川邉正和

ワークショップに参加した動機は?

私はかつての病院勤務の経験から、東大阪(東大阪市もしくは東大阪市域)における在宅での緩和ケアの必要性を痛感しました。この経験が、緩和ケアを専門とする在宅訪問診療のクリニックを開業する原動力となりました。開業してから間もなく、厚生労働省が進める「地域包括ケアシステム」が理想と現実の間に大きな隔たりがあることに気付き、この問題に対処すべく、医療・介護・福祉の壁を越えた全職種が参加できる、真の地域包括ケアシステムの構築に向けて動き始め、東大阪プロジェクトを設立しました。

「出会うことで人が動き出し、ともに未来を変える。穏やかなエンディングをみんなで」をクレド(行動方針)に、司法書士を代表に迎え、当初5名でスタートした私たちの組織は、現在では50名を超えるコアメンバーを有し、地域のニーズに応えるべく6つの主要イベントを定期的に開催しています。また、製薬会社と共催のオンライン研修会は、全国から多くの参加者を集めており、その数は500名にも及びます。これからも組織を持続可能に拡大していくため、ダンバー数とされる150人の壁を超えるコミュニティ構築のため、コミュニティ・オーガナイジングの理論と実践を学ぶために参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

この2日間のワークショップで最も心地良く感じたのは、タイムスケジュールが分単位で厳密に守られていたことです。集合と解散の合図の精度は、これまで参加したどの会議よりも完璧でした

私たち自身の組織構築に向けて、必要なプロセスをこのワークショップを通じて実感することができました。講義と実践のセット、ノーム(合意事項)の策定、コーチング、パブリック・ナラティブとは、ストーリー・オブ・セルフと己を見つめ直すことから始まり、他者との関係構築、そしてリーダーシップに至るまで、濃密な一日目を過ごしました。頭の中はアイデアで満ち溢れ、息つく間もない8時間でした。

2日目もノームの確認からスタートしました。戦略Iでは、「同志は誰か」、「戦略的ゴールは何か」と焦点を絞り、関係者の洗い出しと変革の仮説を立てる作業を通じて、「同志と共に」するという視点を育むことができました。続く戦略IIでは戦術を定め、目標達成に向けた具体的な行動計画を立てました。これらの一連の普遍的なプロセスは、どのような組織構築にも応用可能であり、非常に価値があるものだと深く感じています。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

このワークショップの際立った特徴は、参加者が非常に高い動機と志を持っている点です。さらに、講師陣の高い意識も感じられました。講師は講義内容を表面的に説明するのではなく、その部分がなぜ重要なのか、なぜ学ばなければならないのかを深く掘り下げて教えています。このアプローチにより、参加者は自然と深い思考をする習慣が身につき、本質を理解することができ、時間が経過した後も内容を振り返りやすいと感じています。

ワークショップの構成も素晴らしく、初めにコーチングについて学ぶことで、他の参加者の意見を否定せず、スムーズに進行できたように思います。チームに付いてくださったコーチが、コーチングに関する講義で学んだことを実際に実践していたことに、講義が終わった後に気付き、そのプロフェッショナリズムには感心させられました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

当初5名でスタートした私たちの組織は、現在では50名以上のコアメンバーを擁しています。そして、来年度にはその数が100名に迫る見込みです。これまでのリーダーシップが「ドット・リーダシップ」ないしは「バラバラのリーダーシップ」であったことは否めません。

今回の学びを生かして、コミュニティ・オーガナイジングの理論に基づいた持続可能なコミュニティ構築を目指します。これまで定期的に開催してきた6つの主要イベントも、メンバーとともに成功させていきます。そして何よりも、大ゴールを達成するためには、他のメンバーのリーダーシップを培う「スノーフレーク・リーダーシップ」を積極的に取り入れ、実践していきたいと考えています。

伊東夏美

ワークショップに参加した動機は?

「どうやったら周りの人を巻き込んだり、行動を促せるか知りたい」と思い応募しました。労働組合の活動に参加するようになり、自分自身が動くだけではなく、人に協力してもらう場面が増えてきました。

近年の働き方の多様化などに伴い、全国的に会社組織に対する所属意識が低下し、労働組合の組織率が低下している状況があります。そのような中で労働組合の活動をより機能的行っていくために、組合員の方を巻き込んで活動していく必要があると考えます。

そのために、どのような考えや情報共有が必要か学びたいと思いました。過去にこのワークショップに参加した先輩から内容を共有していただいた際に、「ヒントになることがありそう!参加してみたい!」と思い、参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

周りの人を巻き込んだり、行動を促すためのヒントや新しい気付きを得ることができました。特に、ストーリーを語る大切さを実感しました。

今まではある程度ロジックがしっかりしていれば人は納得すると思っていたのですが、人の行動を促すためには頭だけでなく感情や心が動くことも大切ということを学びました

ワークショップで皆さんのストーリーを聞く機会があったのですが、初めて会った方なのにも関わらず、胸が熱くなるような素敵な話に私自身心が動かされる場面が多くありました。「ストーリーで人の心を動かせるってとても素敵なことだな」と思うとともに、人の心を動かすことができるエネルギーがあることを実感しました。

話すのが苦手だなと思う人でもワークを通して、上手く相手の心に響く話し方を教えていただけるので、安心して参加することが出来ると思いました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

一般的なワークショップはインプットの時間が多いイメージがあったのですが、コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップは実践の時間がたくさんあり、やりながら習得していくという感覚を実感できました。

また、様々な年代、職種の方がいるにもかかわらず、心理的安全性の高い環境を作っていただき、腹を割って意見交換しながら議論できた点もとてもよかったです。そのような環境が学びを促進する要因になったと思います。

実践の時間の中でも特にコーチングが難しかったです。コーチングでは、相手に気付いてもらうということが重要ですが、ついつい「自分はこう思う」ということを言いたくなってしまいました。コーチの方の手厚いフォローやサポートがあり、「もう少しこうしたら良くなる」という気付きを得ながら参加することができました!

