目的まで作れた達成感に希望を感じた方もたくさんいました。
「初めましての人と集まって難しかった中で、価値観を共有できた瞬間。そんなことできるんだ!」
住む場所、性別、年齢、興味・関心。全てがバラバラの上、初対面。そんな参加者同士が、たった2日間で共有目的を持つひとつのチームになって、活動内容を決めて、キャンペーンを立ち上げることなんて、本当にできるのだろうか?
2日目の朝、ある参加者から声が上がりました:「昨日学んだコーチングを今日の演習でも活かしたい。参加者同士で質問し合うことを意識しましょう!」
ワークショップの限られた時間を最大限に活かしたい、と言うその方の想いが、みんなの心に響きました。その声掛けがあって、ワークショップ全体の一体感が引き締まりました。
特にチームワークが重要になる戦略の演習では、みんなで話し合いを繰り返しながら、チームの共有目的を具体的なキャンペーンに落とし込んでいきました。
「私たち(同志)が直面している困難の根本はどんな問題なのか?」
「私たちにはどんな資源があるのだろう?」
「どうしたら私たちで変化を起こせるのか?」
コーチからの問いかけだけではなく、参加者同士で意見を聞き、質問し合い、時折チームで共有する「価値観」に立ち戻る場面もありました。
あっと言う間に過ぎて行った時間の終わりには、6チームそれぞれがキャンペーンタイムラインの発表と、ワクワクして一緒にやりたくなるチャントを披露しました。
「最初は恥ずかしかったけど、チャントをやってみたら疲れが吹っ飛んだ!」とチームの一体感を感じた参加者の発言から、ニコニコとした顔や明るい笑い声が画面上に広がっていました。
「6チームの活動はバラバラだけど、価値観を共有できた気がする。みんなと交流したい!」
2日間の最後の演習は、パブリック・ナラティブでした。チームで作り上げたキャンペーンに仲間を誘う練習として、「なぜ私がキャンペーンをしているのか」「どんな私たちだから社会を変えられるのか」「なぜ今すぐ動き出さなければならないのか」の3つのストーリーを絡めて語りました。
まずは、コミュニティ・オーガナイジングを学んで、コロナ禍で負担が集中している保健所は、実は約20年間で保健所の統廃合、保健師数の削減が進められたことの影響があり、大阪府民の健康を守るために保健師・保健所職員を増やす必要があると、実際にキャンペーンを立ち上げたコーチ本人から、ゴール達成を後押しするオンライン署名への協力をお願いするパブリック・ナラティブを聞いて、学びました。コーチ自身のストーリーと原動力をワークショップ中にみんなが感じた「希望」と重ねることで、人を行動させるパワーが発揮できるのだと。早速SNSで署名活動をシェアしてくれた参加者もいました。
チーム演習の制限時間5分でパブリック・ナラティブを作るのは簡単ではありません。でも、最後の最後まで「自転車に乗ってみる」気持ちを忘れずに、参加者一人ひとりがチャレンジし続けました。
演習を終えた後、各チームから代表1人がパブリック・ナラティブを発表しました。
キャンペーン内容はチームそれぞれでした。コロナ禍で孤立する大学生のシェアカフェキャンペーン、海のプラスチックごみ問題と向き合う牡蠣養殖者の活動、多様な家族の在り方を広げるアクションなど、様々な課題に参加者の皆さんは立ち上がりました。
お互いのナラティブを聞きながら学びと刺激を与え合いました。一人ひとり違う活動目的を持っているかもしれないけど、個人の原体験と全員が共有した経験を語ることで価値観が伝わり、一体感を実感できました。
2日間の学びを活かす、私たちのアクション
オンライン、且つたったの2日間で、本当に初対面同士の参加者がチームになってキャンペーンを立ち上げることができたのです。
参加者の皆さんにとって、COのパワーを実感できた濃密な時間になりました。そして、ここでの学びをどのように次のアクションに繋げて行くのか、声が上がりました:
「自分のナラティブをブラッシュアップして、仲間に共有したり、職場の同僚のストーリー・オブ・セルフを聞きたい。」
「コーチングと関係構築をもっと練習したい。」
「演習で立ち上げた大学生のシェアカフェキャンペーンを実践したい。」
「キャンペーンの中心となる同志の解像度を上げるために、周りにいる当事者の声を聞きたい。」
ワークショップでの学びを実践に活かしたいと言う声をたくさん頂きました。
実際にオーガナイジング・キャンペーンの実践を希望するワークショップ受講者は、今後オーガナイジング・チーム立ち上げまでCOJスタッフがサポートするアフタープログラムに参加することもできます。ワークショップ終了後に早速申し込み頂きました。
今後も、COに触れたことで身の回りの課題に立ち向かえる勇気、そして自分たちの力で社会を変えられる希望を持てる人々を全国各地で増やせるように、COJは活動を続けていきます。
レポート:河野七海(本ワークショップコーチ)