ワークショップに参加した動機は?
私はかつての病院勤務の経験から、東大阪(東大阪市もしくは東大阪市域)における在宅での緩和ケアの必要性を痛感しました。この経験が、緩和ケアを専門とする在宅訪問診療のクリニックを開業する原動力となりました。開業してから間もなく、厚生労働省が進める「地域包括ケアシステム」が理想と現実の間に大きな隔たりがあることに気付き、この問題に対処すべく、医療・介護・福祉の壁を越えた全職種が参加できる、真の地域包括ケアシステムの構築に向けて動き始め、東大阪プロジェクトを設立しました。
「出会うことで人が動き出し、ともに未来を変える。穏やかなエンディングをみんなで」をクレド(行動方針)に、司法書士を代表に迎え、当初5名でスタートした私たちの組織は、現在では50名を超えるコアメンバーを有し、地域のニーズに応えるべく6つの主要イベントを定期的に開催しています。また、製薬会社と共催のオンライン研修会は、全国から多くの参加者を集めており、その数は500名にも及びます。これからも組織を持続可能に拡大していくため、ダンバー数とされる150人の壁を超えるコミュニティ構築のため、コミュニティ・オーガナイジングの理論と実践を学ぶために参加しました。
ワークショップに参加した感想は?
この2日間のワークショップで最も心地良く感じたのは、タイムスケジュールが分単位で厳密に守られていたことです。集合と解散の合図の精度は、これまで参加したどの会議よりも完璧でした。
私たち自身の組織構築に向けて、必要なプロセスをこのワークショップを通じて実感することができました。講義と実践のセット、ノーム(合意事項)の策定、コーチング、パブリック・ナラティブとは、ストーリー・オブ・セルフと己を見つめ直すことから始まり、他者との関係構築、そしてリーダーシップに至るまで、濃密な一日目を過ごしました。頭の中はアイデアで満ち溢れ、息つく間もない8時間でした。
2日目もノームの確認からスタートしました。戦略Iでは、「同志は誰か」、「戦略的ゴールは何か」と焦点を絞り、関係者の洗い出しと変革の仮説を立てる作業を通じて、「同志と共に」するという視点を育むことができました。続く戦略IIでは戦術を定め、目標達成に向けた具体的な行動計画を立てました。これらの一連の普遍的なプロセスは、どのような組織構築にも応用可能であり、非常に価値があるものだと深く感じています。
今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?
このワークショップの際立った特徴は、参加者が非常に高い動機と志を持っている点です。さらに、講師陣の高い意識も感じられました。講師は講義内容を表面的に説明するのではなく、その部分がなぜ重要なのか、なぜ学ばなければならないのかを深く掘り下げて教えています。このアプローチにより、参加者は自然と深い思考をする習慣が身につき、本質を理解することができ、時間が経過した後も内容を振り返りやすいと感じています。
ワークショップの構成も素晴らしく、初めにコーチングについて学ぶことで、他の参加者の意見を否定せず、スムーズに進行できたように思います。チームに付いてくださったコーチが、コーチングに関する講義で学んだことを実際に実践していたことに、講義が終わった後に気付き、そのプロフェッショナリズムには感心させられました。
コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?
当初5名でスタートした私たちの組織は、現在では50名以上のコアメンバーを擁しています。そして、来年度にはその数が100名に迫る見込みです。これまでのリーダーシップが「ドット・リーダシップ」ないしは「バラバラのリーダーシップ」であったことは否めません。
今回の学びを生かして、コミュニティ・オーガナイジングの理論に基づいた持続可能なコミュニティ構築を目指します。これまで定期的に開催してきた6つの主要イベントも、メンバーとともに成功させていきます。そして何よりも、大ゴールを達成するためには、他のメンバーのリーダーシップを培う「スノーフレーク・リーダーシップ」を積極的に取り入れ、実践していきたいと考えています。