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

今回学んだことを組合活動に活かしていきたいです。自分の思いを一方的に伝えるだけではなく、コーチングなどで学んだことを活かして、組合員の方の思いもしっかり聞き、相互に情報や思いを交換できるようになりたいと思いました。

コミュニティ・オーガナイジングを活かして、組合活動に興味関心が無い方も巻き込みながら、より働きやすく、働きがいのある環境を作っていきたいと思いました。

水谷朋之

ワークショップに参加した動機は?

私は高校の教員をしています。先生方はそれぞれに任された場で一所懸命に「子ども達のために」と取り組んでいます。しかし、学校全体ということになると傍観やあきらめのような空気が強くなっていくように感じ、苦しい想いを抱いていました。

7年間を教務部長として仕事をするなかで、「できるところから」といろいろなことに取り組んできました。理解してくれる先生もいたものの、その先生から先に広がっていくことに困難を抱えていました。いくつかの「システム」を考案しましたが、システムは「箱」であって、そこに想いや魂を込めることで意味のあるものになります。私が考案したシステムを新しい「負担」と捉える先生がいるだけでなく、理解してくれる先生にとってもそれを広げるための困難が負担になってしまっていることに身が引き裂かれるような想いを感じていました

「何とかしたい」と思う一方で、「どうすれば」ということが見えないところに、福島で開催された「一日のワークショップ」に参加し、「これだ!」という閃きが得られました。さらに「二日の完全版ワークショップ」にぜひ参加したいと思い、第9回オンラインワークショップに申し込みました。

ワークショップに参加した感想は?

「社会課題に直面している人を同志とする」「同志が持っている資源をパワーに変える」「価値観を通じて同志を関係を構築していく」というコミュニティ・オーガナイジングが示す観点が、私にとっては新しく、また魅力的だと感じました。

 先生方はそれぞれが様々な想いをもっていて、それが複雑にからみあっているため、今のような状況になっているように感じています。コミュニティ・オーガナイジングのワークショップを受け、「パブリック・ナラティブを語り、価値観を共有すること」によって共通する価値観を持つ先生方と関係構築できる、という可能性を見出すことができました

 また、人間関係が複雑にからみあうなかで、私自身が「すべてを見通し、皆が納得できる案をつくらなければ」と考えていたことが、「何とかしたいと思う一方で、どうすればが見えない」を生み出しているように感じられました。「困難に直面している人を同志とする」「同志がもつ資源をパワーに変える」という観点から、私自身が「すべてを見通す」のではなく、「パソコンのハブ」のような役割を担うことが困難を解決していくことにつながる重要な役割だと考えられるようになりました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

いろいろなセミナーやワークショップに参加してきました。ワークショップ内はエネルギーの高い人が集まっているので上手くいきますが、実際の現場はエネルギーの高い人ばかりではないので上手く行かない、ということが良くあります。

コミュニティ・オーガナイジングのワークショップでは、価値観を共有し合う人たちとチームをつくり、具体的に解決したい課題について戦略の策定を行っていきます。

実際に、ふくしまのワークショップでは「対面」かつ「同じ地域」の人たちと、お互いの価値観を共有してチームを結成し、より現実的かつ具体的な戦略を生み出すことができました。その際に生み出した戦略を実現しようと、そのときにチームになったメンバーとは今も連絡を取り合っています。年度途中ということ、急ぎ足の企画で周りの理解が不足していたことから、今年度での実施は断念することとしました。しかし、「来年度に向けて改めて企画を進めていきましょう」とメンバーとは確認し合っています。単純な「練習」に留まらないところが、コミュニティ・オーガナイジングのワークショップの「違い」だと感じます

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

教育は「社会」をつくる基盤だと、私は考えています。より良い学校教育を通じて、より良い社会をつくる礎としていくため、コミュニティ・オーガナイジングを活用し、先生・生徒・保護者・地域の人たちをオーガナイジングしていきたいと考えています。

今は、探究・ICT推進部の部長として「総合的な探究の時間」の企画立案を行っています。ふくしまでのワークショップの後につながった人たちと、キャリア探究「社会人対話」という企画を立てました。

これまでは「うちの学校でこんな企画をやるので力を貸してくれないか」という提案のしかたを行ってきました。何となく「下手」に出てお願いする感じがある一方で、受け取ってもらえないと「何で?」という想いも生まれていました。

コミュニティ・オーガナイジングのワークショップを受け、今回は「子ども達にこんな経験をしてほしいと願う企画を立てた。この願いに共感する想いがあれば連絡してほしい」と提案してみました。結果は、43名の方から「無償でも参加したい」とエントリーしていただきました。コミュニティ・オーガナイジングのワークショップは、私にとって「大きな一歩」であったように感じています。

2023年12月9日、10日【第9回オンライン】COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ開催レポート

みんなと一緒だったから走り抜けられた!濃密な2日間!!

