加藤悠二

ワークショップに参加した動機は?

職場での研修の一環として参加しました。先輩メンバー3名は全員が過去に受講しており、「とにかく大変だけど! とにかく良いから!! とにかく参加してきて!!!」としか教えてくれず、なにがなにやら… 「インターネット署名を集めるサイト」での「署名を立ち上げた人をサポートする業務」において、「コミュニティ・オーガナイジング」という概念が役に立つのかしらん? 広い意味では署名サイトも「コミュニティ」とは言えそうだけれども、直球で役に立つものなのかしらん ? と、期待と不安、半信半疑、という気持ちで参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

思っていた以上に、直球で、「署名を立ち上げた人をサポートする業務」に役に立つ内容だと思いました。Change.orgに入って半年、「ものすごく大事な問題なのに、なんでこの署名はなかなか賛同者数が伸びないんだろう?」と思うことが少なからずありましたが、署名活動を「賛同する人=コミュニティのメンバーを集める活動」としてとらえることで、コミュニティ・オーガナイジングの手法が導入できると感じました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

関心が全く異なる分野で活動している人たちが、唐突に6人でグループを組まされるところ。今回のグループメンバーは、「社会をよくしたいと思っている」といった意識は共通していますし、お互いの活動内容を聞いたら「ああ、それは素晴らしい! 社会にとって必要な活動ですよね!!」と素直に思える方々でしたが、「それじゃあ一緒に新しい活動を立ち上げましょう!!」とはまずならないくらいに分野が異なる者同士。これまで参加してきたワークショップは「LGBT」「HIV・エイズ」など、共通するテーマを持った者同士が集まるものでしたが、こんなにもテーマがバラバラな者同士でグループを組まされることは、まずありませんでした。
2日間をかけて自分たちの問題意識や活動のゴールをストーリー化し、最終的にはひとつのアクションプランを組み上げるまでに至る… ワークショップの最中は時間に追われて無我夢中でしたが、今振り返ってみると、「バラバラの6人」が、あだにーコーチをはじめとするCOJメンバーの伴走のもと、「ひとつのコミュニティ」になっていく過程をリアルタイムに体験できたのが、あのワークショップの2日間だったのでは? と思います。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

Change.orgの仕事にももちろん活かせると思っていますが、個人でお引き受けしている、ゲイであることをオープンにしての講演・研修講師活動にも活かしていきたいです。
これまでゲイだとカミングアウトをするときには、「自分がしたいから」また「余計な嘘をつかないでコミュニケーションがとれる方が大事だと思うから」という前向きな気持ちがある一方で、「多様性が当たり前ではない社会があるせいで、『カミングアウトをする』という負担を押し付けられている」と怒り、憤る気持ちもまた、少なからず持ってきました。「カミングアウトして立場を明らかにしないと、知識もうまく伝えることができないのは、講師としての未熟さや、コンテンツの組み立て方が悪いからなのだろうか?」「カミングアウトをすることで同情を引くようなやり口になってしまっているのではないか?」といった、自分自身への疑念もありました。
こうしたマイナスの感情もきちんと引き受け、自分のストーリーとして語ること。そのうえで、「個々の研修でのゴール」「研修を受けた人たちが次に向かうべきゴール」をしっかりと描きだし、参加してくれた方々と共有していくこと。講師として自分が行うべきことが非常に明確になりましたし、また、カミングアウトをすることのストレスも低減させていけるはず! と考えています。

今泉靖徳

ワークショップに参加した動機は?

参加のきっかけはコミュニティ・オーガナイジング・ジャパンの代表理事、室田さんとのご縁です。
2017年にとあるシンポジウムで、私が活動報告をした際の基調講演が室田さんで、その時が初対面でした。その基調講演のタイトルが「地域でのネットワーク構築の必要性」でした。その当時の私は八王子市内の大規模集合住宅の中で、最も高齢化率の高い団地に設置された相談室の室長として、住民主体の地域づくりに取り組んでいる真っ只中だったので、内容は文字数の都合で省略しますが、室田さんのお話は日頃私が思っていることを、まるで代弁して下さっているかのようで、共感するポイントが沢山ありました。
ただ、もっとも共感したのは室田さんが、私と同じ呉服屋の息子で、二人とも店を継がなかったところでした(笑)けどね。
その室田さんのプロフィールの中にいつもあったのが、コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン。
なんだろこれ?と気になりホームページを開いたところで、参加は必然になりました。

ワークショップに参加した感想は?

