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小谷 幸

ワークショップに参加した動機は?

「草の根から声を上げ、社会を変えていくこと」に一貫して関心があり、これまで研究や実践を積み重ねてきました。最近では米国の最低賃金引き上げ運動等労働組合とコミュニティ組織が連携した達成に着目し、関係者へのインタビューやワークショップへの参加を通じてフィールドワークを進めています。その過程でコミュニティ・オーガナイジング(以下CO)を知り、私自身の関心にとても近い感じがして「是非受けてみたい!」と思っていました。これまではうまく日程が合わずにいましたが、今回コーチのお一人から声をかけていただき、都合もついたので、今こそがタイミングなのかなと思い参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

体系的で、かつとても実践的でした。今まで断片的に学んできた知識がつながる感覚がありました。特にオーガナイジングには「頭」(戦略)と「ストーリー」(感情)の双方が必要で、どちらが欠けても成り立たない、と明確に示されているのが良かったです。ややもすると前者が重視されるあまり後者が周辺化されがちですが、例えばワークショップから2週間が経った今でも、ワークショップで聞いたコーチ、参加者の方々の「ストーリー・オブ・セルフ」や「パブリック・ナラティブ」をありありと思い出せて気持ちが高まります。連帯・連携の根っこは感情やその表現であるストーリーなのだと実感しました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

コーチ、参加者の方々とのつながりをより感じました。「ストーリー・オブ・セルフ」や「パブリック・ナラティブ」を共有したからだと思います。また、不公正なことや理不尽なこと、決めつけられたり尊重されないことには「おかしい」と言っていい、そういうことを言っても「大人げないんじゃないの?」「気にしすぎなんじゃないの?」とは言われない場はいいな、安心していられるなと思いました。むしろそのような理不尽さをどのように変えていけるかを話し合うので、大変勇気づけられ、元気づけられました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

授業や自分の職場や所属団体で取り入れてみたいです。また、これまで学んできたCO以外のワークショップとCOとをうまく接合することによって、より日本の状況に即したワークショップを提供できたり、活動を効果的に進めたりできると思うので、より草の根から社会を変えていく方向でCOと連携できればと考えています。

松崎 ミチコ

ワークショップに参加した動機は?

社内研修の一貫で参加させていただきました。最初に「コミュニティ・オーガナイジング」と言う言葉を聞いた際、たくさんの人を牽引するリーダーになりたい人たちのための研修かな?と思い、自分は「みんなついて来い!」みたいなタイプではないし、大丈夫かな・・と少し心配していました。実際参加してみると、自分自身がリーダーになりたいかどうかの有無に関わらず、「何かを変えたいけれど、そのためには周りの人の力が必要」と感じる状況を経験したことのある全ての人にとってとても有意義なワークショップだと言うことが分かりました。

ワークショップに参加した感想は?

普段は別のフィールドで活動している人と2日間取り組むワークショップでしたが「変えたい課題があり、それに他の人を巻き込む難しさを感じている」という点では分かり合えることも多く、素晴らしい機会になりました。私のグループは、現役の教師であるチームメンバーの一人が実際に日頃から課題だと感じている事象を例に考えましたが、テキストに文字で書いていることを実際の出来事や登場人物に落とし込んで考えることで、アイデアに奥行きが増し、楽しんで取り組めました。仕事以外の場面でも、例えばプライベートで友達が悩んでいたとして、コーチングの技能を知っていることで相手が自分で答えを導くためのアシストができるし、公私共に学べてよかったと感じる内容でした。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

まず2日間みっちり8時間ずつのオンラインでのワークショップは自分でも初めての経験でした(笑)スタッフの皆さんのチームワークに感動すると共に、オンライン故の、参加者が距離を感じたり、置いてけぼりにならないように終始心遣いいただいたことも、とてもありがたかったです。また、全体を通して自分で考えてたくさん実践する機会が多かったのも、「言うは易く行うは難し」を身を以て感じることができてよかったです。ちなみに、コーチングは想像していたよりもめちゃくちゃ難しかったです!!

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

普段はChange.orgというオンライン署名のプラットフォームのスタッフとして働いています。今回コミュニティ・オーガナイジングを学んだことで、人が誰かの力になりたいという気持ちで行動を起こすのは、発信者の思いが伝わり「自分にも何かできることがありそうだ!」と感じるからなんだと実感しました。単にもともと興味関心があった人たちだけでなくても、人を動かす方法は戦略的に考えられるのだと分かり、とても希望の持てるワークショップでした。これからはChange.orgで勇気を出してキャンペーンを立ち上げた人の想いが実現するために、戦略的にサポートできるような存在に自分がなって行きたいと感じました。

コミュニティが生むチカラ(あだにーコラム#7)

みなさん、こんにちは。
COJ代表理事、安谷屋(あだにー)のコラム7回目です。

2020年9月12日(土)・13日(日)は、COJの活動の中心ともいえる、2日間の主催ワークショップでした。年に2~3回、東京都内で開催してきたものですが、今年はコロナ禍を受け、オンラインで実施しました。

今週1週間は土日の余韻というか熱がずっと残っていたように感じます。それくらい、41人(災害対応で止む無く欠席となった方あり)の参加者のみなさんと25人のスタッフとで作ったコミュニティは私にとって大切なものになりました。

「同じ社会に生きる私たち一人ひとりの責任」

私はワークショップ開催数日前に、参加者のみなさん宛にメールでこんな思いを伝えました。

COJは、「仲間と一緒に変えていく、という希望に満ちた社会」を目指しています。
今、日本で社会に対して声をあげたり行動/アクションすることは、「私一人が何かしても変わらない」「意識高い系って思われる」など、容易くないですよね。一歩踏み出すのに勇気がすごくいります。
でもそれをみんなが当たり前にできて、声をあげて行動する人を応援するような、そんな社会を作りたいのです。
みなさんとは、そういう社会を一緒に作っていく仲間になれるのではないかと、わくわくしています。

2日目の最後に語られた「パブリック・ナラティブ」に、「同じ社会に生きる私たち一人ひとりの責任」という言葉が入っているのを聞いたときに私はとても勇気付けられました。私もずっとそう思ってきたけれど、その思いを誰かと共有することはこれまであまりできなかったので、仲間ができた!と思えたのです。そして、それを一緒に聞いていたみなさんの表情を(オンライン越しですが)見て、ここにいるみんなが仲間だ!と感じ、社会に対するモヤモヤを今ここにいるみんなとなら解消していけると思いました。

コミュニティの存在が勇気を持たせるのだな、エンパワーするのだなと、「コミュニティ・オーガナイジング(CO)」のチカラを実感した瞬間でした。

「準備にどれくらいかかりましたか?」

終了後の「放課後」の時間に、いただいた質問です。

2020年3月に開催を予定していた通常の2日間主催ワークショップの中止を決めた日から、準備は始まっていたように思います。

半日のオンラインワークショップを開くことからスタートしました。講義、演習、参加者のみなさんとの学びの振り返り、それぞれどのくらい通常のワークショップと違うのか。何は可能で限界はどこなのか。

私たちCOJではチャレンジすることを「自転車に乗る」と表現します。それはワークショップ中は、初めて「ストーリー・オブ・セルフ」を作ることや、限られた時間の中で6人のグループメンバー全員が納得して前に進む意思決定などを後押しする言葉になります。ただ、参加者のみなさんだけではなく、スタッフも、ワークショップ中はもちろんですが準備期間中、全員自転車に乗り、その走行距離はなかなかのものになりました。みんな太ももパンパンです、きっと。笑

また、ここで学んだことの中から自分のコミュニティに還元することを多くの参加者のみなさんが考えていて、だからこその質問だったのだと思います。

COでは「モデル」を準備し、良い型を見て学び実践の参考にしますが、今回のオンラインワークショップそのものをモデルとして、いろいろなつながりを生むきっかけになればうれしいです。

 

ワークショップの報告はこの後、「ワークショップ開催レポート」及び「参加者の声」に随時アップしますので、たのしみにお待ちください。

visionに近付けたか?といういつもの問に対して、参加者のみなさんへのアンケート結果を一部ご紹介します。

「とてもそう思う」「そう思う」の合計が84%

 