2023年12月9日(土)、10日(日)の2日間に渡って、オンライン開催では9回目となる「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ(以下、COW)」が開催されました。一般企業、労働組合、一般社団法人や公的機関まで、それぞれ多様なバックグランドを持つ22名の参加者と16名の運営スタッフが、コミュニティ・オーガナイジング(以下、CO)を一緒に学びました。

ワークショップ開始時は、日々取り組んでいる分野・活動も異なる参加者が集まる中で「初対面の方と最後までやり遂げることができるか不安」という声もありましたが、ワークショップ終了時には、リーダーシップの5つの単元(モジュール)の学びや演習を振り返り、「熱いチームメンバーと出会えて良かった!」という嬉しい声が至るところから聞こえてきました!

濃密な2日間となった第9回オンラインCOWについて振り返ります!

COWでは、COを実践するために必要な5つのリーダーシップを学ぶことを目標にしています。ここでのリーダーシップとは、「先行きの見通しがたたない不確かな状況の中で、人々の目的達成を可能にする、その責任を引き受けること」です。具体的には、➀ストーリーの共有、②関係に基づいたコミットメント、③明確な組織構造、④創造的な戦略、⑤測定でき、目標のある行動、の5つの実践があり、それぞれの単元(モジュール)を「講義を聞く→手本を見る→実践してみる→振り返る」のプロセスを繰り返しながら学びました。

5つのリーダーシップ

単元(モジュール)

➀ストーリーの共有

パブリック・ナラティブ(ストーリー・オブ・セルフ、ストーリー・オブ・アス、ストーリー・オブ・ナウ)

②関係に基づいたコミットメント

関係構築

③明確な組織構造

リーダーシップチームの構築

④創造的な戦略

戦略

⑤測定でき、目標のある行動

(アクション)

お互いの価値観で繋がる関係とチーム

1日目に、コーチング、パブリック・ナラティブとストーリー・オブ・セルフ、関係構築、リーダーシップチームの構築、2日目に、戦略、パブリック・ナラティブ(ストーリー・オブ・アス、ストーリー・オブ・ナウ、ストーリー・オブ・セルフをつなげたもの)について学んでいきました。

ストーリー・オブ・セルフでは、自分自身の価値観を伝える方法としての語り方を学びました。現在、各自が取り組んでいる活動への原動力がどこから生まれてきたのか?過去を振り返り考えました。どのような困難に直面したか?その際にどのような選択をとったか?そして、その結果、何を感じ・学んだのか?を一貫した力強いストーリーとして語ります。

5分間で考え、2分で語るという短い時間で、実践の難しさに戸惑いながらも、価値観を経験や感情を語ることで伝わったときの効果を実感したモジュールになりました。自身のストーリーを語り、チームメンバーのストーリーを聞き合いました。胸の奥がぐっと熱くなるストーリーに参加者の熱い想いが溢れて、感動する場面が多くありました。

関係構築では関心事だけではなく、価値観で繋がる関係を築くための1対1でのミーテイング(1on1)を実践しました。お互いのストーリーを知ることで、共有する価値観を見つけていきます。その共有する価値観に根ざすお互いの共有する関心を見出し、その関心事を一緒になすために必要な資源を交換します。ペアになり、相手に色々な質問をして探究することに時間をかけながら、相手の価値観、関心、資源を知り、同時に、自分の価値観、関心・資源を共有しました。

リーダーシップチームの構築では、チームの共有目的と、ともに取り組むためのノーム(グランドルール)をつくり、各自の役割と責任を明確にしました。そうすることで、機能するチームづくりを実践しました。

ワークショップで初めて会う5~6人のチームでどんなことを目指すチームか(目的)、誰と一緒に活動するのか(同志)、そして、目的を達成するためにこのチームは何をすべきか(活動)を言葉にしていきました。集まったメンバーの関心はバラバラに見えても、価値観で繋がることができる!私が一緒に取り組んだチームでは、「ひとりひとりの存在が大切にされ、皆がありのままの自分でいて安心できる社会」を作りたいんだ!とチームが一体感を持った瞬間でした。

1日目が終わるころには、参加者も運営スタッフも充実した疲労感!

もっとがちがちになると思ってけど、価値観に触れられて、発言しやすく、聞きやすく、心地よく、楽しかった

聞く姿勢が自分で思ってたより大変だった。聞きながら受け止め相手の思いを受け止め、また返していくのが難しかった。今後の自分の活動に活かしたい!」といった感想がありました。

2日目に向けて気合十分です!!

望むものを得るためには、戦略とナラティブが必要!戦略的ゴールまでの道筋を描く!!

ワークショップ2日目。1日目と同様に緊張しつつも、期待感に膨らむ参加者のみなさんがオンライン上に集まりました。1日目に作ったノームの確認とチェックインから2日目が始まりました!

人は、「どうやって行動するのか」が分かり(頭での理解)、「なぜ自分が行動するのか」が分かり(心での理解)、「何をすべきか」が分かる(手の動かし方の理解)ことで、行動につなげることができると1日目のコーチングやパブリック・ナラティブで学びました。

2日目は、一緒にパワーを高めてゴールを達成したい人々と課題を解決するためにどのように力を合わせるのか(戦略)、なぜ今行動するのかという動機にかかるパブリック・ナラティブを学びます。

戦略Ⅰでは、共有目的を踏まえ、困難に直面する「同志」は誰か、どんな困難に直面しているかを分析することから始めました。現場を明確にし、誰が関係者であるかオンラインのワークシートを使いながら、マッピングしていきました。関係者を具体的に挙げ、関心や資源を明らかにしました。問題を解決するための資源や権力をもつ人々に影響を与えるために、同志のもつ資源をどのように用いてオーガナイズできるか?変革の仮説をつくり、一文にまとめました。

戦略Ⅱでは、戦略Iで作り上げた戦略を達成するための具体的な戦術を考えました。設定した戦略的ゴールを達成するために、キックオフ戦術、複数のピークアクションをタイムラインに落とし込んでいきました。立案した戦術は戦略的ゴールに繋がっているか、同志の資源を上手く使えているか、同志の問題解決能力を高めるものかを確認しながら、キャンペーン・タイムラインを作っていきました。

立案したキャンペーンを、全てのチームが全体発表!