スタッフの皆さんも参加者の皆さんも若いというのが始めの印象でした。日頃は年上の皆さんと接するのが殆どなので、いつもと違う勢いと活気に押された感もありました。
正直に言うと「あれ!?来るところ間違ったかな?」そんなことを思っていました。
とにかく、これから始まる2日間が心配だらけでした。
ワークショップが始まると、その心配が見事に的中したかのようでした。
スタッフの皆さんが作る会場の勢いと活気だけでなく、ハイスピードな展開についてゆくのもやっとでした。
途中から頭で考えていてはついて行けないので、考えることをやめました。その時頭に浮かんだのがブルー・スリーのあの名台詞「Don’t think. feel」(考えるな、感じろ)です。自分でも笑ってしまいますが、これは本当の話です。
その時大切なことに気づきました。それは、頭で考えるとついて行けなくなる理由です。答えは、きっと長年のソーシャルワーカー業務の中でこびりついた物事の捉え方や考え方の癖だと思います。私としてはそこに気付けただけでも十分大きな収穫です。

 

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

とにかく参加者とコーチがここまで一緒に悩み考えるワークショップは初めてでした。
参加者とかコーチとかそういった垣根はまるで感じませんでした。最後には一緒に悩み、困難を乗り越えた仲間になっていた。
その実感は間違いなくありました。
また、感想のところでハイスピードと表現しましたが、その理由は間違いなく項目ごとに厳密に設定された時間制限によるものだと思います。ここまで厳密なワークショップというのも初体験でしたが、「いま行動をおこす=story of  now 」ことが大切なアクションであればそれも必然なのかと思いました。
そして、もっとも強く印象に残ったのは、参加者の皆さんもスタッフの皆さんも目的に違いはあっても何かを変えたいと思っていると感じたことです。
それは、ワークの発表からも十分に伝わってきました。
何しろ、これまで参加してきたワークショップとの違いが、私にとっては今回全て初体験だったので、それだけでも十分参加する価値のあるワークショップだと思います。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

今回のワークショップを通じて、私にとってコミュニティ・オーガナイジングは、「暮らしの全ての場面において活かす」ものであって、単に仕事に活かすとか、地域活動に活かすとか言うような断片的、限定的なものではない。そのようなものになりました。
教材で出てきたモンゴメリーバスボイコット事件も、ガンジーの演説も、彼らが訴えてきたことは、差別や偏見を受けることなく、ただ普通に暮らしたい。
そんな願いだったと解釈しています。
これから、困難が生じた時でも、自分の思いを自分の言葉で語り、周りの仲間と共有すれば、困難を克服することは必ず出来る。
取り急ぎ仕事で活かしますが、様々な困難に直面しても、コミュニティ・オーガナイジングが活かせると思います。

2019年度活動報告④

みなさんこんにちは。事務局長の安谷屋です。
2019年度は、こちらのスタッフブログでNPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(以下COJ)の活動実施報告をしています。今回はその4回目です。

【1:組合員自らが立ち上がり持てる力を発揮する労働組合運動を コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ】

◎主催:大阪府関係職員労働組合・京都府職員労働組合連合
◎開催日時:2019年8月17日(土)9:30~20:00、18日(日)9:00~19:30
◎対象:大阪府・京都府内の労働組合員(36名)
◎開催地域:大阪府大阪市
◎開催形態:5つのリーダーシップを学ぶ2日間のフルワークショップ
◎実施体制:ヘッドコーチをCOJ事務局長の安谷屋、サブヘッドコーチを代表理事の室田が担当。メインコーチ6人は、「CO×関西」から3人(山口、西田、荒川)と東京から久保田が、組合員でコーチ経験者である小松、中嶌とともに担当し、初めてコーチにチャレンジする組合員6人(高橋、木守、河村、長池、越智、大久保)を引っ張った。加えて組合員ワークショップ経験者3人(樋口、中森、東)がロジスタッフとして開催を支えた。

明日からの組合活動に希望を感じる良い表情のみなさん!

◎当日の様子:
大阪府・京都府内で労働組合の活動をしている36人のみなさんが、よりよい活動にするためのヒントを得ようと、

2日間、それにしても長い…しかも分刻み!

大阪府社会福祉会館に集まりました。研修慣れしている参加者にとっても、長く、そして分刻みのスケジュールに戸惑っている様子からのスタートです。

しかし最初の演習で二人一組になり、「頭・心・手」を意識して、「質問と言い換えだけ」で「コーチング」をいざスタートすると真剣そのもの。まだイマイチどんなワークショップなのかわからないけれど、来たからには元を取ってやる!そんな気迫が会場に広がりました。
ストーリーを語って価値観を共有し、チーム構築をする。そのチームで達成したいゴールを決め、戦略を練り戦術を出し合う。その一連の講義・演習が進むうち、明らかに参加者のみなさんの表情は変化していきました。