「とてもそう思う」と「そう思う」の合計が100%
 

 

参加前の値の高さから、もともと関心の高いみなさんの参加だったことはわかりますが、それでも「とてもそう思う」が30%から72%に変化したことは、人々のパワーで変化を起こす手法と勇気を届けられた結果なのではないかと思っています。

ワークショップに関わってくださった、すべてのみなさんに感謝します。

2020年9月18日(金)安谷屋貴子


  • COJの
    vision:仲間と一緒に変えていく、という希望に満ちた社会へ
    mission:人々のパワーで変化を起こす手法と勇気を届ける
  • 感想やコメントなどありましたらぜひ、私へのメール(takako.adaniya@organizing.jp)などでお寄せください。
  • COJは主催事業(主にワークショップ)と委託事業(ワークショップや社会へのアクションの伴走・サポート支援)を行っていますが、みなさんからの月額寄付/スポット寄付によって支えられています。寄付を通して一緒に社会に希望を届けましょう(こちらからご寄付いただけます)。

「自分も楽しむことを忘れない」(あだにーコラム#6)

みなさん、こんにちは。
COJ代表理事、安谷屋(あだにー)のコラム6回目です。

2020年は新型コロナウィルス感染拡大の影響だけでなく、気温上昇という点でも経験したことのない8月となりました。

あと何年人間は地球上で暮らせるのか、より若い世代の未来を奪わないために、気候危機に直面している私たちにとって、コミュニティ・オーガナイジング(CO)を学ぶことはプラスになるのかどうか、先日行ったワークショップを振り返りたいと思います。

「スカタン*を止めるために何が必要か」

*スカタン:(仮称)横須賀火力発電所新1・2号機

神奈川県横須賀市に現在火力発電所が新たに建設されていることをご存知ですか?気候危機の中でも顕著な気温上昇。気温上昇に大きく加担する石炭を燃やすことで電力を作り出す火力発電所は、世界的に建設も稼働もストップされています。

しかし日本は未だに、メガバンクが石炭火力発電へ多額の投資をしていたり、スカタンも「高効率化・次世代化の推進」を謳い建設・稼働を止めようとしなかったりな状態です。

そのスカタンをストップさせようとアクションするみなさんが集まり、8月30日に戦略ワークショップを実施しました。

大きく分けると3つの団体から12人が参加し、コロナ禍そして猛暑の中でのそれぞれの活動を振り返ることから始めました。

戦略ワークショップなので、これから先より効果的なアクションをするための議論をすることが目的ですが、まずできたことを振り返り、労い合い、お祝いする、ということをCOでは大事にするからです。

  • コロナ禍で大人数で集まれない状況の中でも、石炭火力を止めようとしない大手の電力会社から自然にやさしい電力を供給する会社への「パワーシフト」をする人を増やせている
  • 建設現場前での(猛暑の中での!)反対抗議
  • 動画メッセージの作成・拡散(動画の効果を実感)
  • オンラインでの勉強会などを進めた結果、新たに大手メディアから取材の依頼が来た

具体的にはこのような取り組みが報告され、パワーシフトや問題の理解への広がりを実感できていると、参加者のみなさんから聞かれました。

ただ、その場がお祝いムードに包まれたかというとそうではなく(私のファシリテーションの改善点も多かったところ…)、これだけやっているけれど、私たちは本当にスカタンを止めることに近付いているのか、と問うたとき、誰も「近付いている!」とは言えない空気を感じました。

希望は参加したみなさんの存在

何をすれば私たちはスカタンを止めることができるのか。

COではこれを「変革の仮説」と呼びます。もう少し書くと、困難に直面する同志(当事者)の持っているもの(資源:スキル、経験、思い、ネットワーク、時間、資産など)を、どういう風に組み合わせて創造的に使えば、目標を達成できるか。

ワークショップに参加した12人は、19歳から60、70代くらいまで、まずは世代が多用でした。大きく分けて3つの団体は、それぞれに得意なことやネットワーク・リーチできる先がありました。それを共有するだけで、一緒にできそうなアイディアがいくつも出ました。

参加した団体の中には最近活動が滞ってしまっているところがありました。それは、メンバーの状況によるところもありましたが、多分にコロナ禍の影響で、横須賀に行けないことで会いたい人に会えない、チームメンバー同士もオンラインでしか会えない、それらがエネルギーを削いでいるようでした。

そのような状況でも、スカタンを止めることをあきらめず、集まって話して前に進もうとするみなさんのスタンスが、私には大きな希望に思えました。

参加者のみなさんに、最後に今後のステップについて一人ひとり話していただきました。その中で特に印象に残ったコメントをご紹介します。お話しされた方は、最近スカタンについて知ったとのことでした。

楽しかった。最近まで知らなかったから新鮮。私がそうだったように、知らない人のことを忘れないでどうやってそのような人たちからの共感を得るか、かつ自分も楽しむことを忘れない。

自分が楽しくなければ誰も誘えないし、活動を続けていくことも苦しくなるかもしれない。そう思ったとき、最後のこのコメントはとても大切なことを改めてその場にいた私たちみんなに届けてくれました。

 

visionに近付けたか?といういつもの問に対しては、笑顔で語られた「楽しむことを忘れない」というコメントによって、12人の参加者と数人のスタッフが勇気を届け合える場になった実感によって、また戦略ワークショップの1つの実践を重ねたことで、Yes!と答えて、今回のコラムを閉じたいと思います。

2020年9月4日(金)安谷屋貴子


  • 9月12、13日COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ@オンラインはキャンセル待ちを受け付けています。メールにて以下の通りお申込みください。

    メール送り先:takako.adaniya@organizing.jp(COJ安谷屋)
    タイトル:9月12、13日オンラインワークショップ申込
    記載内容:名前(ふりがな)、メールアドレス、連絡の取れる電話番号、希望枠(一般or学生)

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    vision:仲間と一緒に変えていく、という希望に満ちた社会へ
    mission:人々のパワーで変化を起こす手法と勇気を届ける
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月1回の理事会をどんな場にしたいか(あだにーコラム#5)

みなさん、こんにちは。
COJ代表理事、安谷屋(あだにー)のコラム5回目です。

今回は、8月度の理事会実施報告を、mission:人々のパワーで変化を起こす手法と勇気を届けるに対する進捗の観点から綴ります。

夢のようなチームを目指す理事チーム4G

コミュニティ・オーガナイジング(CO)のワークショップ(WS)で「チーム構築」について学ぶとき、こんな問いかけをします。

「夢のようなチームと叫びたくなるチームの経験を教えてください」

職場、サークル、プロジェクトチーム、うまくいくチームとそうでないチームがありますし、1つのチームでもうまくいくときとそうでないときがあります。

今年6月から動き出した理事チーム(そういえばチーム名初お披露目、「4G」)、COを実践しながら夢のようなチームに成長したいと思っています。

8月19日が実質2回目の理事会でした。9人というのはコアチーム(キャンペーンの中心)としては多めで、このサイズで機能する理事会にすることもチャレンジの1つです。今は4つの小チームでミーティングを行い、その結果を理事会に持ち寄り前に進めるという方法を取っています。

  • 理事会設計チーム
  • 新規事業チーム
  • リソースマネジメントチーム
  • ファンドレイジングチーム

 

各チームがプロジェクト案を出し、理事会でコーチングし合い、優先順位や関わるメンバーを決め、どうするとより進むか、インパクトを出せるか、私たちのvisionの実現、missionの進捗になるよう話し合う場、と位置付けていますが、思うようにコーチングが機能しなかったり、発言量に差が出たり、のびしろ十分です!

ほとんどのプロジェクト案がチーム間の連携を必要としており、チーム毎のリーダーシップ、チーム同士のつながりが、私たちなりのスノーフレークを広めていくことが想像でき、ワクワクします。

お祝い大事!

