ワークショップに参加した動機は?
コミュニティ・オーガナイジング(以下CO)実践経験のある代表理事と、今回のワークショップ(以下WS)でコーチを行う所属団体の理事仲間に強く勧められ、参加しました。半年ほど前、あるプロジェクトチームの一員となった私は「このメンバーと一緒に夢を叶えよう!」という希望に満ち溢れていました。しかし、どうも上手くいきません。物事が決まらず、プロジェクトが進まないのです。「みんなで、仲良く、一生懸命に」ミーティングを重ねているはずなのに、どうして結果が出ないんだろう?私は、感情を高ぶらせて泣きながら「自分がいかにその夢を実現させたいか」だけを延々と語り、有意義な話し合いもできぬまま時間だけが過ぎていきました。上手くいかない理由は何?足りない物は何?チームって何?全く答えが見えない日々の中、このWSの開催を知りました。幼い子どもたちを家族に託して丸2日間、他県に行く事はとても勇気がいりましたが「もう、こうなったら可能性のあるものには何でも参加してやろう!」という気持ちで、申し込みメールを送りました。
ワークショップに参加した感想は?
COは、昔から日本でも一般市民によって実践されていた(北九州での婦人会による公害問題に対する活動など)と知り、イメージが変わりました。成功した運動には共通するポイントがあり、COではそれが体系化されていることで、自分の得意なこと(ストーリーを語ること、関係構築)、不得意なこと(戦略を立てること、自分の活動に誘うこと、タイムキープ)がよく分かりました。また、チーム演習で思い切り試行錯誤を味わった事が、とても大きな収穫でした。私たちのチームは「同志とは、課題に直面する当事者であり、最後まで一緒に完走できる者」という認識が不十分だったため、2日目の演習にして、同志から設定し直すという展開になりました。正直「嘘でしょ!?締め切りに間に合うの?」という戸惑いと不安と焦りが頭をよぎりました。それは私が現実に直面している「一生懸命進んだと思ったのに全く進んでいない」というチームの状況にとてもよく似ていました。それでも結果的に、戦略を立てて発表まで漕ぎつける事ができました。これまで「時間さえかければ何でもできる」「型にはめられるのは不自由」だと思い込んでいました。実は逆で、時間の制限や決まった型があるからこそ物事が進んだのだと感じました。「途中でつまづいても、引き返してその原因を探り、軌道修正することで目的を達成できる」。演習で経験したことを通して「現実のプロジェクトにも、もう一度トライしてみよう」という気持ちになれました。
今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?
丸2日間、講義と演習を繰り返す内容は、まさに幼い頃の自転車の練習のようでした。「型を習う」という例えの通り、講義で学んだ知識をすぐに演習で実践し、COを「感覚」として自分の中に落とし込んでいくようでした。普段、研修を受けただけで満足してしまい、その後の活動に反映しづらいタイプの私にはとても合っていたと思います。また、名刺交換で終わってしまいがちな他団体の皆さんと2日間じっくり交流できたのも良かったです。自分の活動が上手くいかない時、他団体さんの活動が順風満帆に見えて羨ましく感じていました。しかし実際には、皆さんそれぞれの課題に直面していて「悩んでいるのは私だけじゃなかった」と気付き、お互いに励まし合うことで勇気が湧きました。これだけ多くの参加者数と濃い内容でありながら、時間管理が徹底されており、ズレがほとんどなかったのも印象的でした。タイムスケジュール、タスク、締め切りを参加者に明確に伝えることが当日の運営はもちろん事前・事後のメール連絡まで徹底されており、とても勉強になりました。
コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?
WSを終えた今も、プロジェクトの課題は変わらず私の目の前にあります。正直なところ気持ちの面では、WS参加の前より今のほうが辛いと言ってもいいかもしれません。そもそも誰のための、何のためのチームで、その目的をメンバー内で共有できていたのか等、これまで曖昧にしてきた課題が露呈したからです。しかしそれは、自分がやるべき事、進むべき道が見えてきた証拠だというかすかな希望もあります。COは悩みを勝手に解決してくれる魔法ではなく、「目的と用法を正しく理解し、自分の手で使ってこそ意味のある道具」のようなものだと思います。軍隊の行進のように同じ者が、同じ歩幅で歩む、それが「まとまりのあるチーム」だと思っていました。「目標が達成できないのは知識が足りないから、経験が足りないから、資格を持たないから。それらを全て身につけて完璧にならなければいけない」とも思っていました。しかしスイミーたちのように、姿は違っても、それぞれが持つ力を合わせ、進む方向を一致させれば、目標を達成できる。私たちの団体メンバーは年齢も、性格も、経験も、生活スタイルもバラバラです。しかし、その多様性こそ私たちの資源だったことを思い出すことができました。心を一つにして泳ぎ、目的を達成したスイミーたちのように、私も仲間と一緒に前進していきたいです。