第4回コミュニティ・オーガナイジング主催ワークショップ(2016年3月5日、6日開催)

 ハーバード大学ケネディスクールマーシャル・ガンツ博士が開発した、市民一人一人のリーダーシップをはぐくむ『コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ』を東京で開催いたします。

2014年1月7日NHKクローズアップ現代で特集され話題になりました。
※クローズアップ現代のサイトはコチラ
【“物語”の力が社会を変える】
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3448_all.html

<コミュニティ・オーガナイジングとは>
市民1人ひとりの力は小さいが、沢山の力が合わさることで強い力が生まれ、問題解決に立ち向かえるようになる。
そのために市民1人ひとりが主体性を伸ばし、共有する価値観のもとに協力し、共に学び成長しながら、問題解決を目指すことをコミュニティ・オーガナイジングといいます。

<対象>
社会問題の解決に関心のある方、草の根活動を広げたい方
※NPOリーダー、市民活動のリーダー、企業のリーダー(企業規模や役職に関わらず)、行政担当者など

<日時・会場>
【日時】
1日目:2016年3月5日(土)9時~18時00分(予定)
2日目:2016年3月6日(日)9時~18時00分(予定)
※2日間通してのご参加をお願いします

【会場】
日本財団ビル
(東京都港区赤坂1丁目2番2号)

<参加費>
社会人:3万円(早割あり)
学生:1万円
※参加費は二日間受講の費用です。
※本WSは二日間で1セットとなっております。

<お申込み・お支払い方法>
本WSのお申し込みは、下記Peatixのサイトよりお願い致します。

http://peatix.com/event/139379

<講師>
鎌田華乃子
特定非営利活動法人 コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン代表理事
横浜生まれ。11年間の会社員生活の中で人々の生活を良くするためには市民社会が重要であることを痛感しハーバード大学ケネディスクールに留学しMaster in Public Administration(行政学修士)のプログラムを修了。卒業後ニューヨークにあるコミュニティ・オーガナイジング(CO、普通の市民が立ち上がり社会を変えていく活動)組織にて市民参加の様々な形を現場で学んだ後、2013年9月に帰国。NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(COJ)を2014年1月に仲間達と立ち上げ、ワークショップやコーチングを通じて、COの実践を広める活動を全国で行っている。

<参加予定人数>
30名

板垣崇志

ワークショップに参加した動機は?

社会福祉法人が運営する美術館のディレクターをしています。知的な障害のある人たちによる独創の美術(アウトサイダーアート)からプロ作家の作品まで、多彩な表現をボーダレスに紹介します。また、傷ついた子どもたちに造形あそびのワークショップを届ける任意団体の活動もしていますが、子どもたちの悲しみを減らすため、社会にどんな変化が必要なのかを日々考えています。

美術館での事業の中心は当然ながら美術作品の紹介ですが、その目的としては文化振興以上に社会福祉への貢献に重点を置いています。目的の中核は共生的な社会の実現です。

共生社会とはなんらかの「社会的マイノリティ」の立場にある人々のみに利益となるものではなく(子どもたちもまた自ら社会に対して声を上げることができず、こうしたマイノリティと非常に近い立場にあります)、あらゆる人々にとっての本質的な福祉の達成に必要不可欠な前提であると考えています。

このような認識が社会に普及し、「人がマイノリティの立場にあることによって社会から疎外されないこと」が広く一般的な関心事となり、その為のアクションに参加する市民を増やしたい。その際に、コミュニティ・オーガナイジングの手法はきわめて重要な効果を持つのではないかという期待から、今回の参加を希望しました。

ワークショップに参加した感想は?