COのWSでキャンペーンタイムラインを考えるとき、必ず確認するのがこれです。目標に向かって進むとき、たくさんのエネルギーを使うし、時間や多くの資源を割きます。だからピークを作ってその後には休憩とお祝いを挟もうね、と。

理事チーム4Gも、言わば任期2年のキャンペーンチームです。月1回の理事会は、1カ月間で良くできたこと、前に進められたことを報告し合い、労い合い、祝い合う場にもしたいと考えています。7月度の理事会はそれがうまくいかなかったので、設計チームは今月そこの改善を意識しました。

特に、くぼちゃんが「主催WSと新代表お披露目イベントの報告は、理事会の最後に話して良い気分で終わろう!」と提案し、チームのリソースを活かして前に進めている実感を共有することができました。具体的には次のようなコメントがありました!

「りゅうとあだにーで集客を戦略的に進めて、早割締め切り前にキャンセル待ちが出る状態にできた!」

「なぜその状態にできたの?-早割の導入。いつどういう告知を行い、どういう記事を出すかを設計した。WSスタッフや理事の協力もあって、定期的な発信ができたのがいつもと違う。」

「参加しない理事もイベントをSNSでシェアしたりして、みんなで盛り上げることができた。」

希望を感じた理事会でしたが、当然課題もあり、2~3チームかけ持つメンバーへの負担の集中は特に解決したいところです。

実践し振り返り、改善するというステップを踏みながら成長する4Gの様子から、学びをシェアすることができたら、mission:人々のパワーで変化を起こす手法と勇気を届けるを進捗させることにもなるのではないか、そんな風に思っています。

 

2020年8月22日(土)安谷屋貴子


  • 9月12、13日COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ@オンラインはキャンセル待ちを受け付けています。メールにて以下の通りお申込みください。

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    タイトル:9月12、13日オンラインワークショップ申込
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    vision:仲間と一緒に変えていく、という希望に満ちた社会へ
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COJ新代表お披露目イベント、アクシデントを乗り越えて(あだにーコラム#4)

みなさん、こんにちは。
COJ代表理事、安谷屋(あだにー)のコラム4回目です。

ただいま「COJ新代表お披露目!-元代表2人と語る夕べ-」を終えたところです。一歩踏み出すと思わぬことに直面し、それを乗り越えることで「アス感」が生まれコミュニティにチカラが付く、ということをまさに体験し、ちょっとすぐには眠れそうにありません。笑
ただ、今日得ることができた「アス感」からはCOJのmission:人々のパワーで変化を起こす手法と勇気を届けるをともに進捗させ、COJのvision:仲間と一緒に変えていく、という希望に満ちた社会の実現を大切に思う気持ちを感じることができ、エンパワされました。

まさかの、FacebookLIVEができない!?

困惑する事前準備中のメンバー

開始1時間前に集まり、段取りなどを確認し、そろそろFacebookLIVEでの配信を開始しようと、2日前のリハーサルの手順通りに操作したのに、Facebookからは「配信できません」というメッセージが出るではありませんか!モデレーターのりゅうが「楽しくなってきましたね~笑」と場を和ませてくれますが、開始時間が近づくに連れメンバーは段々無口に…笑

いろいろ試した結果FacebookLIVEでの配信ではなくzoom開始に決めたときには、開始予定時刻を20分ほど過ぎていました。急遽zoomのリンクなどをイベントページや各自のSNSでお知らせすると、20分もお待たせしたのに続々と参加者のみなさんが入室してくださいました。自らzoomに変更した旨をお知らせしてくださる方もいました。

そのみなさんの温かさは、チャットに寄せられたり表示名に「がんばれ」と入れてくださる方がいたりすることからすごく伝わってきて、登壇者の私たちの動揺は少しずつ収まりました。本当にみなさんに感謝です!!

続々と集まってくださったみなさん!

 

「4代目を育てる計画は?今から考えていることある?」

30分ほど遅れてのスタートでしたが、当初の予定通り1時間半、モデレーター:荒川隆太朗のキレッキレの質問により、初代・2代目からの振り返り(プラス・デルタ・気づき学び)のシェア、現代表の私からの新理事会の紹介から、コミュニティ・オーガナイジング(CO)が社会にどう活きるか、オーガナイザーとはどんな人か、COJのこれからの役割など、自然に話が深まっていき、みなさん「質問があったらチャットに書いてください」に反応しないくらい、聞き入ってくださっている様子でした。

それでもいただいた質問、今日は初代・2代目・現代表が集まっていたので、4代目についての質問がありました。それに対して私から、そこまでの話も踏まえて考えながら回答したのですが、COJらしい答え方ができた気がするのでここに綴って残しておきたいと思います。

-(岩手のピンキー)1~3代目贅沢w
4代目を育てる計画は?今から考えていることある?

(あだにー)華乃子さんやしん1さんのようにアメリカでオーガナイジングについて学んだ経験はなく、COJによってCOと出会った私が代表になったように、誰もが「やりたい!」と思ったら代表になれるように、その人を育てるというよりは、それを実現できるチームを作っていくことが大事。オーガナイザーと同じで、何か特別な能力やスキル、経験がないとできないのがCOJの代表理事ではなく、足りないものがあったらチームでそれを補い合って誰もがチャレンジできるポジションにしたい。

クロージングの様子

 

今日は、参加者のみなさんのチカラも借りて、深い学びの場に育てることができたことに、大きな希望を感じています。終了後にいただいたメッセージの中から1つご紹介します。COJのワークショップ参加者でありコーチの経験、自団体でのワークショップ開催もある方からのものです。

この対談、定期的に聞きたいなぁと思った。
co(コミュニティ・オーガナイジング)の理解を深めて、自分なりに考える素晴らしい機会を与えてもらえた。

実はやっていた私たちも同じ感想を抱いていました。今回FacebookLIVEでの配信は失敗しましたが(笑)、書いたものを読んで伝える以外に、直接ことばで語り掛ける場の可能性を感じたので、また企画したいと思います!

華乃子さん、しん1さんからバトンを受け取ったあだにーが、これからどうやってCOコミュニティのみなさんのチカラを借りながら希望に満ちた社会に向かうのか、進捗を追ってくださったらうれしいです!

(本日のトークイベントのアーカイブ動画は、準備でき次第共有いたします。)

2020年8月14日(金)安谷屋貴子


  • 9月12、13日COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ@オンラインはキャンセル待ちを受け付けています。メールにて以下の通りお申込みください。

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    タイトル:9月12、13日オンラインワークショップ申込
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9月12、13日開催のオンラインワークショップに向けての動き(あだにーコラム#3)

みなさん、こんにちは。
COJ代表理事、安谷屋(あだにや)のコラム3回目です。

ワークショップで参加者のみなさんを迎え入れる準備をするスタッフたち

9月12、13日に開催するオンラインワークショップに関する動きが、あだにーコラム#3で最もみなさんにお伝えしたい、私たちCOJのmission:人々のパワーで変化を起こす手法と勇気を届けるに対する進捗です。

定員36枠が3週間強で売り切れた!

一つ目は、ワークショップ定員36席が、早割期限の8月7日の朝、全て予約で埋まったことをご報告します。なお、現在キャンセル待ちも9名おられます。今回のワークショップにスタッフとして関わるメンバー、過去にワークショップに参加したことがあるみなさん、理事役員、そのみなさんのチカラをものすごく感じています。コミュニティのチカラってすごい!