◎2日間の参加者のみなさんの声を抜粋します:
・(ストーリー・オブ・セルフを学んで)人によって何を困難だと感じるかがこんなに違うとわかり、驚いた

困難の感じ方、違うのに驚いた

・(関係構築で)相手を知ろうとする姿勢があれば、「なぜ」「どうして」と(遠慮なく)聞ける
・エピソードはいろいろあっても、根本は共通している部分があることがわかった
・(チーム構築の過程で)ストーリーをみんなで共有して価値観を共有していたので、納得できた、進めやすかった
・(チームの共有目的の決め方について)いつもは上層部が決めることが多いので、メンバーで決められる良さは感じたが難しかった

価値観をベースに納得感を持って作り上げた

・(自分のチームのキャンペーンのキックオフイベントに誘う/誘われる練習をしてみて)自分ごととして背景を語られるとぐっとくる
・(同)やりたいことをバーッと言われて専門用語で話されるとよくわからない

何が相手の「OK」の決め手になるのか…

・(同)話の導入部分が難しいと思った
・(2日間の振り返りとして)自分のやっていることを論理的に学べた。自分の言葉で話すのは苦手だが、克服する気持ちで参加した
・(同)実際の職場で適用したときの希望が持てた
・(同)みんな価値観でつながる。日頃どう価値観を聞き出していくかが大事。違う意見が出てもそれを聞いてどうしていくかも大事だと思えた
・(同)人の話を聞くことで、自分自身の中にある、気付かない部分に刺激を受けた。持っていないようで、資源もあることを知った

時間に追われながらもひたすら聞いて話し合う

・(同)早い電車に飛び乗ってしがみついた感じ。伝えたいことにどういう言葉を使うかを考えないといけない。活動をしていて、当たり前に感じていることでも改めて共有することが大事と思った
・(同)本当に明日からこの(チームで作った)計画を立ち上げてできるかもしれないと感じた。組合で活かしたいと思った
・(同)セルフ、アス、ナウがこんなにいろいろな価値観があってこんなにパワーがあることに驚いた、。価値観を共有し行動したときのパワーが凄い。実践したいと思った。何か一つはやる!
◎さいごに
2日間のワークショップの中に「ストーリー・オブ・アス」について学ぶ時間があります。同じ価値観を共有する「私たち」の一体感を引き出し「私たちならできるよね!」と気持ちを1つにするために語るのですが、今回はこの重要さを特にご理解いただく場になったと感じています。

力強いストーリーオブアスの一体感に会場が包まれる

「私たち」が共有する経験をベースにストーリーを作りますが、組合活動における困難、働きづらい職場での困難、それらに対する怒り、何とかしなければ!という強い思いをみなさんが同じように持っているからこそ、そういう場にできたと思います。一人で抱えるだけではなく共有することが強さになるということに、希望を持ってもらえたことがとてもうれしいです。
また、複数の組合員が一緒に参加した組合では、ワークショップに参加しての振り返りを早速実施したり、実践について話を進めたりしていて、学んだだけに留まらず、みなさんの手で活用され笑顔で働く人が増えていく様子が鮮明にイメージできるワークショップになりました。
開催にご協力・ご尽力いただいたみなさん、学びきったみなさんに、心より感謝いたします。

【2:Social Change Agent養成プログラム2019「ストーリーオブセルフ」(全7回中2回目)

◎主催:Social Change Agency
◎開催日時:2019年8月24日(土)13:00~17:00
◎対象:個人の問題を社会化することを目指すソーシャルワーカー、対人援助職等24名程度
◎開催地域:東京都文京区
◎講座概要:ソーシャルワーカーが社会の構造に働きかける際のソーシャルチェンジマインドの醸成、パートナー(仲間)づくり、スキルの獲得を目的とした連続プログラムで今年度が3年目。COJは、自身のストーリー/現場での課題意識を語り、仲間を得る/問題を社会化する方法について学ぶ、ストーリー・オブ・セルフ回を担当。
◎内容:
COの歴史、事例とコンセプトの紹介
パブリック・ナラティブの紹介(人を行動に促すストーリーの語り方)
ストーリー・オブ・セルフ演習

お互いのストーリーをコーチングし合う様子

◎参加者が1日を通して学んだこと(発言内容を抜粋):
・語るための材料は自分の中にあると感じた
・人の話を聞かせてもらうことで、自分の考えがまとまり、じぶんを見つめ直すことになった
・映像が浮かぶ、ということはパワーが有る。想像できると共感しやすくなる
・共感できる共通の経験に関する話が多く、自分にひきつけて、語らなかった別のストーリーを考えるきっかけになった。

◎当日の様子:
皆さん、ご自身の動機の根源にある体験や想いについて、当時の様子やそのときの気持ちを思い出し情景豊かに語られていました。
なぜ当たり前のように思わずに、他の人を支援したり、困難に置かれた人たちのことに思いをはせたりできるのか。その動機を支える体験は一人ひとり違います。それぞれの心に灯されている火を感じ、良い1日を過ごさせていただきました。

