ちゃぶ台返し女子アクション Vol.1 (鎌田華乃子)

IMG_6389

※2015年11月ニュースレターより

ちゃぶ台返し女子アクションというコミュニティオーガナイジングプロジェクトをコーチの大澤祥子さんと初めました。

オーガナイジング・プロジェクトを一言で表すと?
日本女性のおかれている環境や、期待されてる役割を変えたいと思う女性達と、自分らしく生きられる社会を目指し、自分の問題が個別事情ではなく女性共通の問題であることに気付き、「声を出していいんだ!」という実感を得ることにより、今の女性の声を代表する組織を立ち上げることを目指します。2016年2月28日に東京駅の前で女性を取り巻く問題を見える形にして、それをひっくり返す「大ちゃぶ台返し」をします。

ウェブサイト:https://www.facebook.com/chabujo/

誰にとって、どんな緊急の課題があるのか?
2014年の男女平等ランキングは142カ国中、104位。政府では女性の活躍推進を進めていますが、本当に女性がその能力を発揮することができる環境が日本にはあるのでしょうか?育休、産休は取れ、託児所もそれなりに整ってきました。でも自分の時間を全て会社に捧げないとやりがいのある仕事が出来ない、会社に迷惑が掛かると思い仕事を離れる女性。日々子育てと家事に追われ自分のための時間が取れない女性が沢山います。最近託児付きの女性向けイベントが日本で増えましたが、北欧では女性向けイベントで託児は不要、母親以外の人たちが子どもの面倒をみるのが当たり前なのです。制度は整って来ても沢山の「こうあるべき」に女性達は捕われています。日本女性は誰かのためではなく自分の人生を生きているのでしょうか?そして日本社会は人口の半分を占める女性たちの資源を無駄にしていないでしょうか?

どうしたら課題が解決するのか?
今日本には子育てや仕事をする女性の声を集め、政治や社会に届けられる組織がありません。それには当事者である女性自身が声を上げ、その声が束となっていく必要があります。でも生活や仕事の問題や疑問を話す場もないので、「私が我慢すればいいんだ」「私が悪いんだ」「しかたない」と女性は言葉を飲み込んでしまいがちです。でも「何に私たちは抑えられているのか」と深い対話をしていくと問題がみえてきます。その問題をちゃぶ台返しながら叫び、変えて行くためのアクションを宣言する、というのが最初のステップです。しかも話してみると、女性の抱える生きづらさは根っこが同じ、今の社会の仕組みに沢山の問題があります。多くの「変えたい!」という声を集め女性の声を代表する組織を立ち上げる事で、女性の問題を公の問題として認識し、政策を変え、多くの女性に勇気を与えるアクションを取って行き、女性自らが女性としてほしい環境をつくっていくことを目指します。

広がって行く組織をどう作って行くのか?
コアチームである「戦略練る隊」を中心に、1)対話を通じて繋がる、2)女性を取り巻く問題を学ぶ、3)勇気を与えるアクションをする3つのチームを立ち上げて行きます。まず首都圏での組織作りを目指しますが、将来的には地方にも広げて行きたいと考えています。

現状と今後の展望
コアチームが7名、そのうちCO学習者が5名という強力なチームが立ち上がりました。そのコアチームで11月8日にキックオフイベント「Women Negotiating〜Noから始まる女性の交渉〜」を開催。そこでさらに多くの女性が仲間に加わりました。今後も活動を広げ、2/28の大ちゃぶ台返しに向けてパワーを溜めて行きます。

 

※2015年11月ニュースレターより

オーガナイザーTIPS(COJフェロー 中嶌 聡)  「独裁体制から民主主義へー暴力に対抗するための教科書—」 2015年11月ニュースレターより

※このコーナーでは、ワークショップを受講頂いた方、オーガナイザーを志す方にとって活動のヒントとなるような内容をお届けします。今回は書籍の紹介です。

 「独裁体制から民主主義へー暴力に対抗するための教科書—」

ジーン・シャープ

「アラブの春でバイブルとされた書籍」と聞いて、迷わず手に取った。まず暴力的闘争を倫理的な側面からではなく、「抑圧者がほぼ常に優勢となる闘い方」だと、戦略的な側面から批判している点がユニークだ。さらに「猿の主人の寓話」を引用し、独裁政権の力の源が民衆一人一人が政権を受け入れて従属していることであると解き明かす。巻末の「非暴力行動198の方法」は、戦略や戦術を作る時、大いに役に立つ。たった150ページほどにも関わらず非暴力運動の理論と実践を学び取れる、数少ない良書である。