ストーリー・オブ・セルフ…自分のルーツを語ることで他の参加者の皆さんと出会う。十年付き合った友だちにも一度も話すことがなかったかもしれない記憶を、今日初めて出会う人たちと共有しあう。そんなワークショップの導入に、まず新鮮な発見がありました。社会課題への挑戦の動機には、一人ひとりの痛みの記憶があるのではないか。一人の人の痛みの経験は、時として他の多くの人の痛みを取り除く行動を生み出す。そして多くの他者はその痛みを共感する力を持っており、そこからさらに多くの行動が生み出される可能性がある。人間には、こうしてよりよき存在となっていく原動力が内在されている。そのことを確認する発見でもありました。

そうやって出会った人たちとチームメートになり、一緒に擬似的なキャンペーンを創出していくプロセスの中、とても短い時間で「仲間」の一体感が生まれていく。どの人も世界をよりよくしていこうとしている人たち。この出会いの喜びも大きかったです。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

常に実践を念頭においたワークショップであること。成果を出すための、具体的で明確な前提条件が示されてあること。学んだ基礎をもとに、じつに多彩な実践への応用が無限に派生すると感じました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

自分の仕事領域で、エンパワメントされることで立ち上がることができる当事者たち(同志)とは誰か。ここに複数の可能性がありそうです。楽しそうで、社会に素敵な変化を生み出せる方法は何か、考えています。

たとえば「知的障害者」と呼ばれる立場にある人たちが、自ら社会に発信する若干のスキルと機会を得ることで、自身の人間性によって多くの人とつながっていくには。

あるいは子どもたちが自身の言葉で、行動で、大人たちにもっと思いや願いを届けるには。

もうひとつ。人間の社会に属しながら、もっとも発言と主張の機会を持たない様々な「どうぶつたち」の幸福を、人間社会の課題として多くの人の関心事とするには。

志田香奈

ワークショップに参加した動機は?

自分が今まで生きてきた経験と保健師として働き出会った女性を見て思ったことは、もっと世の中の女性が自分を認めてもっと自分を大切にできたらいいな、もっと自分の幸せを感じることができたらいいな、ということでした。ならば、自分は何ができるのか、何をしたらいいのか…ただ漠然としていて、それを明確にできたらいいなと思っていました。参加の決定打は、今活動している「まんまるママいわて」の代表が勧めてくれたこと。実際、どんなワークショップなのか前日までよくわかっていませんでしたが、「自分探し」みたいな気持ちで参加してみようと思いました。

ワークショップに参加した感想は?

2泊3日、私の中で「チャレンジ」がテーマでした。いつもは、ゆっくり考え一歩一歩進んでいく私ですが、短い時間に追われながら、なんとか必死についていき、考えがまとまらなくても「話してみよう」「やってみよう」のチャレンジでした。でも、勇気を出してチャレンジしたその経験は私の自信になりました。また、ワークショップは、いろんな場所から、いろんな年齢層のいろんな関心事を持った人たちの集まりでした。一見わかりあえそうにない人とチームを組んで作り上げることが本当にできるのかな、と不安に思いました。でも、お互いにコーチングをしたり、関係構築をしていく中で、チームとしての信頼ができ、みんなで共有目的を作り上げ、それに向かっていくパワーのすごさに感動しました。「いける!」「変われる!」と自分の中で思えました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

「大切な出会い」ができたことだと思います。今までは、同じ分野で似たような仕事をしている人たちとのワークショップが多かったのですが、このワークショップで出会う人たちは、そうではなかった。なのに、話してみると人それぞれにいろんな困難があり、価値観があり、その中にも共通したところがあって…。出会いに感謝できたワークショップでした。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

私が活動している「まんまるママいわて」の代表が実際にCOを実践しています。チームが増えていっている中、私はひとつのチームに加わり、関係構築をし、戦略を練っていこうとしています。実践してみると、難しさに直面することも多いですが、ワークショップで思えた「いける!」「変われる!」の思いを忘れず、これからも活動に活かしていきたいと思います。

COJメンバーからのメッセージ(副代表理事 池本修悟)2015年11月ニュースレターより

秋が深まってきましたがいかがお過ごしでしょうか。

多くの方々に支えられコミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(以下COJ)は全国各地でワークショップ開催や社会課題の解決に取り組む実践者の伴走をさせていただき、少しずつですが活動の基盤を整えて参りました。