「キャンペーン・タイムラインが具体的なチームは、リアルに感じて応援したくなった!」

「インパクトの強いキーワードがキャンペーンに入っているとわくわくするし、これならやれそう!と思える。」といった感想が飛び交い、課題を解決するための具体的なアクションの考え方の理解が進みました。

パブリック・ナラティブ(ストーリー・オブ・ナウ/アス/セルフの繋げて語る)では、ご自身のストーリー・オブ・セルフ、会場にいる全員のストーリー・オブ・アス、それぞれの課題の緊急性を語るストーリー・オブ・ナウを全てつなげて、パブリック・ナラティブを作成しました。「5分でストーリー作って、3分で話す!」というチャレンジングな課題にも前向きに取り組みました。

 価値観が経験と感情を介して伝わってくるストーリーに、目頭が熱くなる参加者と運営スタッフ。オンライン上での発表者からの呼びかけに対して、参加者の皆さんからたくさんの”いいね”や“拍手”のリアクションがありました。なぜ行動したいのか、しなくてはならないのかという思いを改めて、参加者同士で感じあった瞬間でした!

ワークショップが終わってからが本番!今後に向けた参加者の声

2日目のワークショップの終了時には、それぞれこの2日間を振り返り、明日からのアクションプランを考えました。2日間のワークショップでの学びを活かせるように具体的に考えました。参加者の声を一部抜粋して、お届けします!

  • 「今回初めてCOWに参加したが、チームの雰囲気が良くてのびのび学ぶことができた。2週間以内に業務が大変な若手職員に声掛けをして状況を聞きたい。傾聴することの大切さと咀嚼することの大変さを実感したので、実践していきたい」
  • 自分の価値観を大切にして、希望を語ることのパワーを感じた。仲間と一緒に一つのことを作ることの大切さを学んだ濃密な二日間だった。セルフを3人に語る、ナラティブを磨き直すというのが出たので、それをやってみたい。熱いチームメンバーでした」
  • 「現在進行しているプロジェクトの打合せが明後日にあり、この2日間の学びを取り入れたい。心が動かされて自分ごととして考えられるようになったので、周りにも内容をシェアして、チームのみんなが自分ごととして考えられるようにしたい。聞く姿勢や思いやりの気持ちを忘れないでやっていきたいと感じた!チームのみんな出会えて良かったよ!」
  • 「パブリック・ナラティブの構造を学んだので各々の場で使いたい。COをやっていく意義が感じられた二日間。パワーを奪われてしまっている人でもできると思った。関係構築、チーム構築は奥が深く、自分の本音、価値観を語ることが重要と感じた。希望を感じながら進むことが出来たと実感したので、これを継続してやっていきたい。わくわくした二日間。価値観を共有できてよかった」

参加者のみなさん、2日間のワークショップ、本当にお疲れ様でした!ワークショップが終わってからが本番!何度も実践し、チャレンジし続けていきましょう!

レポート:里見翔平(コーチ) 

吉田香澄

ワークショップに参加した動機は?

コミュニティ・オーガナイジングを労働組合の集会などで触れる機会があり、新しい体験に気づきがあったり、この手法を使って様々な変化を起こしているんだな~と思っていました。

私自身は、岩手県の自治体や公務公共関連職場で働く労働者の労働組合で職員(書記)として働いていますが、担当している女性部の会議で、みんなの悩みや思いを聞く中で、「自分が学ぶことで、少しでも何かみんなの力になれないかな?」というのが最初のワークショップへの参加の動機でした。

1回目のワークショップでは、自分の大切にしている思い(価値観)の根っこにあるものがなかなか思い出せずにいたのですが、ワークショップが終わってから、だんだん思い出せてきて、「そうか~。そうだったんだ~」と思いました。そして、「この思いに力を持たせたい、もう一度学んでみたい」と、12月のワークショップに「学び直し枠」で申し込みました。

ワークショップに参加した感想は?

「学び直し枠」で申し込んだ12月。7月に1回目で学んだワークショップとは集まる仲間も違う中で、新しい感覚と楽しさ、発見がありました。また、学びが深まった感じがありました。おそらく、1回目は初めての体験や学びに、限られた時間の中でとにかく必死だったのが、2回目は、どういうものかイメージできていたので、1回目よりは余裕があって落ち着いて参加できたからではないかと思います。

そして、どちらの回でも感じたことは、スキルを学ぶこととともに、ワークショップがエンパワーメントされる場であるということです。このワークショップに参加する方々とこの社会や現状をよりよくしようと願いや思いを共有できることが大きいのかなと思います。

そして12月のワークショップでは、思い出せた自分の価値観の根っこにある体験と思いを言葉にしてお話しすることができました。その思いに共感していただけた喜びを通じて、ワークショップにむけた自分の意気込みでもあった「思いに力を持たせる」ことができ、エンパワーメントされ、そのことが今でも自分に元気を与えてくれています。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

今まで参加したことのあるワークショップは、基本的にはオフラインで、大体が主催者の方のお話を聞いて、グループ毎に交流するというものです。参加したコミュニティ・オーガナイジングのワークショップはオンラインという環境の中であっても、まったく自分と違う取り組みをしている方でも、学びを通して、しっかり気持ちが共有できました。