Organizertips201511

執筆:COJフェロー 中嶌 聡

2015年度コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップin岩手

2015年9月25日(金)~9月27日(日)、岩手県遠野市の「柏木MASSE」にて、公益財団法人日本財団の助成を頂き、「2015年度コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップin岩手」を開催いたしました。

IMG_0576

東日本大震災の復興に向け最前線で活動する方、地域課題解決を目指し奮闘する社会起業家、ソーシャルワーカーを目指している学生などなど、岩手県内外から多様な14名が参加しました。

IMG_0906

どのパブリックナラティブも心を打つものばかりでしたが、特に印象的だったのは、コーチングを受ける前と後との違いに毎回驚かせられたことです。自分を見つめ、それを言葉として紡いでいく…。すべての人1人1人に素晴らしいストーリーがあることを改めて認識することができました。

IMG_0941

最後の振り返りには、目まぐるしいスピードで過ぎ去った2泊3日の出来事と学び、そしてやり切った充実感が表れていました。

「資源が当事者という事も気づかされた。やさしいメンバーに支えられた」「これからチームでやっていく時にこの学びが活かせるなと思った。ワクワクしている」「3日間参加して個性豊かなメンバーに会えてよかった。居心地の良い空間だった」などなど、仲間への感謝や次のアクションを聞くことができ、とても一体感のある場となりました。

 IMG_0612

IMG_0862

参加者からは、「さまざまな年齢層のさまざまな視点のある人たちが、一緒になって目的に向かい、活動することができることを学びました」「セルフの開示が共感の根幹にあること。多くの人の「セルフ」が繋がったときに大きな公共の力が生み出される」など、多くの学びの声をいただきました。

IMG_0657IMG_0633

岩手では、昨年もこのコミュニティ・オーガナイジングのワークショップを開催させていただき、その後、参加者有志により自発的な勉強会の場が設けられています。

今回の参加者にも、ワーク終了後も何かしらの繋がりが生まれること、また、この学びを東日本大震災の復興をはじめ、全国の社会課題解決に向けた活動に生かしていただけることを期待します。

IMG_0800 

IMG_0762

NPO法人いわて連携復興センターにおける報告ページ
http://www.ifc.jp/news/workshop2/entry-1668.html

 レポート:大吹哲也(現地事務局)

鈴木敬太

ワークショップに参加した動機は?

ひとが自分事として物事を捉え、ムーブメントを起こすにはどうしたらいいのか、ということを漠然と考えていたところ、偶然COJの存在を知った。当初はガンツ教授来日の際に参加を検討していたが、タイミングが合わず今回初めての参加となった。ムーブメントを起こすためのまだ知り得ない何か特別な手法があるだろうと、半ば思い込みと期待があった。学生時代前半はそれこそ国際協力など大きなものへの関心が強かったが、学生時代後半にアフリカゼミの活動を通じて、次第に国や人種を問わず「一人ひとりのひとが如何によく生きるか」というミクロな側面に関心を抱くようになり、ひとに寄り添った活動手法があるなら学びたいと思っていた。また、新規事業立ち上げのタイミングでもあり、人を巻き込むにはどうすればいいのかを知るヒントにもなればと思い、思い切って参加した。

ワークショップに参加した感想は?

