2018年3月2・3日の2日間にわたり東京都内の国立オリンピック記念青少年総合センターにて、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークが主催しキリン福祉財団様の協力を得て「子ども食堂はまちのプラットフォーム!になるためのお泊まり合宿」を開催しました。北は北海道から南は沖縄まで、全国各地で子ども食堂の取り組みを推進している52名の方に参加いただきました。
2日間のプログラムは、通常のコミュニティ・オーガナイジング・ワークショップをアレンジして、共通の思いに基づいて活動する組織を地域でつくることを想定した内容となりました。子ども食堂の取り組みがどのように広がり、まちのプラットフォームとなるのかについて、参加者全員で考え意見交換し学ぶ時間となりました。中にはお子さん連れで参加した人もいました。
参加者は地域ブロックごとに分かれてチームを組みました。各チームに配置されたコーチは、東京以外にも、福島、山梨、大阪、徳島、福岡から集まってもらいました。コミュニティ・オーガナイジングの考え方に精通しているコーチと参加者がつながるということも今回のワークショップの成果の一つとなりました。
初日は、まず初めに子ども食堂が直面する課題についてまたその課題を乗り越えるための工夫について、付箋と模造紙を使って意見交換をしました。アイデアがたくさん出て活発に意見交換する様子を見ながら、2日間のプログラムの成功を確信しました。
意見交換で出された内容を参照しつつ、次にコミュニティ・オーガナイジングの基本的な考え方の講義をし、コーチングの講義と演習へと移りました。52人の規模でやる演習は圧巻でした。参加者の中には、普段自分がやっていたことはコーチングではなく、すぐに相手に答えを伝えてしまっていたことに気づいたという声もちらほら。でも、社会を変えるためには自分が取り組むだけではなく、ほかの人をコーチングしなければならない、という言葉に勇気をもらいました。
初日の夜はもちろん交流会。初めて会った人たちがほとんどとは思えないほど皆さんすぐに仲良くなり、情報交換をして、結束を固めていました。合宿の醍醐味はその後も夜まで情報交換が続くことです。大人になってから相部屋で寝泊まりして合宿をするというのもいいものだと感じました。1泊2日とは思えないほど皆さん距離がぐっと近くなりました。
二日目はストーリー・オブ・セルフと関係構築、そして午後にチーム構築の演習をして終了しました。
ストーリー・オブ・セルフではなぜ皆さんが子ども食堂の活動に取り組んでいるのか、その思いを聞くことができました。子ども食堂が単なる流行りとして広がっているのではなく、その実践の背景には一人一人の熱い思いがあり、そうした思いが共感されることで活動が広がっているということを、改めて確認する機会になりました。
関係構築は一人一人の思いをつなぐことで、組織の基礎となる信頼関係を地域の中につくっていく演習です。お互い、子どもを対象の活動をしていても、その活動内容はいろいろだということに気がつきました。そうした多様な活動の中にも、共通の価値観があり、その価値観、つまり子ども食堂が大切にしている価値観、について考える機会となりました。
最後はチームの目的、約束事(ノーム)、役割を決め、チーム名とチャントを発表して終了しました。皆さん普段から子どもたちと時間を過ごしているだけあって、クリエイティブで愉快なチャントが続出しました。
子ども食堂のような共通の活動をしている人たちが全国から集まってワークショップを提供することはCOJにとっても初めての経験となりました。日々、実践に取り組んでいる人たちに集まってもらったことで、改めてこのワークショップが生み出すパワーと可能性を実感する機会となりました。COJのミッションでもある「日本においてコミュニティ・オーガナイジングの実践を広める」ことは、こうした現場とのコラボを通して実現していくのだと思います。
今回の企画をご提案いただいたNPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークの栗林さんに改めて感謝します。
文責:室田信一(ヘッドコーチ)