◎実施体制:COJ理事の松澤桂子が講義とファシリテーションを担当

猛暑のため、当然屋外は立っているだけで汗が流れるような気温の中、当然クーラーの効いた部屋で実施した2つの活動報告なのですが、どちらも参加者のみなさんの熱気で、クーラーの効きを疑ってしまうこともありました。労働組合活動やソーシャルワーカーとしての活動と、コミュニティ・オーガナイジングやストーリーを語ることの親和性を特に感じる8月になりました。私たちCOJスタッフも毎回、多くの学びを得ています。

(COJ事務局長 安谷屋)

2019年度活動報告③

みなさんこんにちは。副代表理事の松澤です。
2019年度は、こちらのスタッフブログでNPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(以下COJ)の活動実施報告をしています。今回はその3回目です。

【1:リーダーシップ基礎パブリック・ナラティブ(全15回中第12,13,14回担当)】

◎主催:慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート
◎開催日時:2019年6月24日(月)・7月1日(月)・7月8日(月)16:30~19:40
◎対象:リーダーシップ寄付講座「リーダーシップ基礎」受講者(150名程度)
◎開催地域:慶應義塾大学三田キャンパス(東京都港区)
◎講座概要:担当教員の法学部教授田村次朗先生とゲスト講師が、履修者同士の対話を基本とした講義を15回で行う。グローバルリーダーシップを体系的に学習し、これからの社会に必要な正解のない問題を解決すべく、人々を導くリーダーを育成することが目的。COJは12,13,14回目にあたる「パブリック・ナラティブ」を担当。
◎内容:
12回:コミュニティ・オーガナイジングとは、ストーリー・オブ・セルフ
13回:ストーリー・オブ・アス、ストーリー・オブ・ナウ
14回:リンキング(セルフ・アス・ナウをつなげたパブリック・ナラティブ)

◎実施体制:今回が5年目となる慶應義塾でのパブリック・ナラティブでは、例年TA(Teaching Assistant)が事前のトレーニングを経て、学生一人ひとりのストーリーのコーチングを担当しているが、今年は19名のTAが1班ずつ受け持った。毎回のTAミーティングでは塾生に1つでも多くを学び糧にしてもらおうと、「こうした方がいいと思う」と活発な意見を交わした。授業で実践の見本を見せる「モデル」も入念な準備を経て披露。13回目の「ストーリー・オブ・ナウ」モデルでは、経済学部経済学科金野慎太郎さんの語る課題の深刻さと、ここにいるメンバーがリーダーシップ基礎を通じて培ってきた傾聴力がその解決に生きるという希望のストーリーに会場全体が真剣に聞き入り、授業後には早速「関わりたい」という人たちが今野さんに話しかけていた。

講義はCOJ安谷屋と松澤が担当し、インターンの塩津が同行しTAとともにストーリーコーチングを行った。

◎当日の様子:
3回の様子の詳細は、TAの一人、法学部政治学科長谷栞里さんによる開催レポート参照。
12回目の冒頭では、コミュニティ・オーガナイジングについて、「先の見通しが立たない中で自分以外の人々のリーダーシップを育てる責任を負う」リーダーシップの手法であると解説。

身近な大学生活や社会の問題を解決する際、一人の力ではなく周りの人の力が不可欠。でも誰もが自分の取り組みたい課題に同じような関心を持っていないし、他にも優先したいことがある中で、パブリック・ナラティブは「一緒にやろう」と呼びかけ、聞き手を行動に促すときに有効。実際に行動を起こし結果を出している大学生たちの事例に真剣に耳を傾ける塾生の姿に、3回が有意義なものになるであろう期待を感じた。

実際その通りで、14回目の10数名を前に一人ずつパブリック・ナラティブを語る場面では、一人ひとりの想いの源を聞けるストーリーに心動かされる瞬間がいくつもあった。
そのストーリーを引きだそうと相互に助け合いながらコーチングをしたTAメンバーと、他者とのストーリーを通じた関わりで自分の枠を飛び越えた塾生に感謝したい。

【2:第12回COJ主催COワークショップ(以下WS)のコーチトレーニング】

◎主催:COJ
◎開催日時:2019年7月28日(日)09:00~18:00
◎参加者:第12回COJ主催COWSのコーチ担当予定者等12名
◎開催地域:東京都文京区
◎内容:2日間で5つのリーダーシップを学ぶ型のWS参加経験のあるメンバーが、同型のWSでコーチ(1グループに1~2人が学びのサポートとして付く)をする前に受けるもの。1日で、WSの流れを思い出し、演習のファシリテートや参加者へのコーチング方法を学び、実践練習をする場。

まずはスケジュール確認から。みんな真剣!

初めてコーチにチャレンジする、前回コーチをしてから数年ブランクがあるなど、状況は一人ひとり異なるが、状況に応じたチャレンジをサポートするのがこのトレーニング。

コーチも本番同様チーム演習してみます!