“If I am not for myself, who will be for me? When I am only for myself, what am I? If not now, when?” (- ラビ・ヒレル、一世紀のエルサレムの賢人) この逆説的な問いかけから始まったWSは、いい意味で期待を裏切られた。キャンペーンを企画していく過程を、講義を時折挟みながらワークを通じて体感していくプログラムなのだが、一つひとつの工程は何か奇抜で特別な手法があるわけではなかった。何よりもまず、自分自身について語る「ストーリー・オブ・セルフ」が起点となり、「同志」を集め、イマを呼びかけ、そしてストーリーに乗せてアクションへと発展させていく過程が、納得感と共に受け入れられていった。内心、手法としてウルトラCがあるのでは?と思い込んでいたのだが、「私たちの誰もが人々が聞きたいと思うストーリーをもっている」という点が、とても人間味が有りむしろワクワクさせた。実際、グループワークを通じて参加者一人ひとりの想いに触れたとき、一人ひとりのストーリーに心動かされる瞬間が間違いなくあった。一見、己をさらけ出すという行為自体がとてもハードルが高く、中々初対面の人相手に内面を伝えることは勇気が必要だが、その勇気が共感を呼ぶのに一役買っていた。「変化を起こす」という腹を括った人が語る姿が、他者の自己受容を促しているようにも見受けられ、まさに講義中に取り上げられていたマハトマ・ガンディーを彷彿とさせた。何か変化を起こしたいとき、新しい武器を外から持ってくる必要はなく、己の中に既にあるということが目から鱗で、最大の気づきだったように思う。勿論、キャンペーン企画のためのテクニカルな手法も今後役に立つことと思う。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

現在ソーシャルベンチャーで予防医療事業に取り組んでおり、海外担当としてインドでの新規事業立ち上げに関わっている。まずはインドでの事業確立・拡大がミッションとなるが、他国への展開も将来的には視野に入れていることも踏まえ、国籍・人種・性別を超えた仲間を集め巻き込んでいけるようにしたいと思っている。その際に、部分的にでも今回のWSで学んだことは活かせるのではと考えている。また、昨今日本でもデモ等を通じ市民が立ち上がるケースがメディアでも取り上げられるようになった。次代を担う同世代の人たちと、また、さらに次の世代を担う人たちとムーブメントを起こす際には、きっと役に立つとも思うので、COJの活動を広めつつ、自分もコミットしていきたいと思う。

鴻巣麻里香

ワークショップに参加した動機は?

2015年2月にパブリックナラティブ(Story of Self)の1dayワークショップ(WS)を受講し、自分自身の物語によって共感を引き出し、つながりを広げるという新鮮な体験をしました。私はメンタルヘルスケアを専門としていましたが、そこでは物語(ナラティブ)を戦略的に用いるという発想がありません。しかし、自分自身の困難な体験を語り、自分と他者を共感でつながり、それが社会を変える種火となる。それによって私自身がとてもエンパワメントされました。そして同じ年の6月にそれまで勤めていた公的機関を辞め、不登校や貧困などの課題を抱え地域で孤立している子どもたちにおいしいご飯と自主学習のサポートを届ける安全な居場所づくり事業を立ち上げました。思い立って行動を起こしてから実現までわずか3ヶ月でしたが、充分な資金と協力者を集めることができました。それは活動の周知において、Story of Selfを意識的に活用しそれを軸とした効果です。
 
これは使える。間違いなく使える。

順調なスタートダッシュを切ったこの活動のその後の展開における必要性は、同志を増やすことと、その同志それぞれがリーダーとなって子どもたちの多様な居場所を各地に展開することです。そのためにCOが必須であることを確信し、参加を決めました。

ワークショップに参加した感想は?

「今・できることから動き出す」ことを肯定し、後押ししてもらえた感じがします。
自分が起こそうとしているアクションの、
①今、一番必要としている人は誰か
②今、できることは何か
このふたつが明確になります。地域の課題を把握し、アクションを起こそうとすると、いきなり大きなことに取り組もうとしがちです。お金を集めなければ、組織を作らなければ、場所を用意しなければ……そういった計画に時間を費やしている間も、地域の課題は放置されています。やろうと思った「今」が動く時であり、その「今」できることを探す。その「今できること」という小さな動きを積み重ねていく非常に実戦的な体験がエキサイティングでした。
 WSで学ぶことは戦略です。しかし、その戦略のベースにあるものは共感です。共感を引き出すのは私たちの体験についてのナラティブであり、それは困難な(トラウマティックな)体験です。共感によるつながりには安心感と信頼感があります。その安心感・信頼感という温かみのあるものを、戦略的に用いる。その柔と硬のコントラストと融合が印象的であり新鮮でした。
 困難な体験談を「戦略的に」用いる、という表現に抵抗を感じる方がいらっしゃるかもしれません。しかし戦略の前提には温かな共感があります。勇気を出して語る仲間のナラティブに心を動かされ、自らも語れるようになる。そしてその語り(ナラティブ)への共感が社会を変えるアクションへとつながる。それは自分の体験をポジティブな意味づけに変換する過程でした。そして同時に「困難を経験した人だからこそ必要性を感じ、動くことができる」という当事者の可能性への気づきとなりました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