そして、ワークショップそのものが、運営する人が運営し、参加する人が参加するものではなく、この場にいるみんなでワークショップを作り上げている感覚があり、運営側でもないのに、こんなに自分が主体的に参加するワークショップは今まで無かったと思います。ノームというワークショップでみんなが守る決まり事があり、安心な環境の中で、たくさん考え、たくさん話し、あっという間に時間は過ぎていきました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

ワークショップで学んだことを、日々の中で、気を張らず、ちょっとだけ関係構築を意識して会話してみたりすると、日頃、一緒に活動している相手の思いなども聞けて、新しい発見があります。

今後もこのような実践ともいえないようなゆるっとした小さい実践も続けていきながら、まずは、関係構築をすすめれたらいいなと思っています。そして、同じ思いを抱いて活動する仲間を増やしていきたいです。また、活動の場である女性部の仲間たちと、思いを共有しながら、新たに一歩踏み出せるような活動を作っていきたいです。

小川真実

ワークショップに参加した動機は?

職場のボスからの誘いと勧めが最初の動機です。
参加したチームの仲間たちは、元々は会社を跨いだ事業者組合からの始まりでした。

社会を変えたい思いはありましたが、実際にどのように計画し、行動したら良いのか、またチームビルディングについても全く予備知識のない状態、そして失礼ながらコミュニティ・オーガナイジングという言葉の意味もわかっていない状態での参加でした。

同じ思いのある仲間が集まったチームではありましたが、私個人としては、チームの中での、自分自身の役割が定まっていなかったという感覚があり、そこが明確に見えてくるといいなと思い、参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

ワークショップには2022年と2023年の2回参加させていただきました。
全てが初めてのことで、特に1回目はとても緊張した状態で臨みました。ワークショップが始まった途端に自分について話すことから始めたので、そこで腹を括ったように記憶しています。

人前で話すこと自体には比較的慣れていたものの、社会を変えていくツールとしてのストーリーを話すということ、自分語りではなく人々と価値観でつながり行動に促すという点にフォーカスすることにより、私自身の活動に対する意識そのものが変わったように思っています。

コーチングはとても難しかったです。2回目、少しは慣れるのかなと思いきや、演習ではボロボロでした。それでも日常生活や仕事面では、役立っていると感じる場面もあります。貴重な知恵を教えていただき、感謝しています。

2回ともチームメンバーの皆と一緒に参加しましたが、実は初回ワークショップの時に初めて「チーム」が誕生したのだと感じました。これは一緒に参加したメンバーも言っていました。実はこれが一番ありがたいことなのかもしれません。
自分が迷っていた、チーム内での自分の立ち位置。これに関しては、改めてチームの皆とコミュニケーションしていくうちに自ずと見えてきました。こんなにシンプルなことだったんですね。一匹狼的な自分の癖もわかりました。良い悪いではないですが、もっとチームの皆に頼らないと!って。特に私は知識も技術も一番乏しいので。逆に強みは人間関係や人脈です。そんなところが見えて、これをチームに還元しようって思えました。背伸びしないということです。

そして面白かったのは、さまざまな人が集まることによって、これほどにアイデアや活動が広がるのだということです。多様なチームメンバー、多様な人々が交じり合うことによって、社会は動き、改革されていくのだなと身をもって感じたこと、大きな収穫でした。先ほどの話とも繋がりますが、だからこそ背伸びしないで自分の資源を生かそうと思えました

実践的な部分では、目標達成に向けてのキャンペーンの設定、つまりゴール実現への道筋ができたこと。また、それをチームの皆と細かい部分を擦り合わせながら言語化できたこと。
なんとなくみんなが同じ方向を向いているだけでは実は弱くて、一言で説明できるということ。これは活動を進めていく上で大変重要なことだと思います。

また、自分たち以外にもいろんな団体の方のお話を聞くことができ、こんなやり方もあるんだ、こんな風に成功していくんだ、という発見、世の中にはこんな人たちがいる、その人脈の拡がりが、勇気となり活動の糧になっています

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

印象的なのは、COJの運営スタッフの皆様のチームワークが素晴らしい!という点です。
かなりの情報量とテクニックやスキル、演習が二日間の中に盛り込まれています。それぞれの役割分担、タイムマネジメント、きっと事前の準備を緻密にされているんだろうなということが想像できます。
チームワークを学び実践する私たち参加者にとって、その姿はまさに見本となり、勉強になりました。これこそがコミュニティ・オーガナイジングなんですね。
そしてスタッフの皆さんはとても話しやすく、親身になっていただける。そこにすごく安心感を覚えました。実際に私たちが取り組んでいる署名もわざわざ郵送してくださったり、本当に温かい心の方々です。

それから、これほどまでに実践的な内容のワークショップは初めてでした。講義を受けたら間髪入れずにすぐに演習に入ります。オンラインで受けましたが、まるで対面で受けているかのように、運営の皆様や他の受講生の皆様との距離が近く感じました。別々のフィールドで活動している受講生同士、素直にお互いを応援し合えること、一つになる感覚、これは今までにはない経験でした。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

私たちは、主に富士川というフィールドで活動しています。
目的は「自然と人が共生する未来」。
今回、この目的意識が明確になったことが大きな収穫だったのですが、ここがぶれることなく今やるべきことひとつひとつを積み重ねて、実現に向かっていきたいと思います。

初対面の方との関係構築、ワークショップでも実践しました。
それからパブリック・ナラティブについて知り、実際に使うこと。
これらはすでにかなり役立っています。
実践形式のワークショップだったからこそ、その日から使えています。
忘れないように使い続けないと、ですね。
自分としては「ストーリー・オブ・アス」が勉強になったと同時に、苦手なことでもあるので、頑張りたいところです。

キャンペーンを練り、計画して、行動する。
自分の思い、過去の軌跡から未来への展望を語ることで、関係を構築して共感を得る
一人一人の地道な行動で社会が変わっていくことを教わり、そして手応えを感じているところです。
自分たちの手によって変革は起こせるということを、多くの方と一緒に体現できればと思います。

自分たちの手で本当に社会は変わっていくのか?
参加前は疑問でした。
今、その道筋が明確になっているのは、COのおかげです
ありがとうございました!