同時に、ワークショップへの期待も感じています。広報記事の中に、理事の荒川隆太朗企画の新シリーズ「コロナ禍でコミュニティ・オーガナイジング(CO)はどう活きたのか」というインタビュー記事があります。COを学び、自分の活動やこれから起こしたい社会の変化にとって有効な手法だと知ったり、一緒に学ぶ中で互いにエンパワーし合う経験をしたりした人たちが勧めるからこその集客成功でした。ならばその期待を超える準備をしたい!そんな良い意味でのプレッシャーとなっています。

コーチトレーニングという場が生む希望

二つ目は、そのプレッシャーをチカラに変える場となった、8月8日(土)9:00~17:00のコーチトレーニングについてのご報告です。

コーチトレーニングとは、講義(インプット)+演習(実践)+振り返り(学びの定着)をワンセットとする私たちのワークショップで、参加者の学びをサポートする役割を担うスタッフ(コーチとテクニカルサポート担当、通称テック)が、本番を想定したシュミレーションをしながら、学びのポイントや当日の進め方を学び合い、より良い方法を見つけ、参加者のみなさんを迎え入れる準備をする場のことです。

本番同様zoomのブレイクアウト機能も使ってトレーニング

今回はオンラインワークショップならではのスタッフが集まりました。今日は17人でトレーニングしましたが、大きく4つのエリアからの参加。東北・関東・関西・九州。参加者のみなさんも全国から申し込んでくださっているので、ワークショップを通してCOが一定のエリアにとどまることなく広がることに希望を感じます。

また、毎回コーチトレーニングをすると「ゴールはないな」と思うのですが、今日もそうでした。というのも、COは実践から生まれたもので、今も実践によってより良い方法が考えだされて、進化していると言えます。それはワークショップでの伝え方、演習の進め方も同じなので、スタッフはより深い学びを参加者と共有するには?という視点で、時間内に話が終わらないことがしばしばです。今日も、17時に全体としては終了したのですが、その後多くのメンバーが残り、疑問の解消、工夫の仕方を、各自が持っている知識や経験をシェアしながら行い、ファシリテーターが「この辺で!」と言ってやっと終了しました。

この熱量は、私たちのmissionに沿ってワークショップを通して「手法と勇気を届けよう」という思いと、定員を超えた申し込みをいただいている期待に応えるためにも!という良いプレッシャーが生んだものです。9月12、13日が目指す場ではありますが、一日を終えた時点でmissionに対する進捗を大きく感じるコーチトレーニングでした。

心地よい疲労感と、「希望に満ちた社会」に少し近付けたという思いを感じています。

2020年8月8日(土)安谷屋貴子


  • 9月12、13日COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ@オンラインはキャンセル待ちを受け付けています。メールにて以下の通りお申込みください。

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代表退任のあいさつ(2代目代表 室田信一)

 COJ初代代表の鎌田華乃子から2017年に代表を引き継いでから3年間、代表理事を務めさせていただきましたが、この度、退任することとさせていただきました。代表を務めた期間、またそれ以前からお世話になった皆様に改めてお礼申し上げます。

 鎌田と知り合ったのが2013年の年始でした。当初は2人で妄想して、その妄想に仲間が1人加わり、そして年末には9人の仲間と最初のワークショップを開催し、2014年にCOJという組織が立ち上がりました。それから5年ほどが経ち、全国で5000人以上がワークショップを受講して、コーチを務めた経験のある仲間は80人を超えました。COJが関わったキャンペーンも生み出され、人々が生活のあり方や社会のあり方を変えたいと思ったときにコミュニティ・オーガナイジング(CO)という考え方が役に立つ機会が増えてきたように思います。7年前にこのような世界を思い描いていたかというと、実は思い描いていました。そして、COが実践される世界はこれからも続いていくものとして、すでに多くの人によって思い描かれています。この歩みが止まることはないと確信しています。

 振り返ると、代表としての3年間は平坦なものではありませんでした。COJの経営危機はその最たるもので、今でも1年後の組織の存続が保証されているものではありません。しかし、ピンチのたびに誰かが立ち上がり、誰かがリーダーシップを発揮して、その歩みがさらに次なる歩みを生み出してきたように思います。

 鎌田をはじめ、設立時のメンバー数名は今後もCOJの役員として残りますが、発足時のメンバーの1人である私がCOJの役員としての役割を「卒業」するということは、この組織のあるべき姿を象徴していると思います。卒業後も、COJのスピリッツを胸に、そしてCOJの経験を糧に、新たなスノーフレークを生み出しながらCOが実践される社会をつくる一助になるよう、邁進していきたいと思います。

2013年12月にガンツ博士を招いて行ったワークショップは、NHKクローズアップ現代で取り上げられた。

 COJの関係者をはじめ、7年間お世話になった皆様、本当にありがとうございました。そして、これからも引き続きよろしくお願いします。

 最後に、子育てで猛烈に忙しい時期に、僕の夢の実現をサポートしてくれた妻に感謝します。


信一さん、あいさつを寄せてくださりありがとうございました。そして代表理事、お疲れ様でした。役員ではなくなりますが、今後も私たちのコミュニティを育て希望に満ちた社会を共につくる同志として、よろしくお願いします!!

(安谷屋貴子)

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コロナ禍の私たち~コミュニティ・オーガナイジングはどう活きたのか~第3回:中山友里×武田緑

今年2月27日、安倍首相から新型コロナウィルスへの対応として全国の小中学校に対して「一斉休校」が要請された。そのニュースを見て最初に思い浮かべたのは、夫婦とも教師で3人の子どもを育てる友人の顔だった。直感的に「無理がある」と思った。

中山友里さん(ゴンちゃん)から「学校休校関係で、なんかキャンペーンはじめてる動きってありますか?」というメッセージを受け取り、面識のなかった武田緑さんと3人でまず話そうと、zoomでミーティングをしたのが2月28日の16時過ぎで、Change.orgで署名を集めるキャンペーンをすることがその場で決まった。

なぜ私たちが動いたのか。すぐに動けたのか。動いた結果をどう受け止めているか。キャンペーンから5カ月ほど経った8月1日、安谷屋(あだにー)がゴンちゃんと緑さんの2人に改めて聞いてみた。

【この記事は約10分で読めます】
– 目次 –
1、署名集めキャンペーン概要
2、なぜすぐに動けたのか
3、署名で空気を作って地域ごとのチャレンジを後押ししたい
4、「正しさ」は人によって環境によって違う
5、やってみて見えたこと
6、COJのオンラインワークショップの希望

 

キャンペーンページはコチラ

1、署名集めキャンペーン概要

  • 目指したこと:2月27日、政府による突然の全国一斉休校の要請、休校措置によって危機・窮地に立たされる子どもや保護者のために、休校期間の短縮、子どもたちの居場所と食事の確保、要支援家庭・児童へのアウトリーチ支援、これらのための財政措置を国などに求める署名を多く集め、地域コミュニティ単位での具体的な動きを後押しすること
  • 期間:3月2日スタート、12日文科省提出、26日終了
  • 集まった署名:18,455筆(12日は3月11日までに18,014筆を提出)
  • 得られたこと
    署名による「思い」の可視化:「このままではまずい!」と思っても出口のないまま黙ってしまうことが多い中、署名をすることで行動できるチャンネルを1つ示すことができた
    可視化された声に共鳴して、アクションが生まれたり、
    「勇気づけられた」との声が届いた:滋賀県で学童を再開させることを署名集めで実現させることにつながった。要望書やプレスリリースのテンプレートを作って公開した
    文科省の方と直接お話し、現状を伝えることができた:特にアウトリーチが必要な人の存在について、自分の経験を踏まえて「具体的に人が死にます」と緊急性を伝えた。それに対して社会的養護の子どもたちへの給付金の政策策定に関わったという、担当者の方ご自身の経験を踏まえて、アウトリーチの必要性がわかるとおっしゃっていただけて、同じ景色を見ていると感じられた

2、なぜすぐに動けたのか

ー(あだにー)動き出しがすごく早かったと記憶しているけれど、どんな経緯だったっけ?

(緑)ゴンちゃんと他何人かで「何かできひんかな?」って話し始めた。
(ゴン)そうそう。「(この動き)なんか変だよね」というところから何かやらなきゃいけないと。
(緑)いろいろやり得ることがあると思うけど、公的にサポートする動きを作り出す必要があるから、署名集めかな?という流れだった。

ー(あだにー)なるほどなるほど。その話の流れでゴンちゃんが私に声をかけてくれたのはどうしてだったの?