今まで参加したどのワークショップや研修よりも、自分への自信と信頼を深めることができました。あれだけ時間に追われ、あっぷあっぷしながら、考えを深める余裕なく不完全なアウトプットを繰り返しコーチングされ…という容赦のなさでしたが、終わってみれば不思議と「私にはできる」という自信が深まっています。それは、仲間とチームを組んで実際に実現可能性の高いソーシャルアクション(社会を変えるプロジェクト)を立ち上げキックオフイベントを企画する、という超実戦的な演習によって培われた自信です。出身地も活動地域も職種も活動の対象者も異なる初対面の仲間でそれぞれの語りを共有し、関係を構築し、対象者を決め、アクションを起こす。しかもそれぞれのプロセスを「5分!」「3分!」「30秒!」という時間制限の中で行う。こんなんじゃだめに決まっている…もっとじっくり練ることができたらいいのに…そんな不安を通過して、しかし形になったアクションは、今すぐにでも現実化できそうな具体性の高いものでした。そしてそこには、私たちが今持っているリソースが活かされています。それが自信につながりました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

 当事者の可能性。
 それが、私がこのWSで得た最大の気づきです。困難を体験している人だからこそ、必要性を理解している。必要性を理解しているから、アクションを起こすことができる。その困難と必要性をナラティブに変換することによって、共感を引き出し、つながりを広げることができる。私が今まで「サービス(支援)の対象者(利用者)」としてきた人々が、私のアクションの同志になりうる存在だったのです。
 ピアサポート、という実践は各地で行われています。当事者が当事者をサポートし、支え合う支援の枠組みのことです。しかし、その当事者間の関係性の外側にサービスの提供者(支援者・専門家)が位置し、ピアサポートはそのサービス提供者が作る枠組みの中で行われます。当事者を同志とすることは、このピアサポートの枠組みとは異なります。サービスを提供する・されるという枠組みを抜け出して、必要性を共有する全員が当事者になり、同志になり、リーダーになる、ということです。
 私は今行っているプロジェクトを次の段階に進めるために同志を必要としていました。孤立した子どもたちの居場所を増やす、そして孤立した大人の居場所を作る、そのための同志です。WSに参加する前まで、私はその「同志」が地域の実力者や経済的な支援者、専門家だと思っていました。しかし、WSを終えた私にとっての同志は、居場所を利用する子どもたちであり、その親たちです。誰よりも必要性を感じている彼らこそが同志であり、彼らにはリーダーになるポテンシャルがある。彼らを同志として、そして新たなリーダーとして、共にアクションを起こしていく。COによってその可能性が拓かれました。

オーガナイザーTIPS(理事 小田川華子)2015年9月ニュースレターより

~COJニュースレター準備号(2015年9月8日発行)より~

※このコーナーでは、ワークショップを受講頂いた方、オーガナイザーを志す方にとって活動のヒントとなるような内容をお届けします。

気づかないうちに、気づかないところで起こる、孤立死。
近所では起こって欲しくないと誰もが願います。
かといって、今、近所のどこかで起こりつつあるかも、という危機感があるわけでもありません。
今から災害に備えないと!という場合も同じです。

「どうやったら、今、危機感をもってもらえるんでしょう?」
「あえて不安を感じてもらう働きかけをしてみましょうか?」

同志(地域の方々)が集まる場でオーガナイザーが語りかけ、同志のなかに眠る主体性を引き出していきます!
同志の皆さんが、そこにある課題を明確に、そして緊急性をもって認識できるようにする働きかけがコミュニティ・オーガナイジングの初期段階ではとても重要です。
ストーリー・オブ・ナウだけでは不十分と感じる場合は、ディスカッションやWSを取り入れてもよいですね。

実践!コミュニティ・オーガナイジング いわて(理事 松澤桂子)2015年9月ニュースレターより

~COJニュースレター準備号(2015年9月8日発行)より~

皆さん、ワークショップでの経験をどのように消化されていますか?