また、コーチもこの日が「チーム」としてのスタート。チーム名を「あおぞら」に決め、WS本番まで、それぞれが準備を進め参加者のみなさんをお待ちします!
◎実施体制:ヘッドコーチ松澤、サブヘッドコーチ久保田を中心にトレーニングを設計

今回の報告は2件でしたがいかがでしたでしょうか?WS参加経験のある方で、コーチトレーニング報告を読み少しでも気になったら、チャレンジするタイミング、というサインかも⁉ぜひ気軽に問い合わせてください。
第12回COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップは、あと少し空席ございます。まずはWSから!という方はお早めにお申し込みください。

(COJ副代表理事 松澤)

2019年6-7月慶應義塾大学リーダーシップ基礎 パブリック・ナラティブ講座レポート

2019年6月24日(月)、7月1日(月)、7月8日(月)の3週にわたり、慶應義塾大学南校舎にて「2019年度パブリック・ナラティブ講座」が開催されました。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティチュート寄付講座『リーダーシップ基礎』の授業内で行われる本講座は、昨年に引き続き今年度で4度目となります。

   “リー基礎”と親しまれる『リーダーシップ基礎』に参加するのは、「リーダーシップを学びたい」という思いのもと、高倍率の書類審査を通過して選ばれた約150名の学生たち。春学期の毎週月曜に、数多くの外部講師による3時間の講義を通じてリーダーシップについて学んできました。今回の「パブリック・ナラティブ講座」は授業全体の締めくくりとして位置付けられ、生徒たちは気合い十分です。

授業の特色として、授業の運営に昨年度受講生であった学生TA 19名が携わっている点が挙げられます。TAたちは、各班のメンバーに的確なコーチングを行うことができるように、1日かけて事前研修を行いました。TAの一部からは、「当日班のみんなにうまくコーチングできるか不安だなぁ」という声も上がりました。

こうして、それぞれの “期待”と“緊張”が入り混じる教室で授業が始まりました。最後の授業に行うパブリック・ナラティブの発表に向けて、ストーリー・オブ・セルフ、アス、ナウを3週にわたって順に追っていきます。学年・学部を問わず集まった学生たちは、同じ大学とは言え、これまで関わったことのない人ばかり。教室正面のホワイトボードには、「授業内で話した個人的なことはここだけに留める」という共通ルールが記載されました。

最初は自分自身のことを深く語り合うことに抵抗がある学生もいる様子でしたが、TAによるモデルスピーチを参考にしながら個々のストーリーを共有していきます。すると次第に、目を輝かせながら互いの話に興味を示していく様子が見て取れました。船越さん(法学部3年)は、「勇気を持って困難をさらけ出すことで、真の価値観が伝わると気づいた。」と語っていました。

一見、異なるコミュニティーから集められた学生たちに共通点はないようですが、ストーリー・オブ・アスの講義で、「リーダーシップを学び、成長したい」という初心を教室にいる全員で共有できたとき、これまでにない一体感が生まれました。

また回を重ねるごとに、TAだけでなく積極的にコーチングに挑戦する学生も多く見られました。TAの吉井さん(経済学部3年)は「自分がコーチングの主導権を握るのが難しいほどで焦りました。」と話すほどでした。

そして迎えた最後の授業、他の受講者が見守る中、一人ひとりがパブリック・ナラティブを発表しました。真剣な表情で語る姿からは、コーチングを素直に受け止めながら準備を重ねてきたことが伝わってきました。

最後には「コーチングを受けることで、自分自身のことを客観的に見つめることができた。」「壮大なテーマだけではなく身近な小さな出来事でも人々の心を動かすことができることを知った。」といった学びを共有することができました。そして何よりも、彼らの生き生きとした表情が、学びの充実感を表しているように思います。コーチングに励んだTAとして、受講生が自分自身と向き合うことに前向きな姿勢を示してくれたことが、何よりも嬉しく思います。

リーダーシップを発揮する上で、人の心を動かすことは不可欠です。今回熱意を持って取り組んだ受講生たちは、それぞれが所属するコミュニティーでパブリック・ナラティブを“武器“に、活躍してくれることでしょう。

長谷栞里(慶應義塾大学 法学部政治学科4年・リーダーシップ基礎TA)

第12回COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ

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コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ 
1日目:2019年8月31日(土) 9:00〜19:30
2日目:2019年9月1日(日) 9:00〜18:40
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<開催趣旨>

コミュニティ・オーガナイジングを用いて、自分の暮らす地域や社会に変化を起こしたい人を対象として、「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ」を東京で開催いたします。なお、これまでの参加者は次のような取り組みをしています。

・性暴力の被害者も加害者もうまない社会の実現のための大学生によるアクション

・孤独に子育てをするママを減らす産前産後ケア施設の開設のためのママたちのアクション

・新成人が成人式開催時期を夏から冬に変えるアクション

 