(ゴン)ちょうどCOJのワークショップが予定されていて、私はコーチ(※1)として、緑は学び直しのために2度目の参加をそれぞれ考えていたときだったし、「キャンペーン」ならCOJかなと。動いている人がいるならそれに乗っかって大きな動きにできないかと思ったが、その動きを自分では探せなかったので、あだにーが一斉休校についてSNSに投稿しているのを見て、「何か動きありますか?」と聞いた。共感してくれそうと思った。
(緑)広く声を集めるというよりは小さい力で大きな動きを作れるような、声をあげられるプラットフォーム作りを目指した署名集めだった。

ー(あだにー)私と緑さんは会ったこともなかったけど、違和感なく一緒に動き出せたよね。笑

(緑)COJの人、ゴンちゃんが言う人なら大丈夫だろうと思った。
(あだにー)ゴンちゃんとの関係性はもちろんだけど、緑さんがコミュニティ・オーガナイジング(CO)やCOJをどう捉えていたから「大丈夫」だったんだろう?
(ゴン)イデオロギーみたいなものが運動していると派閥化しがちだけど、COJはそういう意味では新しい団体だからどのイデオロギーにも別に染まっていない。キャンペーンをしたい人のためにツールを提供している団体だからじゃないかな。
(緑)それはある!私は変に色が付くことは警戒するタイプ。COJは偏っていない。昔ながらの運動は思考停止状態でシロクロはっきりしているものが多いけれど、そういう感じではないという安心感があった。

ー(あだにー)署名集めにCOのメソッドやCOJのリソースが活かされるという意識はあった?

(ゴン)やりやすいアクションとして署名を集めようと思ったとき、ナラティブ(※2)の見せ方は重要。その(ナラティブをより訴えかけるものにするための)コーチングやそれで(署名が)広がるかどうかの視点は必要だから、(あだにーが入ることで)CO視点が入ることは心強いと思っていた

3、署名で空気を作って地域ごとのチャレンジを後押ししたい

ー(あだにー)キャンペーンを進めるに当たって意識していたこと、目指していたことを改めて思い出すとどんなことがあった?

(緑)国や自治体に対して全体的な働きかけとして署名があって、それを見た人が自分の周囲の地域やコミュニティで動けるようなことを目指した。伝播して同じような署名が立ち上がったり、そういう動きをする人たちと連携できたりするイメージ。滋賀県の学童の指導員さんたちが動いて、実際に学童を開けることができたという、具体的な成果を生むことができたが、そういうのを増やしたかった。
(あだにー)うんうん、そういう他の人、地域の動きをマネして広がる、横展開をイメージしていたよね。
(緑)そこまで広がりきらなかったとは思っているけど、それを意識していたから、プレスリリースと要望書のテンプレートを公開した。

ー(あだにー)細かい話だけれど、文科省に署名提出のアポを取る手順とかも、シェアしたいって話したね。

(緑)署名賛同人の中に、文科省が普段お世話になっている人が含まれていると話が進みやすいのは確か。

4、「正しさ」は人によって環境によって違う

ー(あだにー)コロナ禍で何をするにも怖さがあることも、広がらなかった要因の1つだったと思うけれど、不確実性が高い中で動き出すには何が必要なんだろう?

(ゴン)コミュニティかなと思う。コロナウィルスの感染が拡大する中で、休校をやめることがゴールかどうかもわからなかった。実際、高校生たちから「休校にして。安全を守って」という署名が立ち上がっているのを見て、正しさが人によっても環境によっても違うと実感した。いろんなリソースのある人は「学校に行かない」ことを選択しても問題ない。でも私たちがあのキャンペーンでしたかったのは、(子どもが)学校に行かないと親が働けない状況の人たちがいることへの理解を広めることだった。(今学校に行くことは感染の危険があるから)行きたくない人が行きたくないと言えたり、学校に行くことでセーフティーネットが保たれている人が、学校を再開してと言えたりすることに、一人じゃないと思えるコミュニティがあったり、そこにつながるためのツールが必要だとは思った。

(緑)私は、見通し。こういう風に動いたらこんなことが起こってこんな感じで進んでいくんだなという見通し。初めての人はみんな持っていない。私は署名立ち上げと拡散までのイメージは持っていたから「それなりの数が集まるはず」という見通しは持てていた。記者会見をあのときようやらんかったのは、見通しが持ちにくかったから。最初からは難しいが、少しずつやってみる中で想像がつくようになったらチャレンジできる。最初はコミュニティやチームの端っこにジョインしてみるような機会、経験がたくさんあるといい。

(ゴン)コロナ休校によって子どもと過ごす時間ができて良かったという声もある。子どもが何人いるかだけでも違う。持っているストーリーが違うから正しさが違う。

5、やってみて見えたこと

ー(あだにー)キャンペーンをした経験は何かにつながっている?やってみてよかったと思うことはある?

(ゴン)直接提出に行けたのは良かった。メディアに注目してもらうためのやり方や提出後の動きなど改善点、やり直せるならこうしたいというのが浮かぶのはそこ。

(あだにー)直接文科省の担当者と話せたのは私も意味があったと思った。担当者にも経験に基づいたストーリーがあって、そういうのを聞けると、ただ批判するというスタンスから、どう一緒によりよくできるかという考え方に進める実感があった。やることに意味があるね。

(ゴン)ある程度オーガナイザーのような人が出てくるのが重要なのではないか。世の中に政治家しかいないから政治家に陳情しに行って、道路やダムを作ってもらう。そういう手順を企業は知っているから談合しても何をしてもその道を行く。でも市民にはその道が見えないし知らないから声があがらなくて動きも生まれない。それを変えるためには、声のあげ方を教えて一緒に動くオーガナイザーがひょっとしたら必要なのではないかなと思う。
(緑)そういう風に方向性を教えてくれる人や、ぺらっと1枚にまとまっているマニュアルなどは動き出すときの力になりそう

(緑)あともう一つ!賛同人を多様な分野からたくさん集めることはできてよかった。リソースが活きたし、文科省提出の際にも功を奏した。

6、COJのオンラインワークショップの希望

ー(あだにー)これから学ぶ人にどんなことをオススメしたいですか?

(ゴン)具体的に変えたいこと、起こしたいアクションがある人にとっては(COのどのモジュールも)使える要素。戦略の立て方、チームをどう作っていくのか。ただノウハウを伝えるだけではなく、小手先でやろうということではなく、どうやってほんとうに物事を変えていくチームや力になっていくのかを学べるという点ですごく意味がある。
(緑)何か変えたいと思ったときに、変えられる気がしない。道筋が見えなさすぎてちっともわからないことってある。社会全体に関わる大きなことではなくても、自分の地域や学校の中でCO的エッセンスで物事を変えたぞとか、新しい仕組みを作ったなどの実践が普通にたくさんあるといい。それがまだあまりない中で、体系化されていて具体的にやりかたを学べることがとてもいい。ちょっとずつ練習する。アメリカの大学ではそうだと聞いているが(※3)、小さなことからコミュニティをベースに練習できるのがいい

(緑)COでつながるオンラインのコミュニティができることは可能性がありそう。オンラインだと日々進捗共有したり、進捗をみんなで支え合うことができる。おさらいしたいときに、自分のプロジェクトを回している人同士で話せるコミュニティ。そういう感じになりそうだったらぜひ入りたい。

(あだにー)コロナがしばらく続くだろうというときに、人と人が会わないと力が生まれないと考えている人が、オンラインワークショップで何かを見つけてもらえたらいいと思っている。日本で何かにチャレンジすることは勇気がいるし心が折れやすい。応援し合えるコミュニティの可能性は大きい。気持ちも前向きになる。そういうことを意識してコミュニティづくりをしていきたい


40分ほどのインタビューを「久しぶりに会えて話せて良かった」「落ち着いたら会おうね」「いつ落ち着くんだろうね。でもほんとに会おうね!」と、清々しく終えた。

短い時間に大事なポイントがたくさん詰まっていたので、こぼさないようにまとめておこう。

▼Column:ベースはストーリー。経験が見通しを生み、見通しがないときに求められるのはオーガナイザー。そしてプロジェクトを実践している人同士のエンパワメントの有効性

1、ストーリーによって人は動く
私たちのキャンペーンのベースにあったのはゴンちゃんのストーリー(ナラティブ)。キャンペーンサイトにも載せたし、文科省での提出の際も語った。自分の経験があるから具体的に困難に直面している人を想像できる。ストーリーを聞いた人もその人なりに場面を想像できるから何とかしなきゃと思う。改めてストーリーの大切さを実感した。

2、不確実な状況で動くために必要なこと
たった一人で声を挙げたり動き出すことは怖い。一人じゃないと思えるコミュニティやそこにつながれる扉が必要。その上で動き出すためには動いた先の世界を描ける戦略があって、それを成功させられそうな経験に基づくある程度の見通しが立てられるかどうか。怖さや不安(心)、戦略(頭)、経験(手)の視点を持って導くオーガナイザーも必要。