岩手県では、ワークショップ参加者の発案で、参加者が定期的に集う勉強会が行われています。
今日は、そんな岩手県で始まったオーガナイジングの実践プログラム
「実践!コミュニティ・オーガナイジング いわて」についてご紹介します。
このプログラムは、ワークショップ終了後にコミュニティ・オーガナイジングを使って市民活動を行いたい人たちが、お互いに学びを共有し、成長を支えながら4か月間で各自のプロジェクトを進めていくものです。

参加者は5名(沿岸地域が2名、内陸地域が3名)で、公益財団法人日本財団様から助成を受け、7月末から行っています。ピアコーチング(互いのプロジェクトをコーチングしあうこと)と、COJとの個人コーチングを重ね、各自が設定したゴール達成を目指しています。

テーマは「若者がつくる新しいコミュニティの形成」、「市民が地域課題に対するチャレンジをしやすいまちの実現」、
安心して子を産み育てられるための母親たちによる産後ケア施設の実現」、
「異なる居住形態の住民が協力する地域コミュニティづくり」、
復興でできた関係性を強化するための地域住民と町外ファンのコミュニティづくり」とさまざまです。

先日、2か月目のピアコーチングでは
「普段のチームメンバー以外に取り組みを共有することで、別の視点が得られた。すべきことも見えてくる」、
「この機会があってよかった。共有する場があるから(地元で初めての取り組みでも)進めていこうと思える」
といった声が出ました。プログラム担当者としても、同志(問題の当事者で、共に立ち上がりたい人たち)やゴールは違っても、
コーチングで互いのリーダーシップを高める手伝いができることを実感しています。12月の最終発表会が楽しみです。

~COJニュースレター準備号(2015年9月8日発行)より~

COJメンバーからのメッセージ(代表理事 鎌田華乃子)2015年9月ニュースレターより

~COJニュースレター準備号(2015年9月8日発行)より~

御陰様でCOJが設立し活動を開始してから1年半が経ちました。

昨年度は約20のワークショップを実施し、約500名が参加されました。
丸々2日~3日のワークショップにこれだけの方達が参加してくださったことに大変感謝しておりますが、ワークショップで見せるモデル(コーチが前で見本を行うもの)等大変準備にも時間が掛かる内容なのに月2に近いペースでよく達成できたな、、、とスタッフに大変感謝しております。

しかし昨年度一年間で痛感したのはワークショップはあくまでもCOを学ぶ場であり、自分の現場でCOを実践するのは大変なギャップがあるということです。
取り組む問題、立ち上がって欲しい人々の状況によって戦略は変わりますし、何から始めるかも変わります。
そして人々に働きかけ、しかも主体的に立ち上がってもらうCOの実践は「心」との戦いでもあります。
「恐怖」、「不安」、「迷い」、そんな心のチャレンジを支える上では、実践者の背中を押す「構造」が必要と考え、ピアコーチング、一対一のコーチングを定期的に実施するプログラムを作り、この夏から東北と関東で9人の方達の実践を伴走しています。
またソーシャルワーカーの方達の実践についても社会福祉を専門とする副代表の室田からご紹介いたします。

「東京都調布市の住民によるオーガナイジングの実践」

副代表理事 室田信一

先日、地元調布市の染地という地域で、子どもの貧困のための取り組みとして、家で孤立している子どもや夏休みの宿題が出来ない子、親が宿題を手伝うことが出来ない子のために、地域住民と一緒に地域福祉センターという場所で子どもの居場所作りの活動をしました。
仕掛けたのは調布市社会福祉協議会の地域福祉コーディネーターです。
このコーディネーターの方には7月にCOJのワークショップ(詳細1)を受けていただきました。