一方で、「コミュニティ・オーガナイジング」が日本ではほとんど知られていないため、一言ではイメージをつかんでいただけず活動内容をしっかりと伝えていくことに力を入れていく必要性を強く感じ、ニュースレターを配信させていただくことにいたしました。

ニュースレターではCOJ設立趣旨に書かせていただいた「問題に気づいた最初の人が立ち上がり、仲間を増やしてコミュニティをつくり、力を生み出し、その力を戦略的に使って社会を変えていく手法」をいろいろな角度からお伝えして参りたいと思います。

是非皆様と情報交換を行っていくメディアにしていきたいと思いますので、感想や情報提供、忌憚ないご意見などお寄せいただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

COJ副代表理事 池本修悟

ちゃぶ台返し女子アクション Vol.1 (鎌田華乃子)

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※2015年11月ニュースレターより

ちゃぶ台返し女子アクションというコミュニティオーガナイジングプロジェクトをコーチの大澤祥子さんと初めました。

オーガナイジング・プロジェクトを一言で表すと?
日本女性のおかれている環境や、期待されてる役割を変えたいと思う女性達と、自分らしく生きられる社会を目指し、自分の問題が個別事情ではなく女性共通の問題であることに気付き、「声を出していいんだ!」という実感を得ることにより、今の女性の声を代表する組織を立ち上げることを目指します。2016年2月28日に東京駅の前で女性を取り巻く問題を見える形にして、それをひっくり返す「大ちゃぶ台返し」をします。

ウェブサイト:https://www.facebook.com/chabujo/

誰にとって、どんな緊急の課題があるのか?
2014年の男女平等ランキングは142カ国中、104位。政府では女性の活躍推進を進めていますが、本当に女性がその能力を発揮することができる環境が日本にはあるのでしょうか?育休、産休は取れ、託児所もそれなりに整ってきました。でも自分の時間を全て会社に捧げないとやりがいのある仕事が出来ない、会社に迷惑が掛かると思い仕事を離れる女性。日々子育てと家事に追われ自分のための時間が取れない女性が沢山います。最近託児付きの女性向けイベントが日本で増えましたが、北欧では女性向けイベントで託児は不要、母親以外の人たちが子どもの面倒をみるのが当たり前なのです。制度は整って来ても沢山の「こうあるべき」に女性達は捕われています。日本女性は誰かのためではなく自分の人生を生きているのでしょうか?そして日本社会は人口の半分を占める女性たちの資源を無駄にしていないでしょうか?

どうしたら課題が解決するのか?
今日本には子育てや仕事をする女性の声を集め、政治や社会に届けられる組織がありません。それには当事者である女性自身が声を上げ、その声が束となっていく必要があります。でも生活や仕事の問題や疑問を話す場もないので、「私が我慢すればいいんだ」「私が悪いんだ」「しかたない」と女性は言葉を飲み込んでしまいがちです。でも「何に私たちは抑えられているのか」と深い対話をしていくと問題がみえてきます。その問題をちゃぶ台返しながら叫び、変えて行くためのアクションを宣言する、というのが最初のステップです。しかも話してみると、女性の抱える生きづらさは根っこが同じ、今の社会の仕組みに沢山の問題があります。多くの「変えたい!」という声を集め女性の声を代表する組織を立ち上げる事で、女性の問題を公の問題として認識し、政策を変え、多くの女性に勇気を与えるアクションを取って行き、女性自らが女性としてほしい環境をつくっていくことを目指します。

広がって行く組織をどう作って行くのか?
コアチームである「戦略練る隊」を中心に、1)対話を通じて繋がる、2)女性を取り巻く問題を学ぶ、3)勇気を与えるアクションをする3つのチームを立ち上げて行きます。まず首都圏での組織作りを目指しますが、将来的には地方にも広げて行きたいと考えています。

現状と今後の展望
コアチームが7名、そのうちCO学習者が5名という強力なチームが立ち上がりました。そのコアチームで11月8日にキックオフイベント「Women Negotiating〜Noから始まる女性の交渉〜」を開催。そこでさらに多くの女性が仲間に加わりました。今後も活動を広げ、2/28の大ちゃぶ台返しに向けてパワーを溜めて行きます。