3、プロジェクトを実践する人同士のオンラインコミュニティの可能性
体系的に学べること、ただノウハウのインプットがされるのとは違って、ほんとうに変化を起こすためのチームや力をどう作るのかをワークを通して学べることの意味は大きい。そして今回はオンラインだからこその可能性が見えた。社会に対してアクションを起こすことは勇気が要るし、続けることも難しい。それを支え合えるコミュニティが作れたら、私たちCOJが目指す「希望に満ちた社会」に近づく大きな一歩になりそうである。

最後に
そのオンラインワークショップが9月12日 – 13日にあります。2日間を通してその後のつながり、コミュニティ作りにもチャレンジしたいです。ぜひ一緒に学び、つながりませんか?もしよかったらこちらもチェックしてみてください。なお、早割の締め切りが8/7と迫っておりますので、お早めのご決断をお勧めいたします。
http://communityorganizing.jp/workshop/2ndonlinews/


※1:COJのワークショップでは6人程度のグループワークを取り入れていて、1グループに1~2人の「コーチ」というファシリテーターがワークをサポートする
※2:ナラティブとは物語を指す言葉。「どうして署名を集めたいか」を論理的に説明するのではなく、経験を語ることで読み手の感情に働きかけられる語りを、COJではワークショップ等でよりよくするためのコーチングを行っている
※3:COJはハーバード大学の大学院のマーシャル・ガンツ博士が体系化した学びをベースに活動している。ガンツ博士の大学院の講義は、実践の課題が出て、学生は実践しながら学ぶ

(代表理事 安谷屋貴子)

コロナ禍の私たち~コミュニティ・オーガナイジングはどう活きたのか~ 第2回:井上広之

 

「26歳という若さでNGOの事務局長を勤めているんだからすごいよな〜。」

井上広之さん。

僕が初めて彼の名前を聞いたのは確かそんな会話だった。実際お会いしてみると噂に違わぬ人物で、ユーモアを持ち、親しみを感じる一方でやることはやる、そんなイメージの人だ。COJでは昨年9月に実施したマンスリーサポーターを募るためのファンドレイジングキャンペーンでの立役者だ。僕らは親しみを込めて「ひろさん」と呼ばせてもらっている。

彼は現在も国際NGOソルト・パヤタスの事務局長を勤められている。フィリピンで子ども、母親の支援を行う傍、啓発活動も欠かさない。そんな国を跨ぎ、組織を超えて活躍している彼に声をかけたのは、コロナ禍におけるNGOのリアルに触れてみたいと感じたからだった。

ロックダウンにより市民の外出が厳しく制限されてしまった街となってしまったフィリピンに彼はどう向き合っているのだろうか?

- 目次 -
1、国際NGOソルト・パヤタスとコロナ
2、困難を分かち合う対話
3、答えのない難問と共に
4、現地から希望を見出すオーガナイザーの視点
5、社会を変えたいと願う人をつくる

【この記事は約10分で読めます】

国際NGOソルト・パヤタスとコロナ

ーひろさん、お疲れ様です。今日は急なご連絡にも関わらず、ありがとうございます。ところで、10kg痩せたと聞きましたけどほんまに痩せはりましたね笑

そうやねん。食事制限と運動をしてて、最近、食事は前の感じに戻したかな。りゅうちゃんも痩せたよね。

 

ー僕はコケたとよく言われますが、僕の話はいいので早速お話を聞かせてください笑。実は意外とお話聞くのが初めてなので、そもそもソルト・パヤタスが何をしているか聞いてもいいですか?

そうよね。事業は3つあって、1つ目は子供への教育支援。そもそもうちは子どもたちに奨学金を出すのが始まりなので、教育支援が今も中心的な事業かな。2つ目は女性の収入向上支援。特に子どもを持つ母親たちに対して仕事の機会を与えるような活動をやってる。3つ目が啓発事業で、主にはスタディツアーやイベントをやってる。

1995年設立して、現在は3つの事業全体で見ると母子の支援を中心にやってる感じ。基本的には日本で支援してくれる個人・団体のスポンサー募り、その支援を現地の子供に届ける活動をしてて、僕は2代目的な立場やね。

 

ーへぇ、そうなんですね。どう言った経緯で2代目に?

学生時代にインターンをフィリピンでしてたのが最初やね。その時はNGOで働くなんて思っていなかったかな。生活費を稼ぐのも大変そうやし、その上、仕事はめっちゃ忙しそうって思ってたから。だから、NGOで仕事していくイメージがなくて最初は一般企業に就職した感じかな。

ただ、就職してからも国内で手伝えることは手伝ってて、東京でのイベントとかはよく行ってたね。でも、ソルトは福岡に拠点があるから、福岡に行ってまでって言うのはあんまりなかったけど。

それで、そうするうちにNPOやNGOの運営が面白いなと思えてきた。そう思えたのはもちろん、ソルトでのボランティアもあったけど、COJのコーチをさせてもらったりしたのも大きかったかな。

 

ーおぉ、大学から社会人にかけてソルト・パヤタスとは関わりを切らなかったんですね。どのタイミングでそちらへ移られたんですか?

一つは当時の本業があんまりピンときていなくて、普通に転職を考えたね。フィリピンに限らず海外、途上国に関わる仕事がしたいとは思ってたかな。たまたま丁度その時にソルト・パヤタスの今後の存続に関する話が団体内で出たんよね。当時、設立して20年くらいやっていたけど、今後どうしていくか…持続的な運営のために新しい人を入れたいという話に…。

それで職員の募集をかけるという話があったんやけど、これまでの職員を見ていると団体の財政的な問題もあって1年以上持つ人がなかなかいなくって…。その未来が見えて、また誰かすぐいなくなって団体が大変になるくらい僕がやりたいなと思った。

それが2016年。それから事業は続いてて、あれから5年くらい活動しているかな。2018年には創設者の方が一旦実務から離れられるようになって、ひとまず世代交代したという感じ。

 

ー団体も激動の中を潜り抜けて今があるんですね。そんな中、新型コロナが感染拡大しましたが、現在はどんな活動をされていますか。

3月中旬、フィリピンでロックダウンが始まって、指定業種以外は操業停止してん。公共交通機関も止められたね。地域によっては緩やかやけど、世界で一番ロックダウンが長いらしい。3月、4月は仕事できなくなる人が多かったね。

僕たちが支援している地域にはその日暮らしの人も多いから、生活の糧がない状況が続いてる。仕事ができなくなり、貯金もないという人が少なくなかったから食糧支援をやっているNGOもあったかな。うちの団体もロックダウンが始まって1週間後から、支援地域で食糧配布を始めた。日本も大変な状況やけど寄付集めを開始して、75万円くらいの支援が集まった。本当にありがたかったね。

食糧配布の支援を一旦完了させて、僕らは今大学の研究者と一緒にロックダウンが子どもに与える影響を調査するための準備をしている。一旦コロナによる瞬間的な危機を超えて、今後の活動をどうしていくかを考えていく段階に入っていった感じ。そういう日々が続いた中で、フィリピンで活動する他の団体さんはどうするんかなと思った。他の団体の人も多分思ってたっぽい。

というのは、僕が知っているフィリピンで活動しているNGOは事業規模は決して大きくはないけど、市民参加を大事にしながら経営しているところが多い。そういったNGOにとって個人の寄付や会費に加えて、スタディーツアーの収入はとても貴重な収入源やねんけど、今年はコロナの影響でそれができない。

ただ、他のNGOの代表とは2、3回挨拶程度で話をしたことはあったけど、みんな集まって話したことはなかったから「近況報告とかしません?」という流れで集まったのが最初。その時はみんなどうしているかを知りたいくらいの感じで。

 

困難を分かち合う対話

ー最初集まってからその後どう展開していったんですか?