初めての取り組みのため、どれくらいの規模になるかもわかりませんでしたし、どのような子どもたちが参加してくれるかもわかりませんでした。
地元の小学校や中学校に数千枚のチラシを配り、敷居の低い居場所にするために、そうめんを出したり、スイカを出したり、アクティビティを企画するなどして、貧困世帯や課題のある家庭の子どもに限らず、たくさんの子どもに集まってもらうような工夫を凝らしました(詳細2)。

イベント自体はたくさんの子どもが集まる日もあれば、少数の日もありました。
貧困世帯や課題のある家庭の子どもの参加があまりなかったという点ではイベントは失敗だったのかもしれません。
しかし、この企画を進める過程で、企画に関わった住民の問題意識は高まっていき、より積極的に発言し、行動を起こし、さらなる協力者を募り、1年ほど前まではお互いのことをそれほど知らなかった住民同士が、一つの目標に向かってリーダーシップを発揮するようになりました

COJのワークショップではリーダーシップを「責任を引き受けること。その責任とは他者が不確実な状況で目的を達成できるようにすること」と定義していますが、地域福祉コーディネーターが発揮したリーダーシップはまさにこのようなリーダーシップでした。
そして、そのリーダーシップの輪は地域住民から次の住民へとスノーフレークしていきそうです(詳細3)。

COJの活動の舞台は様々だと思います。地域住民の活動や、東北での復興支援、政府に対する働きかけもあれば、身近な生活改善運動もあるでしょう。どのような舞台であれ、市民が力をつけていく過程は同じです。
先の見通しが立ちにくい時代だからこそ、多くの市民が力をつけ、リーダーシップを発揮することが求められています。

詳細1:COJでは7月11日、12日に第二回福祉現場の方向けワークショップを行いました。
開催レポート→http://communityorganizing.jp/workshop/fukushi201507/

詳細2:調布市社会福祉協議会 「宿題やるとこ遊ぶとこ in 染地」
http://cosite.jp/event/14315

詳細3:コミュニティ・オーガナイジングにおけるリーダーシップについて、詳しくはHP「コミュニティ・オーガナイジングとは」をご覧ください。
http://communityorganizing.jp/co/info/

「AUTUMN2015コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ」を開催いたしました。

2015年9月12日、9月13日、ウィルソン・ラーニングワールドワイド株式会社様の研修施設(東京都六本木)にて、「AUTUMN2015コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ」を開催いたしました。

 IMG_9275

今回は、首都圏、関西、東北など様々な地域から、会社員、NPO職員、大学生など、多様なバックグラウンドを持つ30名の方々にご参加頂きました。

 

開催初日の早朝には地震があり、開催できるのかという心配の中、無事30名が集まり、スタートをすることができました。

最初はお互いのことも探り探りであり、

「一体どんなことをやるのだろうか?」

「ここで自分が求めてきたものを本当に得られるのだろうか?」

という期待と不安が会場の中にはありましたが、

コーチング、ストーリー・オブ・セルフ、関係構築、リーダーシップチームの立ち上げを対話と議論を通して行う中で、徐々に熱を帯びていき、学びと関係を深めていきました。

そして、1日目最後のストーリー・オブ・アスでは、30名全員の価値観を共有をし、繋がり合いました。

 IMG_5445

2日目にはキャンペーンもどんどんどんどん具体的に進化していきました。

アクションでは、相手の価値観を知り、自分の想いを伝え、相手にアクションを求める方法を実践の中から学びました。

 

IMG_5437 IMG_5423

 

そしてパブリックナラティブでは、自分の価値観、活動内容、今やる必要があるのか、希望が心からの言葉で語られていました。

最後にはやりきった笑顔と、2日間を共にした暖かな一体感が会場を包んでいました。

 IMG_9278

このワークショップでは、

「選択って重要だと思った。その背景に自分の価値観、希望があるとわかった。」

「自分にも何か伝えられる力があるんだなと思った。」

「ここに来て、価値観を共有したときに人は年齢、性別、職業を超えて、結びつくことができると知った。」

「集中的にメンバーの中で長い時間同じ経験をして、それぞれの方の深い考え方を知れて、このチームだったら変えられそうと思えた。」

などの感想をいただきました。

 DSC_0261

今後それぞれの現場で戻ったあと、様々な困難にぶつかると思いますが、価値観を共有し、仲間と繋がり、学びを実践していくことで、きっと社会を変える力になっていくと思います。