 

※2015年11月ニュースレターより

オーガナイザーTIPS(COJフェロー 中嶌 聡)  「独裁体制から民主主義へー暴力に対抗するための教科書—」 2015年11月ニュースレターより

※このコーナーでは、ワークショップを受講頂いた方、オーガナイザーを志す方にとって活動のヒントとなるような内容をお届けします。今回は書籍の紹介です。

 「独裁体制から民主主義へー暴力に対抗するための教科書—」

ジーン・シャープ

「アラブの春でバイブルとされた書籍」と聞いて、迷わず手に取った。まず暴力的闘争を倫理的な側面からではなく、「抑圧者がほぼ常に優勢となる闘い方」だと、戦略的な側面から批判している点がユニークだ。さらに「猿の主人の寓話」を引用し、独裁政権の力の源が民衆一人一人が政権を受け入れて従属していることであると解き明かす。巻末の「非暴力行動198の方法」は、戦略や戦術を作る時、大いに役に立つ。たった150ページほどにも関わらず非暴力運動の理論と実践を学び取れる、数少ない良書である。

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執筆:COJフェロー 中嶌 聡

2015年度コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップin岩手

2015年9月25日(金)~9月27日(日)、岩手県遠野市の「柏木MASSE」にて、公益財団法人日本財団の助成を頂き、「2015年度コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップin岩手」を開催いたしました。

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東日本大震災の復興に向け最前線で活動する方、地域課題解決を目指し奮闘する社会起業家、ソーシャルワーカーを目指している学生などなど、岩手県内外から多様な14名が参加しました。

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どのパブリックナラティブも心を打つものばかりでしたが、特に印象的だったのは、コーチングを受ける前と後との違いに毎回驚かせられたことです。自分を見つめ、それを言葉として紡いでいく…。すべての人1人1人に素晴らしいストーリーがあることを改めて認識することができました。

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最後の振り返りには、目まぐるしいスピードで過ぎ去った2泊3日の出来事と学び、そしてやり切った充実感が表れていました。

「資源が当事者という事も気づかされた。やさしいメンバーに支えられた」「これからチームでやっていく時にこの学びが活かせるなと思った。ワクワクしている」「3日間参加して個性豊かなメンバーに会えてよかった。居心地の良い空間だった」などなど、仲間への感謝や次のアクションを聞くことができ、とても一体感のある場となりました。

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参加者からは、「さまざまな年齢層のさまざまな視点のある人たちが、一緒になって目的に向かい、活動することができることを学びました」「セルフの開示が共感の根幹にあること。多くの人の「セルフ」が繋がったときに大きな公共の力が生み出される」など、多くの学びの声をいただきました。

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岩手では、昨年もこのコミュニティ・オーガナイジングのワークショップを開催させていただき、その後、参加者有志により自発的な勉強会の場が設けられています。

今回の参加者にも、ワーク終了後も何かしらの繋がりが生まれること、また、この学びを東日本大震災の復興をはじめ、全国の社会課題解決に向けた活動に生かしていただけることを期待します。

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NPO法人いわて連携復興センターにおける報告ページ
http://www.ifc.jp/news/workshop2/entry-1668.html

 レポート:大吹哲也(現地事務局)

鈴木敬太

ワークショップに参加した動機は?

ひとが自分事として物事を捉え、ムーブメントを起こすにはどうしたらいいのか、ということを漠然と考えていたところ、偶然COJの存在を知った。当初はガンツ教授来日の際に参加を検討していたが、タイミングが合わず今回初めての参加となった。ムーブメントを起こすためのまだ知り得ない何か特別な手法があるだろうと、半ば思い込みと期待があった。学生時代前半はそれこそ国際協力など大きなものへの関心が強かったが、学生時代後半にアフリカゼミの活動を通じて、次第に国や人種を問わず「一人ひとりのひとが如何によく生きるか」というミクロな側面に関心を抱くようになり、ひとに寄り添った活動手法があるなら学びたいと思っていた。また、新規事業立ち上げのタイミングでもあり、人を巻き込むにはどうすればいいのかを知るヒントにもなればと思い、思い切って参加した。

ワークショップに参加した感想は?