5月中旬に最初に集まって、その時に、4団体集まり、それぞれやっていることは違っていた。あるところはその時点で、オンラインイベントに切り替えていて、すでに1回イベントを実施していた。しかも結構人数も集まっていた。その時点で夏までの計画もあってすごいなと。

他はストレートに団体の危機を訴える寄付キャンペーンをやってたり、公的補助のようなものもキャッチして申請も頑張ってたりと色々。うちはうちで大学研究者の人とロックダウンが子どもに与える影響を調査していたからその話を紹介したかな。

お互いに同じピンチでもやっていることが違うという話になって面白かったね。その時はそれで終わったけど「またこういうことができたらいいよね」と。2回目は2週間後くらいに実施したかな。

話す中でわかってきたのは他の団体も今年の資金はなんとか目処が立ちそうということ。というのはコロナ禍でも応援してくださる支援者の方からの寄付もあるし、補助金なども受けられたりする。逆に言えば来年以降はきついかもという話になってきたんよね。

そんな中でも共有できていたのは、今年、途上国にいきたかった大学生とかは悔しい思いをしているだろうなという問題意識。だからこそ、来年とか海外行けるようになった時に、今年国内でもどかしい思いをしている学生たちに発信する機会を設けようというのが共有できたのは良かった。

そうすると、次に海外に行けるタイミングでフィリピンに行こうと思ってもらいたいから、僕らのNGOの中からスタディツアーとかボランティアプログラムに参加してもらえる人を育てておきたいよねと。それで今回、合同でオンラインイベントをしようという話になった。第3回目の打ち合わせが今日の昼にある。

 

ーおぉ、めっちゃタイムリーっすね笑。これまでとの違いはありますか?

まずは、国内の職員はほぼ僕だけ。フィリピンにいけないのが寂しいかな。ペース的にフィリピンに行くことでモチベーションを保っていたからね。今月から再開している現地の活動もストップしているから発信できることもあんまりなかったんよね。図書館を運営している時だと図書館の様子や子供たちの様子を発信したりもしているがそういうのもあまりない。スタディツアーがないので、収入も下がってしまうのもある。

現地の活動が動かない限りは発信もできないし、発信できないと寄付とか次のアクションも誘導しづらい。その上、スタディツアーがないと参加の機会が減ってしまう。だから割と今でもどうしたらいいかなというのは考えている。そこを考えるのが重要な仕事なんやけど…。

 

ー…。

 

オンラインのイベントはどっちにしてもやらないといけないと思いつつ、僕らも動いている。学生支部の子の話を聞いていても大変。僕が大学生やったら嫌やと思う。フィリピンのNGOの違いがわからないという意見もあったので、これを機会にフィリピンの日系NGOのことをいったん全部知れるという機会が提供できるというのはこの状況でモヤモヤしている日本の大学生にとってもいい機会を提供できるのではないかと思っているかな。

 

答えのない難問と共に

ー現地にも、運営にも、学生にも影響が及んでるんですね。ひろさんも含めて組織の士気はどんな感じでしょうか?

僕個人としては割と今年はしゃーないとしつつ、来年以降に繋がる活動をしていきたいとちょっとずつマインドは切り替わってきてるかな。職員の方でいうと現地に駐在の人がいたけど、たまたまコロナの前くらいに帰国して休職してる。日本人で動いているスタッフは今の所、僕だけ。フィリピン人のスタッフは元気にいるって感じ。

現場の方は単純にすることがない。外出できないので移動の制限がされているし、それによるストレスもかかっている。運営的にもスタディツアーの収益の大半なので「このままじゃやばい」という雰囲気は感じていると思う。そういう意味でも現地の方は割としんどそう。

学生とかはSNSとかオンラインに慣れている分、切り替えは早い。ただ、新入生の歓迎を対面でできなかったのは残念がってたな。学生インターンは3月、4月が入れ替わる時期。4月からは本当は3人行く予定だったのは僕らとしても残念やね。

 

ー外出の制限ってどのくらいなんですかね?なんかロックダウンのイメージが全然違う気がしました。

フィリピンでは各家庭に外出許可証が配られて、その許可証を持った人、つまり、各家庭から一人しか外出できない。その外出許可書を持っていないと取締対象になる。ちなみにその許可証を持ってても21歳以下と65歳以上は外出禁止。僕らの活動は図書館にきてもらったり、お母さんに集まってきてもらったりとか前提だった。それができないし、オンラインに切り替えることもできない。

ーかなり極限状態ですね。そんな中で現地のオンライン環境はどんな感じ?

繋がるけど、画質は悪い。頻繁に途切れたりする。使えるとはちょっと言いにくいかな。

 

ー日本のコロナ禍の制限と比べると制度的、技術的な制限が大きそうですね。そんな中で今後の方針はどのようにお考えですか?

 

この期間、ずっと考えていた。

 

お金の問題はいつまでもつきまとってくる。お金の問題を理事で語る時に一番最初に心配されるのって俺の給料。それって俺がっつり当事者なので、その話されるのしんどい。俺の人件費どうするかみたいな話をしている時間はもったいないなと感じてしまう。

だって、その時間、本当は現地の貧困問題の解決に向けた話し合いができるのに。このことを解決しようと思うと2つしかない。一つはまるっきり心配がなくなるくらい稼ぐこと。もう一つは人件費をなくすこと。極論やけどね。でも、例えば日本人は人件費がなくても事業が回るように運営形態をシフトチェンジするというのは選択肢の一つとして考えていく必要もあるのではないかと個人的には思っている。

NPOの収入源って寄付、会費、助成金、事業収入とか。助成金はタイミングと内容が合わないといけないから運が必要。寄付、会費は頑張っても時間かかる。事業収入だけは正しく頑張ればしっかり回収できる。自分たちの努力次第と考えていた。

でも、今はそもそもフィリピンにいけない。どう頑張ってもお金稼げないみたいな状況はありえるんやなと考えてしまう部分がある。お金稼ぐ方にというよりはお金かからんように努力を変えたほうが良いのかなと最近は思っている部分がある。

 

それは、ソルトを残して、現地を支え続けるためにね。

 

 

現地から希望を見出すオーガナイザーの視点

ー容易い道ではなさそうです。何が鍵になるでしょうか?

それを実現するには現地の人が自立する状態が大前提なので大変だとは思う。続けるには日本からの投入は少なくなってしまう。それが減ったから子どもに支援できなくなるとかだけは避けないといけない。

今後はどこまで何ができるかわからない。だからこそ、現地の人たちが自分たちの力で現地やフィリピンの問題を解決していくんだと思ってもらわないといけない。ただ、本来NGOってそうあるべきやと思う。それを真剣に考え出した。

 

ー現地のリーダーシップが求められるわけですね。その点から言うと学んでいてよかったコミュニティ・オーガナイジング(以下CO)のモジュールはありますか?

「当事者が何を持っているか?」と考えるのはすごく大事やなと。コロナ禍においてもそうやけど、COを最初受けた時からすごい素敵やなと思った。インターンしている時にすっごいモヤモヤしていた。現地のお母さんとかすごい元気で良いところたくさんあるのになと思う。でも本人たちは「私たちにはお金がないし、学校も卒業していないから学力もないし、学歴もない。スキルも知識もない。」と言ってしまうことがある。

カテゴリ分けしてしまうとそこにいるのは社会的弱者と呼ばれる人たちなのかもしれない。だけど、なのか、だからなのかわからないけど自分にないものばかり注目してしまう。当事者である彼らも、支援者と呼ばれる僕たちも。そして、ないと言われれば、それを届けようとする人がいる。お金がないならお金を。食べるものがないなら食べ物を送る。

僕はそれに関してモヤモヤしていた。COのワークショップ(以下WS)を受けた時に「資源」という言葉を使っているけどその人が何を持っているかに注目していたことに共感した。その上でどうしても足りないものは外部の資源を活用してみたいな感じ。

COにおける戦略は地域の人が持っているものに、着目して自分たちの環境を変えるパワーに創るというのはすごいよかった。だから、COの考え方はすごく大事にしている。

現場にいって、地域の人と話すときとかはかなり意識してやるようにしている。例えば何かプロジェクトをしようとするときに、彼女たちは「私たちにそんなスキルや経験はない」と言ってしまうことがある。

でも、そこで「本当にそのスキルってないの?」と聞き返す。すると必ず、小さくても過去に何かの活動をしている。地域内や家族内でリーダーシップを発揮した経験が少なからずある。資源がそこにある前提でコミュニケーションを取れるのはNGOワーカーとして大事なこと。それをCOで学べたなと思う。

 

ー現地の人々にそういう視点で関わってきているわけですね。その上で、どのような課題を感じますか?