<コミュニティ・オーガナイジングとは?>

市民1人ひとりの力は小さいが、沢山の力が合わさることで強い力が生まれ、問題解決に立ち向かえるようになります。そのために市民1人ひとりが主体性を伸ばし、共有する価値観のもとに協力し、共に学び成長しながら、問題解決を目指すことをコミュニティ・オーガナイジングといいます。

 

<スケジュール>
1日目
・オーガナイジングとは何か?
・コーチング
・ストーリー・オブ・セルフ
・関係構築
・チーム構築
・ストーリー・オブ・アス
2日目
・戦略Ⅰ
・戦略Ⅱ
・ストーリー・オブ・ナウ&リンキング
※すべのパートが【講義→演習→振返り】で構成されています。
※1日目の夜に懇親会を予定しています(参加費4000円程度、当日集金。WS参加費とは別)。

<申し込み際しての留意点>

・2日間全日程への参加が必要です
・事前課題のファイルや事前アンケートのURL等を受け取れるメールアドレスの入力をお願いします
・昼食はお弁当を用意します。アレルギー等特別な理由で一般的なお弁当が召し上がれない方はご相談ください
・休憩時間につまめるお菓子と飲み物を用意します
・キャンパス内に喫煙所はありますが会場の5号館からは離れていますのでご注意ください

2019年度活動報告②

みなさんこんにちは。事務局長の安谷屋です。
2019年度は、こちらのスタッフブログでNPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(以下COJ)の活動実施報告をしています。今回はその2回目で、3つの活動について報告します。

【1:女性政治リーダー養成講座(全5回中第3、4回担当)】

◎主催:一般社団法人パリテ・アカデミー
◎開催日時:2019年5月13日(月)・27日(月)19:00~21:00
◎対象:女性政治リーダー養成講座受講者(両回とも15名程度)
◎開催地域:東京都港区
◎内容:「政治リーダー」を目指す方たちの講座なので、スピーチに苦手意識がない方の割合が高いことが特徴。特にパブリック・ナラティブ(以下PN)の中の「ストーリー・オブ・ナウ」緊急性は、各人の課題意識に沿って語られ、聞く人に強く訴えかけるものが多い。それを生かすためにも「私にとってそれがなぜ今解決したいことなのか」を「ストーリー・オブ・セルフ」私のストーリーで語り、さらに「ここにいる私たちならそれが必ずできる」という希望を「ストーリー・オブ・アス」みんなのストーリーとして語れるようになる、それを目指すもの

●第3回「わたしのストーリーを見つけよう」の最後の振り返りコメントを抜粋します
「(他の人のストーリーを聞くと)他の人も(私と)似たような経験があった。『自分だけじゃなかった』と思った。セルフを聞く前より近くなった。」
「時系列で話すより、ポイントと山場を作って人に伝えるのが大事だと思った。」
「(いろいろある)人生のどこを切り取って話すのが良いかわからなかった。」→(安谷屋)「相手と共有したい価値観(自分の中に複数ある)が最も現れる『選択の瞬間』はいつだったか、と考えて語る内容を選ぶことが多い」
●第4回「みんなのストーリーを語ろう」の最後の振り返りコメントを抜粋します
「私は、大学で性暴力反対のシンポジウムを開く。どう皆に訴えていけるか。『アス感』が大切とわかった。それを出すために具体的なエピソードを探して入れようと思う。」
「ストーリー・オブ・アスを作るために1回目からのことを何とか思い出そうとした。職場などでは「固い話題」として敬遠されがちなことも、ここでは普通だったことを思い出し、それも『アス感』だと思った。」
「集団の中で自分と違うところを探さず、同じことを探すのがアスかと思った。」→(安谷屋)「共有する体験がアスのベースになる。同じことももちろんそうだが、あえて違いを語る方法もある。」

日本は他の先進諸国に比べて女性の政治リーダーの割合が低いです。この講座の初回で「女性が政治に参画する際の壁」について参加者同士がディスカッションしました。そのような現状をどう変えていきたいか。どうして変えたいと思うのか、それを「ストーリー・オブ・セルフ」ではみなさん、個人個人の体験をもとに語りました。そしてそういう思いを持った私たちなら政治における女性の割合を上げていける!という希望が、「ストーリー・オブ・アス」を語って「アス感(=一体感)」とともに部屋中に溢れた感じがしました。2018年度の講座受講者の中から何人かがすでに政治家として活動されているとのこと。今回の参加者が多くの人の前でストーリーを語る場面を想像するとわくわくします!
◎実施体制:COJ事務局長の安谷屋が講義とファシリテーションを担当。昨年度の同講座受講生で第10回COJ主催WS参加者の菊地麗子さん(ストーリー・オブ・セルフのモデルにチャレンジ!)と、インターンの塩津麻央さんがタイムキーパーや書記などの欠かせない役割を担った