2023年度パタゴニア×COJ「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ」開催レポート

2023年9月9日(土)・10日(日)に、パタゴニア日本支社と共催で、Charities Aid Foundation America (CAF America)の助成を頂き、パタゴニア日本支社の環境助成を受けて活動している3チーム12人に対してオンラインワークショップを開催いたしました。

今回、2022年にもコミュニティ・オーガナイジング(以下、CO)のワークショップに参加した方が、また新たなメンバーとともに参加してくださり、実際に活動しているからこその嬉しい変化を感じました。COでは、雪の結晶のように、最初に立ち上がった人の想いが広がっていき、2層・3層と新しいリーダーがうまれていくスノーフレーク型の組織の在り方を目指します。まさにそんなリーダーシップの在り方を体現されていて嬉しかったです。「また新しいメンバーと来ました。このメンバーと考えられるのが楽しみです」と前回参加した方がにっと笑って話していて、リーダーってこういう人たちのことを言うのだな、と思いました。

「実際に活動しているからこその熱さ」ー【コーチング】【ストーリー・オブ・セルフ】

地域によって、活動の現状は様々です。繁忙期のなか参加したチームも多く、ワークショップの最初はすこし、そわそわした空気がありました。
ですが、それも束の間、ノーム(ワークショップでのお約束)を決める時に「みんな一所懸命だから(本気だから熱くなりすぎてし)言いすぎてしまうかもしれない。でも大目にみて欲しい」と、このワークショップへの真剣さが伝わるノームが出ると、その後も「どうしても困ったら他の人にパスしちゃおう」など、ワークショップをみんなで乗り越える工夫も出されました。
冒頭から参加者全員が助け合える、そんなノームがうまれ、ぐっと気分が和らいだように感じました。

最初に講義・演習をおこなったのは「コーチング」。質問と言い換えを使って課題解決が滞っている原因を見つけ、どうアプローチするのか自分自身で見つける演習をしました。
各演習をまわって見ていましたが、やはり活動家の課題には共通点があるのかもしれません。真摯にお互いの課題を聞き合っている姿が印象的でした。課題を抱えたことがあるからこそ、コーチングをしっかり学びたいという気持ちが伝わってきます。

続いて「ストーリー・オブ・セルフ」の演習へ。演習では「私が今活動している(リーダシップをとっている)原動力はなにか、それはどこからきたのか」を2分という短い時間で語るチャレンジをしました。「環境」と一口に言っても、その人がなぜ立ち上がれているのか、その根源にある価値観はひとりひとり違います。
今回のワークショップ参加者の方は、チームで活動されている人たち。お互いの価値観を理解する時間は、どこか照れくさそうな感じもしました。でも「幼少期の考え方が、今の行動に反映されていると振り返れて、自分を支えているものを意識できた」という振り返りなどから、ストーリーを話すことがご自身のエンパワーメントにも繋がっている、と感じました。
全員の場での発表の際、若い時にはじめて立ち上がったストーリーをシェアしてくださった参加者の方に、皆で拍手を送りあいました情景やその時にどんな気持ちになったのかをあわせてストーリーを語ってくださったので、聞いている私も、その経験が目に浮かぶようでした。そして「立ち上がってよかった」という気持ちも一緒に伝わってきました。実際に変化を起こすことは、非常に難しく、時に疲れてしまうことがあると思いますが、そんな時にも是非ストーリー・オブ・セルフを思い出してほしいなと、皆さんの拍手を送る姿を見ながら思いました。

乗り切ろうという気持ちのもとで、チームになっていくー【関係構築】【チーム構築】

1日目の後半は、他者との関係を構築する「関係構築」と「チーム構築」というリーダシップスキルにチャレンジ。
関係構築はチームのメンバー同士で行い、改めて、このチームが共有していることを話し合います。
昨年ワークショップに参加された方から「あ~!やっぱ実践しないと忘れちゃうのね~!」と感想をいただきましたが、1日の終わりには「地元で実践したいと思った」「もっとやらないと!」と熱い想いに変わっていたようでした。

チーム構築の演習は、決めたり話し合ったりすることが多い、骨の折れる演習です(その分、チームの目標やノームが決まったあとに大きな達成感を得られます)。実際に動いているチームなら、なおさらチームの共有目的を明文化するのは難しい作業だと思います。
演習ではリーダシップチームの「チーム名」や「チャント」(そのチームならではの、頑張るぞ!という時などに使う掛け声)を決めるのですが、演習で話し切れず、すべて決まらなかったチームもありました。そんな時、私だったら少し悔しくなってしまうと思います。ですがそのチームは「最後まで話し切れなかったんですけど、途中まで話せたので、いまちょっとやってみてもいいですか!」とその場でチームメンバーで声をかけあい、やり切りました。
お互い助け合えたり、トライできるいい時間を積極的につくっていて、凄い!と思いました。