“If I am not for myself, who will be for me? When I am only for myself, what am I? If not now, when?” (- ラビ・ヒレル、一世紀のエルサレムの賢人) この逆説的な問いかけから始まったWSは、いい意味で期待を裏切られた。キャンペーンを企画していく過程を、講義を時折挟みながらワークを通じて体感していくプログラムなのだが、一つひとつの工程は何か奇抜で特別な手法があるわけではなかった。何よりもまず、自分自身について語る「ストーリー・オブ・セルフ」が起点となり、「同志」を集め、イマを呼びかけ、そしてストーリーに乗せてアクションへと発展させていく過程が、納得感と共に受け入れられていった。内心、手法としてウルトラCがあるのでは?と思い込んでいたのだが、「私たちの誰もが人々が聞きたいと思うストーリーをもっている」という点が、とても人間味が有りむしろワクワクさせた。実際、グループワークを通じて参加者一人ひとりの想いに触れたとき、一人ひとりのストーリーに心動かされる瞬間が間違いなくあった。一見、己をさらけ出すという行為自体がとてもハードルが高く、中々初対面の人相手に内面を伝えることは勇気が必要だが、その勇気が共感を呼ぶのに一役買っていた。「変化を起こす」という腹を括った人が語る姿が、他者の自己受容を促しているようにも見受けられ、まさに講義中に取り上げられていたマハトマ・ガンディーを彷彿とさせた。何か変化を起こしたいとき、新しい武器を外から持ってくる必要はなく、己の中に既にあるということが目から鱗で、最大の気づきだったように思う。勿論、キャンペーン企画のためのテクニカルな手法も今後役に立つことと思う。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

現在ソーシャルベンチャーで予防医療事業に取り組んでおり、海外担当としてインドでの新規事業立ち上げに関わっている。まずはインドでの事業確立・拡大がミッションとなるが、他国への展開も将来的には視野に入れていることも踏まえ、国籍・人種・性別を超えた仲間を集め巻き込んでいけるようにしたいと思っている。その際に、部分的にでも今回のWSで学んだことは活かせるのではと考えている。また、昨今日本でもデモ等を通じ市民が立ち上がるケースがメディアでも取り上げられるようになった。次代を担う同世代の人たちと、また、さらに次の世代を担う人たちとムーブメントを起こす際には、きっと役に立つとも思うので、COJの活動を広めつつ、自分もコミットしていきたいと思う。

鴻巣麻里香

ワークショップに参加した動機は?

2015年2月にパブリックナラティブ(Story of Self)の1dayワークショップ(WS)を受講し、自分自身の物語によって共感を引き出し、つながりを広げるという新鮮な体験をしました。私はメンタルヘルスケアを専門としていましたが、そこでは物語(ナラティブ)を戦略的に用いるという発想がありません。しかし、自分自身の困難な体験を語り、自分と他者を共感でつながり、それが社会を変える種火となる。それによって私自身がとてもエンパワメントされました。そして同じ年の6月にそれまで勤めていた公的機関を辞め、不登校や貧困などの課題を抱え地域で孤立している子どもたちにおいしいご飯と自主学習のサポートを届ける安全な居場所づくり事業を立ち上げました。思い立って行動を起こしてから実現までわずか3ヶ月でしたが、充分な資金と協力者を集めることができました。それは活動の周知において、Story of Selfを意識的に活用しそれを軸とした効果です。
 
これは使える。間違いなく使える。

順調なスタートダッシュを切ったこの活動のその後の展開における必要性は、同志を増やすことと、その同志それぞれがリーダーとなって子どもたちの多様な居場所を各地に展開することです。そのためにCOが必須であることを確信し、参加を決めました。

ワークショップに参加した感想は?