距離感は難しい。現地にあるものでとは言いつつ、「困ったら日本に頼れば良い」とどこかで思ってしまってる面もあると思う。もちろん僕たちも「困ったら頼れる存在でありたい」と思って活動を続けてきた面もある。そのバランスは難しい。頼られる存在でありたいと願いつつ、頼られすぎるとよくない気もする。介入しすぎると常に日本から支援があると思われても難しい。今回のような場合は特にね。

 

ーリアリティのあるジレンマを聞かせていただけてありがたいです。その上でそこを乗り越えていくために今、現地に何が必要でしょうか?

大きな成功体験かなと。成功体験ってたくさんあるはずなんですけど、振り返ってみれば成功体験ってあったよねという感じ。外部の人から見た時に成功体験ってわかる。当事者からしたら当たり前にやってきているので成功体験として認識していない。

イメージでいうとそんなに練習してなかったけど、試合で勝てちゃったみたいなのと、めっちゃ練習して勝てたとでは努力することに対する認識が違う。そこが今までふわっと活動してきて、成功体験っぽいのはある。現状、過程が追いついてないかなと。

なので、目標決めて、戦略立てて、プロジェクトを回して成功できたらほんまに自分たちにもできるんだなと思ってもらえるような気がする。2、3年前からその辺りを意識してトライはして、少しずつは形になってきたかなと思う。

 

ー努力に対する認識。突き刺さりますね。その観点から見たときにコロナはピンチに見えますか?チャンスに見えますか?

事業的には大ピンチやなと笑。ただ、チャンスとまでは言わないがこの機会にやれてることはあるかな。ついこの間、現地のスタッフが食料品を購入して、時に大量の食料品を小分けにしないといけないかった。その時に現地とスカイプ繋いだんよ。

話を聞いているとずっと支援される立場だったけど、地域の人たちのために配る食糧配布して、貢献できている自分にはやりがいを感じると。それはチャンスというか単純にうれしかった。

彼女たちは単なる受益者ではなかった。ただただ支援を受け続けるだけの存在ではなかったし、地域のために活動することにやりがいや喜びを感じれる人がそこにいるんやということを改めて確認できた。個人的には希望。そういう人がいないと僕らは成り立たない。

そういう人がいれば、ソルトジャパンがいなくても未来を作れる。そういう人がいるのを確認できたこととそういう一部の人に感じてもらえたのはもしかしたらよかったのかもしれない。

 

社会を変えたいと願う人をつくる

ー苦しい中にも希望が垣間見えているようですね。最後にこれからCOを学ぶ方へのメッセージをお願いします。

ちょっと話変わるけど、NPO法が成立して20周年の記念イヤーの時にNPO成立に携わった松原さんという方が主催する3日間の集中研修に行かしてもらった。その時、松原さんが「NPO法は、NPOという社会を変えるための組織を作るためのものではないんだ」とおっしゃった。

元々、特定非営利活動促進法は市民活動促進法で通そうとしていたらしい。本当は市民活動を促進するための法律だと。NPO法人は市民活動を促進するためのプラットフォームであるべきだと。だから、NPO法人の目的は社会を変えることではなく、社会を変えたいと願う人をつくることだと。

これは僕がCOがすごいなというか、良いなと思ったポイントと重なる。機会や場を提供することだという言葉はすごく衝撃的だった。どっちかっていうとソルトが社会の貧困を解決するんだと思ってたから。僕らだけで変えるわけではないんだと思えた。

COJがやっているのはまさにそういうことだと思う。社会を変えるというよりは社会を変えたいと思う人に技術やスキル、ノウハウ、ネットワークを提供していくという意味では、まさに「NPO法人」だなと。

 

ーなるほど、NPO法にはそんな背景があるんですね。その上でどんな方に受けてもらいたいと思いますか?

「仲間を増やしたい人」かな。個人的には自分が社会を変えたいって思っていることも大切やけど、「周りにすげぇ頑張っている人がいるから応援したい」くらいの人が受けた方がいいかなと。

オーガナイザーは黒子的な感じやし、そういう人が身につけた方が発揮されるスキルだと思う。だから「自分はリーダーなんかじゃない」という人ほど受けて欲しいな。

僕自身もフィリピンで頑張っているお母さんを応援するために自分のスキルを保つようにしている。リーダーシップっていうと、イメージは団体代表とか若干キラキラしている人のイメージがあるかもしれないけど、地道に頑張っている黒子的な役割の人にこそ受けて欲しいな。

 

ーとても共感します。オーガナイズするというのは実際の所、地道な対話の積み重ねだと感じています。目の前の人がどうすれば輝くのかを考えている人の等身大のリーダーシップであることがCOの良さだと感じています。本日は貴重なお話をありがとうございました!

ありがとうございました。

 

次世代のリーダー像とCO

インタビュー中、しばしば訪れた「間」。

そこに一人の実践者としてのひろさんのリアルなジレンマや葛藤が感じられた。

「どうすればいいだろうか?」

もしそんなことを「リーダー」と呼ばれる立場の人が呟いたら叱りつける人がいるかもしれない。「リーダーなのに何の方向性を指し示せていない」と。

しかし…。

しかし、だ。

「僕は今もわからずにいるんだ。あなたはどう思う?」と問いかけることができるリーダーシップがあってもいいと僕は思う。いや、むしろ、先の見通しの立たない時代に一面的な視点から強引に指し示すリーダーシップは却って問題を深刻化させることはないだろうか?

決める力が大事なのはこれまでの時代ときっと変わらない。

でも、それと同じくらい今起きていることに真摯に向き合う力が大切なのだと思う。「どうすればいいだろう?」と僕らが悩むのは、今何が起きているか知りたいという探究心からくるものだと思う。

国境の狭間。様々な想いを揺れ動く難問に挑む彼が、それでもなお、現場から希望を見出そうとする姿勢にオーガナイザーとしての意志を感じた。

 

▼Column:Community Organizingからひろさんの実践を振り返る

ひろさんの実践のなかで最も重要なポイントは「同志」という概念です。

同志…ある目的を達成するために「共に立ち上がる」ことを学んだ人々のこと。

英語ではComrade。僚友(苦労を共にできるような親しさ) 仲間という意味だそうです。ラテン語では「一緒に立ち上がる」となります。

私たちはワークショップの際に「課題に直面する当事者は誰ですか?」と聞きます。それはその課題を解決するためではありますが、その方々を「支援」するためではありません。COのポイントですが、「課題に直面する当事者自身がその課題を解決できるようにすること」が大切です。

課題に直面する同志たちが共に立ち上がり、自分たちの課題を解決していくことを目指して、チームを立ち上げ、戦略を作り、アクションに移していく。

インタビューで現地の母親たちが「私たちには何もない」というところに、ひろさんが「本当にないんですかね?」と聞き返していくシーンがあったかと思いますが、まさに同志が自分自身の持っているものに気づき、自分たちが持っている課題を解決できるように促していくシーンだと思います。

オーガナイザーは、課題を解決してあげる人ではありません。オーガナイザーは課題を解決しようと立ち上がる人々が解決できるようにリーダーシップを高めていく存在です。この考え方は医療、教育、福祉に限らず、ビジネスの現場などでも応用できるものだと思いますので、課題解決を目指す全ての皆さんに学んでいただければと思います。

▼最後に

9月12日 – 13日にそんなCOを学べる2日間のワークショップがあります。実践しながら学びますので、2日目を終える頃にはこの記事のひろさんの実践がまた違って読めると思います。もしよかったらこちらもチェックしてみてください。なお、早割が8/7と迫っておりますので、お早めのご決断をお勧めいたします。

https://www.facebook.com/events/313690556476311/

▼コロナ禍の私たち – コミュニティオーガナイジングはどう生きたのか? –第一回:山口浩次篇はこちら

http://communityorganizing.jp/blog/interviewcovid19/?fbclid=IwAR0rnKd_6AjBd2Ci9pKf6sOzTJYl2SixzejiBbiUOgMCS0ckk6yt9z0gLG0