 

DSC_0256 (1)

「生涯現役夢追塾」コミュニティ・オーガナイジングWSのご報告

平成27年7月30日(木)~8月2日(日)、北九州市にて「生涯現役夢追塾」コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップが開催されました。

 0801_08_演習

【生涯現役夢追塾とは】

「地域に課題を感じてはいるけれど、どうしていいかわからない・・・」

生涯現役夢追塾では、そんな夢や志のある50歳以上の方々が集まり、これまでに培ってきた経験やネットワークを使って自分たちの問題は自分たちで解決することができる「新しい地域の担い手」となるための塾です。

宿泊研修写真FB素材 (1) 

【ワークショップを受けて】

今回、生涯現役夢追塾の宿泊研修として、コミュニティ・オーガナイジングを学びました。

参加者の年齢は50代8名、60代10名、70代4名、20代1名(私、事務局飯野です。)と、他のコミュニティ・オーガナイジングのワークショップと比べて、年齢層がかなり高くなっていると思います。

 

研修1日目は「コーチング」を学びました。 WSの最後には、ペアになりワークを行い、和気藹々とした雰囲気でWSが終わり、2日後の宿泊研修が楽しみですという声が塾生から多くあがりました。 また、COの全体像を説明するために、昨年度の夢追塾9期生のプロジェクト「歴史遺産の中で未来を語る場プロジェクト」を取り上げ、プロジェクトメンバーにも経験談を語っていただきました。

 宿泊研修写真FB素材 (4)

研修2日目は「ストーリー・オブ・セルフ」「関係構築」「リーダーシップチームの構築」「ストーリー・オブ・アス」「戦略」について学びました。 当初は聞きなれない横文字ばかりで参加者の方々も戸惑っているようでしたが、演習を重ねるたびに理解が深まっているように思えました。 特に戦略Ⅰでは、「モンゴメリーバスボイコット」ではなく、公害問題と戦った北九州の主婦たちの事例「青空がほしい」を特別に題材に取り上げて頂き、北九州市民の我々にとって身近な市民活動の事例として学びました。

研修3日目は「戦略Ⅰ」「戦略Ⅱ」「アクション」「ストーリー・オブ・ナウ/リンキング」について学びました。 参加者は昨日の研修の疲れもありましたが、積極的に学ぶ姿勢が見られ、演習での議論は白熱したものとなりました。   夢追塾では、10月からの後期講座ではこのCOの手法でプロジェクトチームを立ち上げ、同士を巻き込み、戦略を立てていき、3月の卒塾までにキックオフイベントを行う予定です。

講師の鎌田さん、中嶌さん、4日間ありがとうございました!

この研修を受けた10期生の振り返りでは、以下のような感想がありました。(原文のまま) ・人は生きてきたストーリーで、様々な生き方があることがわかった。改めて皆さん人生前向きな姿勢が素晴らしい。 ・意志を伝え共有し共感し具体化していく事の難しさをあらためてわかった気がします。 ・今から高い山をめざして登ることになる。いくつもの困難に合い止まることもあると思うが、1歩1歩進むしかないと思った。新しい知識の習得になりました。 ・チームでまとめることの難しさ、またまとまった時の感激、やればできることがわかりました。 ・こう言う研修は何度となく体験して来ましたが、今回はそれらと違う何かを感じました。人を感動させ巻き込む事にみがきをかけて行きたいです。 ・最初は難しくてこんなの何の役にたつのかなあって思っていましたが、今日やってみてなるほどと納得できました。 ・文章力、対話力、話し方、また将来設計などに参考にしようと思います。私自身が足りなかった事など努力していきたいです。

0802_12_集合写真   

レポート:飯野 亮(NPO法人里山を考える会)
・NPO法人里山を考える会
 http://www.nposatoyama.org/
・生涯現役夢追塾
  http://www.yumeoi.org/
Facebook
 https://www.facebook.com/yumeoijuku

 

CATEGORY