真剣!戦略、タイムラインづくり」ー【戦略Ⅰ【戦略Ⅱ】【パブリック・ナラティブ

2日目は、戦略について話し合います。
戦略Ⅰでは、まず達成するゴール設定を決めることにチャレンジし、その後どうやって変化を起こすか仮説をたて、明文化します。戦略Ⅱでは、仮説に基づき、実際どんなことを行うのかをタイムラインに落としてく演習を行います。
振り返りの場面では「他の地域で起こっている問題と、解決策の発表を聞くことでも学びになった」「全国の同じような価値観や活動をしている人たちに勇気づけられたという声もあり、チーム同士で刺激をもらえたように思います。
また、お昼休憩時間も、もっと話したい!という感想も出ていて、「この人たちは本当に社会を変えていく人たちなんだ」と感動しました。

最後の演習は「パブリックナラティブ」です。
パブリックナラティブとは、1日目におこなったストーリー・オブ・セルフに加え、ストーリー・オブ・アス(私たち)、ストーリー・オブ・ナウ(緊急性)も語り、キャンペーンに対して具体的なアクションを呼びかけるストーリーです。
講義では、モデル(見本となるスタッフのパブリック・ナラティブ)を2回にわけて聞いていただき、パブリック・ナラティブを体感するだけでなく、どのように語るかを詳細にひとつひとつ確認しました。すでに地元にはキャンペーンに参加してほしい(=パブリック・ナラティブを語りたい)同志がいる参加者の皆さんの目は真剣そのもの!メモをたくさんとりながら聞き、講師が「どこにアスを感じましたか?」など質問をすると、皆さんZoomの「手をあげる」ボタンを使ってどんどん発言します。1日目の最初のぎこちない空気が嘘のよう。
きっと実践で、パブリック・ナラティブをたくさん話すんだろうな。今日考えたアクションにどんどん誘っていくんだろうなと感じました。
戦略はいろいろ考えなければいけないことが多く、眉間にしわを寄せていた皆さんでしたが、最後は、お互いのアクションに「参加するよ!」「イベントのリンク送ってー!」といったチャットが溢れていました。

「できない・しかたない」を「できる・しかたある」社会へ、みんなでCOを使ってむかっていこう!

できあがった戦略には、同志・一緒に変化を起こしたい人、変わってほしいところの名前が具体的にあがっていました。特に同志の名前が具体的で、立ち上がっていくイメージができたので「実際にオーガナイジングをやっていくんだな」と私たちもわくわくしました。
COを実践し、実際に「できる!」とみんなが声をあげられる社会になったら、これ以上嬉しいことはありません。
今後は、年度末までに2回の合同ミーティングと、各チームごとに必要なトレーニングをします。3団体の活動がよりパワフルで、よりわくわくする活動になるよう、これから伴走させていただきます。皆さん、本当にお疲れ様でした。

レポート:山崎鮎美(コーチ)

<参加チーム>
富士川 Free to Flow(富士川に設定された、 河川環境保全のための「維持流量」を満たす放流を求める住民運動)※署名実施中
奄美せとうち観光協会(鹿児島県奄美大島南部の瀬戸内町で、環境保護保全、青少年育成など幅広い活動を実施している団体)
今ノ山愛好会 (高知県土佐清水市にある今ノ山を削って建設予定の大規模風力発電計画について、住民一人一人が考える場を作り、首長がその意思を汲んで意思決定することを求める住民団体)

佐藤美紀

ワークショップに参加した動機は?

新聞記者から転職して公務員2年目。子育てや仕事、プライベートでやりたい活動など、今後の自分のキャリア、生き方に悩んでいたところ、フェイスブックでCOJを知りました。前職時代から多方面でお世話になってきた方々がCOJをおすすめしているのを見て、「何かいいきっかけになりそう」と参加を決めました。

よくよく調べてみると、コミュニティ・オーガナイジングの目指すところと、自分の「地元を、地元の人が誇りに思う街にしたい」という考えは、重なっている部分があると感じ、ワークショップを楽しみにしていました。

ワークショップに参加した感想は?

価値観を言語化できたことが大きな収穫でした。やったことは大きく二つです。

1.自分自身について深く考え、話した(ストーリー・オブ・セルフ)

2.目的をもって関係を築く経験をした

ストーリー・オブ・セルフでは、自分を今の活動へ突き動かした価値観について、これまでの経験から深く深く、探っていきます。私の場合は「なぜ記者になろうと思ったのか」、「なぜ地域のために貢献したいと思ったのか」について深掘りし、幼少期の環境や経験、そして東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後の活動が、今の価値観である「挑戦する人が応援される社会の実現」を形作っていることを再認識しました。

その社会の実現を目指すには、仲間、コミュニティ・オーガナイジングでいう“同志”の存在は不可欠。その同志と、どのように価値観を共有し、よりよい関係性を築いていくのかーー。自分の価値観をきちんと知ったからこそ、相手に伝える言葉の重みが増して、説得力を持って関係構築に臨めたと思います。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

こんなにも頭をフル回転させたワークショップは初めてでした。まず新鮮だったのが、時間にとっても厳しいこと! よくある「また終わってない人~?じゃああと3分延長しまーす」なんてことはありません。正直、もう少し時間をかけて考えたかった部分はありましたが、時間にきっちりしていることはあらかじめ聞いていたので、全てのセッションに本気で、全集中で臨むことができました。

また、ワークショップに参加してみて、これまでの仕事のミーティングなどを振り返ると、課題に対して解決法やアイディアを出す前に、チームで価値観を共有することが大切で、その構築に時間をかけていくことが必要だったことを痛感しました