【2:明治大学 全学共通総合講座「ローカルスタンダードをデザインする(環境人文学1)」(全14回中6回目)】

◎主催:明治大学
◎開催日時:2019年5月22日(水)15:20~17:00
◎対象:明治大学の在学生30名程度
◎開催地域:東京都千代田区
◎講座概要:理工学部・鞍田 崇先生がコーディネーターを務める連続講座。地球環境問題や地域社会の再生を糸口に、ひろく「社会変革」への道筋を問うもので、昨年に引き続きお声をかけていただいたもの
◎内容:
COの歴史、事例とコンセプトの紹介、
5つのリーダーシップ、スノーフレークリーダーシップ
キャンペーンと能力向上の考え方
関係構築の対話演習
◎当日の様子
授業ではこれまで対話やグループディスカッションをしたことがなかったとのことで、学生同士がつながるとてもよい機会になりました。
建築学の学生と数理学の学生が関係構築ダイアログをし、共通の価値観、関心を見出し、とても良い顔をしていました。社会人の受講者の方からは、翌日に、さっそく習ったスキルを使ってみていますとメッセージをいただきました。終了後の課題として「課題の解決にむけて当事者中心の動きを創り出すために、どのようなきっかけがあるとよいと思うか」を検討していただいたので、受講者がどのような考えを持たれたのか興味深いです。
◎実施体制:COJ元理事の小田川華子が講義とファシリテーションを担当

【3:Hewlett Packerd Enterprise F19 Social Impact Activity Program ~福島グループ 前日研修「傾聴」】

◎主催:Hewlett Packerd Enterprise(以下HPE)
◎開催日時:2019年5月29日(水)09:30~12:00
◎対象:Hewlett Packerd Enterprise新卒社員25名
◎開催地域:東京都江東区
◎内容:COのワークショップ(以下WS)参加者でHPE社員の藤田知洋さんがHPE側の担当者。翌日から1泊2日で福島県での地域社会貢献プログラムに参加するメンバーが、「傾聴」を学び、現地で出会う人や時間を共にするメンバー同士をよく知るためのコミュニケーションを身に付けることが目的。5つのリーダーシップの1つ「関係に基づいたコミットメント」を部分的に学ぶ構成で実施。
・お互いが何を大事にして物事に当たっているのか
・その原点にある風景はどのようなものか
・だからこそ何に関心を持って取り組んでいるのか
・そこで自分のどのような部分が生かせているか
そのようなことを互いに聞き合うワーク。ひたすら相手に関心を持って「なぜ?」「どうして?」「いつから?」と問うことにチャレンジする時間となりました。
研修中の質問や実施後の振り返りから、参加者の声を一部抜粋します。
「一方的に質問し続けると相手が委縮するのではないか?」
→「意外とずっと質問されることは嫌ではなかった。笑」
「普段できないディープな話ができた」
「(質問されることで)自分を知ることができた」
「本質を聞く難しさがわかった」
「『傾聴』だが一方的に聞くだけがその方法ではない」

COJが「関係に基づいたコミットメント」を学ぶために行うワークショップでは、チームの共有目的はメンバーの価値観に基づいて作るので、そのために関係構築をする。1対1ミーティングとチーム全体での共有によって行いますが、今回の研修は新卒社員向け研修ということもあり、相互に深く知り合う方法を学び体験しこれからも「使えるな」と思ってもらうことを目指し、上記のような内容で行いました。
◎実施体制:COJ事務局長の安谷屋が講義とファシリテーションを担当

今回の報告の3件も、主催者のニーズをもとにした内容で実施しました。ご自身のコミュニティに照らし、ピンとくるものがありましたらぜひお問合せください。
また、例年実施しております、COJ主催の2日間のWSは6月中旬から募集告知の予定です。もう少々お待ちください。
7月14日(日)にNPO法人coco change主催で「スノーフレーク祭*2019」が福岡県久留米市開催されます(COJも協力団体の1つとして関わっています)。学びの場から実践の場への広げ方を体験し、各地のCOコミュニティメンバーとつながれるチャンスです。こちらもオススメです!