「今・できることから動き出す」ことを肯定し、後押ししてもらえた感じがします。
自分が起こそうとしているアクションの、
①今、一番必要としている人は誰か
②今、できることは何か
このふたつが明確になります。地域の課題を把握し、アクションを起こそうとすると、いきなり大きなことに取り組もうとしがちです。お金を集めなければ、組織を作らなければ、場所を用意しなければ……そういった計画に時間を費やしている間も、地域の課題は放置されています。やろうと思った「今」が動く時であり、その「今」できることを探す。その「今できること」という小さな動きを積み重ねていく非常に実戦的な体験がエキサイティングでした。
 WSで学ぶことは戦略です。しかし、その戦略のベースにあるものは共感です。共感を引き出すのは私たちの体験についてのナラティブであり、それは困難な(トラウマティックな)体験です。共感によるつながりには安心感と信頼感があります。その安心感・信頼感という温かみのあるものを、戦略的に用いる。その柔と硬のコントラストと融合が印象的であり新鮮でした。
 困難な体験談を「戦略的に」用いる、という表現に抵抗を感じる方がいらっしゃるかもしれません。しかし戦略の前提には温かな共感があります。勇気を出して語る仲間のナラティブに心を動かされ、自らも語れるようになる。そしてその語り(ナラティブ)への共感が社会を変えるアクションへとつながる。それは自分の体験をポジティブな意味づけに変換する過程でした。そして同時に「困難を経験した人だからこそ必要性を感じ、動くことができる」という当事者の可能性への気づきとなりました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

今まで参加したどのワークショップや研修よりも、自分への自信と信頼を深めることができました。あれだけ時間に追われ、あっぷあっぷしながら、考えを深める余裕なく不完全なアウトプットを繰り返しコーチングされ…という容赦のなさでしたが、終わってみれば不思議と「私にはできる」という自信が深まっています。それは、仲間とチームを組んで実際に実現可能性の高いソーシャルアクション(社会を変えるプロジェクト)を立ち上げキックオフイベントを企画する、という超実戦的な演習によって培われた自信です。出身地も活動地域も職種も活動の対象者も異なる初対面の仲間でそれぞれの語りを共有し、関係を構築し、対象者を決め、アクションを起こす。しかもそれぞれのプロセスを「5分!」「3分!」「30秒!」という時間制限の中で行う。こんなんじゃだめに決まっている…もっとじっくり練ることができたらいいのに…そんな不安を通過して、しかし形になったアクションは、今すぐにでも現実化できそうな具体性の高いものでした。そしてそこには、私たちが今持っているリソースが活かされています。それが自信につながりました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

 当事者の可能性。
 それが、私がこのWSで得た最大の気づきです。困難を体験している人だからこそ、必要性を理解している。必要性を理解しているから、アクションを起こすことができる。その困難と必要性をナラティブに変換することによって、共感を引き出し、つながりを広げることができる。私が今まで「サービス(支援)の対象者(利用者)」としてきた人々が、私のアクションの同志になりうる存在だったのです。
 ピアサポート、という実践は各地で行われています。当事者が当事者をサポートし、支え合う支援の枠組みのことです。しかし、その当事者間の関係性の外側にサービスの提供者(支援者・専門家)が位置し、ピアサポートはそのサービス提供者が作る枠組みの中で行われます。当事者を同志とすることは、このピアサポートの枠組みとは異なります。サービスを提供する・されるという枠組みを抜け出して、必要性を共有する全員が当事者になり、同志になり、リーダーになる、ということです。
 私は今行っているプロジェクトを次の段階に進めるために同志を必要としていました。孤立した子どもたちの居場所を増やす、そして孤立した大人の居場所を作る、そのための同志です。WSに参加する前まで、私はその「同志」が地域の実力者や経済的な支援者、専門家だと思っていました。しかし、WSを終えた私にとっての同志は、居場所を利用する子どもたちであり、その親たちです。誰よりも必要性を感じている彼らこそが同志であり、彼らにはリーダーになるポテンシャルがある。彼らを同志として、そして新たなリーダーとして、共にアクションを起こしていく。COによってその可能性が拓かれました。

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