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

改めてチーム内での対話、価値観の共有にできるだけ時間を割きたいと思います。特に新しい事業を動かすときは、どうしても数値的な目標や戦略的プロセスを重視してしまいがちでした。一歩踏みとどまって、お互いを知り、自分の価値観やチームの向かうべき目的を共有することを意識していきたいです。

また何より、自分の大好きな地域で活動している方々と出会い、つながれたことは貴重な財産となりました。新たなアクションを起こすきっかけをいただけたことに、感謝します。

コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップinふくしま

2023年9月9日(土)、福島県福島市のチェンバ大町にて、「コミュニティ・オーガナイジング・”ミニ”ワークショップinふくしま」が開催されました。

今回の企画は、2019年2月に同会場で開催された2日間のワークショップに参加したメンバーが中心でした。ワークショップを経験後に、紆余曲折を経ながらも勉強会やお互いのコーチングなどを継続してきたメンバーです。続けてきた中で、「もっと多くの福島の人たちに、コミュニティ・オーガナイジングを知って欲しい」「もう一度、福島で学ぶ機会をつくりたいよね!」という思いから出発し、半年ほどかけて準備をすすめ実現しました。

コロナ禍を経て、久しぶりに対面式でおこなうワークショップに参加したのは23人。福島県内で市民活動に取り組む方、自治体職員、教育関係者など、幅広い分野の方たちがコミュニティ・オーガナイジングに関心を寄せて参加してくれました。(ちなみに、コーチ陣の多くは、県外から福島に想いを寄せ駆けつけてくれました。感謝!)

当日の朝は、会場が開くと同時に参加者が集まり、10分程度で受付が完了。学びに対する前のめりな気持ちが表れているようでした。

今回のワークショップの内容は、①コミュニティ・オーガナイジングとは?、②コーチング、③パブリック・ナラティブとは?/ストーリー・オブ・セルフ、④関係を通してパワーを構築する(関係構築)、⑤リーダーシップチームの構築。参加者は講義を聞き、4チームに分かれて演習にチャレンジしていきました。

朝の主催者あいさつを経て、チェックイン。はじめて顔を合わせる人たちも多くあり緊張した雰囲気がパッと明るくなりました。

講義は「導入:コミュニティ・オーガナイジングとは?」で歴史との関連や体系的にまとめられてきた流れを学び、「コーチング」の講義と演習へ。動画で悪い例、良い例のイメージをつくってグループで実践スタート。頭、心、手、5つのステップを意識してチャレンジした振り返りでは、「 課題が3つの視点のどこなのか、自分でもわからないので、コーチングで質問され、見えるようになった」との声も。

ストーリー・オブ・セルフでは、短時間でつくることに苦戦する参加者がいる一方、自身の体験を織り交ぜて、強い意志が伝わるセルフを披露してくれた方もいました。チャレンジした参加者からは「過去とのつながり、動いていることがわかった。つながったことで納得感を得られた。やりたいこと、やり始めていることに自分自身が信じて良いんだと思った」や、この場はノームがあって、安心して自分のことを話せる。そして、強いストーリーは心に響きますね」という感想がありました。

朝から濃い講義とワークをこなし、遅い昼休憩。参加者同士の交流も賑やかにすすみました。

午後は「関係構築」の講義から。
午前中のセルフを元に、チーム内でペアをつくって共有する価値観、それぞれが持っている関心と資源を探るワークをおこないました。関係構築をすることで「自分にどんな資源があるかわからないと思ったが、ペアの人が気づかせてくれた」や「ワクワクした」と、可能性が広がる感覚を持つことができたようです。

その後、今回の最後の単元となる「チーム構築」へ。限られた時間の中で、チームの共有目的、チーム名、チャントを決めていきます。ここまで来るとチーム内のテンションもあがり、活発な意見が出されてくるのが印象的でした。時間をめいいっぱい使って、チーム名、チャントを決めて発表です。

1日を共にしたチームの発表は、どれも思いや資源が出ている特徴あるプレゼンテーションでした。

 

最後の振り返りは、全員で円をつくって一人ひとり「気づきと学び」を発表しました。

  • 午前中の時から時間が経つのが早い。理解できないこともいっぱいあったし理解できてもしきれない。こういう世界に触れられた経験は大きい。この経験を無駄にしたくない。なんかしていきたい」
  • チームが上手く機能しないのは当事者とやってないからだと気がついた。組織にどうやって落とし込むか。今やっていることをストーリに落とし込みたい」
  • 「学校に勤めていると視野が狭くなってしまうので、視野を広げるため参加した。ヒントになることがいっぱいあった。現場で活かしたい。硬い椅子に5時間座る子どもたちを尊敬する一日だった」などなど。

4年半ぶりに福島で開くことができたコミュニティ・オーガナイジングのリアルな学びの場でした。ワークショップ後、企画をした福島メンバーと今回の参加者による月イチ勉強会がスタートしています。今後の展開にも期待!?

(コーチ:小抜勝洋)

 

荒川 隆太朗

大阪生まれ大阪育ち。大阪市や門真市、豊中市などでNPOの中間支援で4年間勤務。同時に学童保育の指導員や子どもの居場所づくりの支援を行う中で不登校児に対する支援の必要性を感じ、豊中市でフリースクールを設立。また、大学在学中から6年ほど心理学を独学で学びつつ、対話的な実践を通じて人が癒えていくプロセスを探求中。
NPO、教育、心理の文脈から小さな街でのコミュニティ・オーガナイジングの実践を通じて、個人と社会の変容に関わっている。
NPO法人Gift 副代表理事
NPO法人クレイシュ監事