(COJ事務局長 安谷屋)

2019年度COJ通常総会開催報告

みなさんこんにちは。事務局長の安谷屋です。

6月1日(土)
NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン、通常総会を開催いたしました。
2014年1月に活動を開始して丸5年が経ち、コミュニティ・オーガナイジング(以下CO)を学び、広め、活用するコミュニティが広がっています。広がっているからこそ、その形の変化の必要性がここ1年程で急激に強まり、2019年度は様々なチャレンジをしていく1年になりそうです。
なんとか6期目を迎えられましたが、 これまでにない荒海に乗り出す心地です。COに関心を寄せてくださるみなさまと一緒に針路を模索し、COを活用し「普通の人」 が声を上げ変化を起こすことが「意識高い系」 と言われず当たり前になる社会に向かっての航海を、7期、 8期その先も続けていきたいです。
引き続きみなさまからのお力添えやコーチングをどうぞよろしくお 願いいたします。

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◎COJ公式ホームページよりご寄付も受け付けています
http://communityorganizing.jp/ support/donate/ 
団体設立当時クラウドファンディングサービス「 ShootingStar」 を通しみなさまにご支援いただいたガイド翻訳ですが、 2017年から米国でCOを学び、 研究を続けている鎌田華乃子とも連携し、 現在更新内容を中心としたリニューアルに取り組んでいます。
海外在住者、 日本各地のCOコミュニティメンバーとともに進めていますが、 みなさまからのご支援がありますと、 議論を深めることと使いやすいデザインにするために時間をかけら れ、マーシャル・ ガンツの現在の認識と日本国内での理解を促すための試行錯誤とを 反映させた、より学びを深めるものにしていけます。 ぜひご協力をお願いいたします。

(COJ事務局長 安谷屋)

CO関西実行委員会の動きの報告(山口浩次 2019年4月ニュースレターより)

私たち関西のCO受講生で作る実行委員会は、2016、2017、2018年の3年間、京都でCOのフルワークショップを開催してきました。

2018年のワークショップ開催後は、実行委員メンバーで、「このまま、フルワークショップを開催するだけでいいのか?」と話し合いました。私たちは、リーダーシップチームとして何を目指すのか。大ゴールをどう設定するのか。夕方からの会議では結論を出すことができなかったことから、休日を2回、各7時間の時間を作り、COの手法で豊かな検討を重ねました。

私たちは、時間をかけて関係構築をし、共有目的、チーム構築(意思決定の方法、役割、ルール)を検討し、現時点で以下のように私たちの大ゴールを整理しました。

「より良い社会を創ろうと立ち上がった人々が、創りたい未来を実現するために、関西におけるこれまでとこれからのCOワークショップ受講者とともに、フルワークショップ、実践報告会、実践コーチング、体制づくりなどの活動をします。」

今後は、各活動の内容を検討し、チームの体制づくりを進めます。

最後に、私たちは、COJ、全国のリーダーシップチーム、CO受講者の皆さんと連携し、より良い社会を創造します。


山口浩次
プロフィール

組合運動とCO①「コミュニティーオーガナイジングの父は組合から学んだ」(中嶌聡 2019年4月ニュースレターより)

 コミュニティーオーガナイジングの父と呼ばれるのは、活動家のソウル・アリンスキー(Saul Alinsky)だが、彼は労働組合運動から影響を受けている。アリンスキーは1940年にIAF(産業地域社会事業団:Industrial Area Foundation)を設立し、コミュニティ・オーガナイザーの育成と訓練をはじめたのだが、その際、CIO(産業別労働組合会議:Congress of Industial Organizations)の組合作りの戦略を学んだと言われている。

 そのIAFは、今度は回り回ってアメリカの労働運動、市民運動に大きな影響を与えていく。IAF卒業生であり、大規模なキャンペーンに成功した事例としては、1960年代のシーザー・チャベス(Ceasar Chavez)らが中心になって実施した農業労働組合(UFW:United Farm Workers)の運動があげられる。COJの提供するワークショップの開発者であるマーシャル・ガンツもともに活動した経験を持つチャベスは、カリフォルニア州を中心に、経営者だけでなく政治家にも圧力をかけ、340マイル(約550km)もの大行進を数千人で行い注目を集めることで労働条件の改善を勝ち取ってきた。1970年代はじめにUFWが呼びかけたブドウの不買運動には、4700万人が参加したという。

 UFWの活動を経験したオルガナイザーは、さらに1980年代以降の労働運動に大きく貢献していく。SEIU(サービス従業員国際組合:Service Employees’ International Union)に合流し、既存の労働組合が手をつけてこなかった移民の多い清掃労働者を組織化するキャンペーン「ジャニターに正義を」を成功させた。このキャンペーンは、昨今「社会運動ユニオニズム」と表現される、「新しい労働組合運動」のモデルケースとして紹介されており、コミュニティ・オーガナイジングが、アメリカのビジネスユニオニズムの克服に影響を与えているケースとして考えられる。このキャンペーンは、映画化(「ブレッド&ローズ」)され日本でも見ることができる。特に、この手の映画の中でオーガナイザーをしっかりと描いたものは少ないので是非レンタルして見て欲しい。

 このように、コミュニティーオーガナイジングのアメリカの歴史を見てみると労働組合運動と密接に関係していることがわかる。日本の労働組合運動もまた、コミュニティーオーガナイジングを取り入れることで運動を活性化できると私は思っている。次回は、その具体的な導入の方法を考えてみたい。


中嶌聡
プロフィール