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開催レポート
コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ
CASE #141 facebook twitter
2023年度パタゴニア×COJ「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ」開催レポート

2023年9月9日(土)・10日(日)に、パタゴニア日本支社と共催で、Charities Aid Foundation America (CAF America)の助成を頂き、パタゴニア日本支社の環境助成を受けて活動している3チーム12人に対してオンラインワークショップを開催いたしました。

今回、2022年にもコミュニティ・オーガナイジング(以下、CO)のワークショップに参加した方が、また新たなメンバーとともに参加してくださり、実際に活動しているからこその嬉しい変化を感じました。COでは、雪の結晶のように、最初に立ち上がった人の想いが広がっていき、2層・3層と新しいリーダーがうまれていくスノーフレーク型の組織の在り方を目指します。まさにそんなリーダーシップの在り方を体現されていて嬉しかったです。「また新しいメンバーと来ました。このメンバーと考えられるのが楽しみです」と前回参加した方がにっと笑って話していて、リーダーってこういう人たちのことを言うのだな、と思いました。

「実際に活動しているからこその熱さ」ー【コーチング】【ストーリー・オブ・セルフ】

地域によって、活動の現状は様々です。繁忙期のなか参加したチームも多く、ワークショップの最初はすこし、そわそわした空気がありました。
ですが、それも束の間、ノーム(ワークショップでのお約束)を決める時に「みんな一所懸命だから(本気だから熱くなりすぎてし)言いすぎてしまうかもしれない。でも大目にみて欲しい」と、このワークショップへの真剣さが伝わるノームが出ると、その後も「どうしても困ったら他の人にパスしちゃおう」など、ワークショップをみんなで乗り越える工夫も出されました。
冒頭から参加者全員が助け合える、そんなノームがうまれ、ぐっと気分が和らいだように感じました。

最初に講義・演習をおこなったのは「コーチング」。質問と言い換えを使って課題解決が滞っている原因を見つけ、どうアプローチするのか自分自身で見つける演習をしました。
各演習をまわって見ていましたが、やはり活動家の課題には共通点があるのかもしれません。真摯にお互いの課題を聞き合っている姿が印象的でした。課題を抱えたことがあるからこそ、コーチングをしっかり学びたいという気持ちが伝わってきます。

続いて「ストーリー・オブ・セルフ」の演習へ。演習では「私が今活動している(リーダシップをとっている)原動力はなにか、それはどこからきたのか」を2分という短い時間で語るチャレンジをしました。「環境」と一口に言っても、その人がなぜ立ち上がれているのか、その根源にある価値観はひとりひとり違います。
今回のワークショップ参加者の方は、チームで活動されている人たち。お互いの価値観を理解する時間は、どこか照れくさそうな感じもしました。でも「幼少期の考え方が、今の行動に反映されていると振り返れて、自分を支えているものを意識できた」という振り返りなどから、ストーリーを話すことがご自身のエンパワーメントにも繋がっている、と感じました。
全員の場での発表の際、若い時にはじめて立ち上がったストーリーをシェアしてくださった参加者の方に、皆で拍手を送りあいました情景やその時にどんな気持ちになったのかをあわせてストーリーを語ってくださったので、聞いている私も、その経験が目に浮かぶようでした。そして「立ち上がってよかった」という気持ちも一緒に伝わってきました。実際に変化を起こすことは、非常に難しく、時に疲れてしまうことがあると思いますが、そんな時にも是非ストーリー・オブ・セルフを思い出してほしいなと、皆さんの拍手を送る姿を見ながら思いました。

乗り切ろうという気持ちのもとで、チームになっていくー【関係構築】【チーム構築】

1日目の後半は、他者との関係を構築する「関係構築」と「チーム構築」というリーダシップスキルにチャレンジ。
関係構築はチームのメンバー同士で行い、改めて、このチームが共有していることを話し合います。
昨年ワークショップに参加された方から「あ~!やっぱ実践しないと忘れちゃうのね~!」と感想をいただきましたが、1日の終わりには「地元で実践したいと思った」「もっとやらないと!」と熱い想いに変わっていたようでした。

チーム構築の演習は、決めたり話し合ったりすることが多い、骨の折れる演習です(その分、チームの目標やノームが決まったあとに大きな達成感を得られます)。実際に動いているチームなら、なおさらチームの共有目的を明文化するのは難しい作業だと思います。
演習ではリーダシップチームの「チーム名」や「チャント」(そのチームならではの、頑張るぞ!という時などに使う掛け声)を決めるのですが、演習で話し切れず、すべて決まらなかったチームもありました。そんな時、私だったら少し悔しくなってしまうと思います。ですがそのチームは「最後まで話し切れなかったんですけど、途中まで話せたので、いまちょっとやってみてもいいですか!」とその場でチームメンバーで声をかけあい、やり切りました。
お互い助け合えたり、トライできるいい時間を積極的につくっていて、凄い!と思いました。

真剣!戦略、タイムラインづくり」ー【戦略Ⅰ【戦略Ⅱ】【パブリック・ナラティブ

2日目は、戦略について話し合います。
戦略Ⅰでは、まず達成するゴール設定を決めることにチャレンジし、その後どうやって変化を起こすか仮説をたて、明文化します。戦略Ⅱでは、仮説に基づき、実際どんなことを行うのかをタイムラインに落としてく演習を行います。
振り返りの場面では「他の地域で起こっている問題と、解決策の発表を聞くことでも学びになった」「全国の同じような価値観や活動をしている人たちに勇気づけられたという声もあり、チーム同士で刺激をもらえたように思います。
また、お昼休憩時間も、もっと話したい!という感想も出ていて、「この人たちは本当に社会を変えていく人たちなんだ」と感動しました。

最後の演習は「パブリックナラティブ」です。
パブリックナラティブとは、1日目におこなったストーリー・オブ・セルフに加え、ストーリー・オブ・アス(私たち)、ストーリー・オブ・ナウ(緊急性)も語り、キャンペーンに対して具体的なアクションを呼びかけるストーリーです。
講義では、モデル(見本となるスタッフのパブリック・ナラティブ)を2回にわけて聞いていただき、パブリック・ナラティブを体感するだけでなく、どのように語るかを詳細にひとつひとつ確認しました。すでに地元にはキャンペーンに参加してほしい(=パブリック・ナラティブを語りたい)同志がいる参加者の皆さんの目は真剣そのもの!メモをたくさんとりながら聞き、講師が「どこにアスを感じましたか?」など質問をすると、皆さんZoomの「手をあげる」ボタンを使ってどんどん発言します。1日目の最初のぎこちない空気が嘘のよう。
きっと実践で、パブリック・ナラティブをたくさん話すんだろうな。今日考えたアクションにどんどん誘っていくんだろうなと感じました。
戦略はいろいろ考えなければいけないことが多く、眉間にしわを寄せていた皆さんでしたが、最後は、お互いのアクションに「参加するよ!」「イベントのリンク送ってー!」といったチャットが溢れていました。

「できない・しかたない」を「できる・しかたある」社会へ、みんなでCOを使ってむかっていこう!

できあがった戦略には、同志・一緒に変化を起こしたい人、変わってほしいところの名前が具体的にあがっていました。特に同志の名前が具体的で、立ち上がっていくイメージができたので「実際にオーガナイジングをやっていくんだな」と私たちもわくわくしました。
COを実践し、実際に「できる!」とみんなが声をあげられる社会になったら、これ以上嬉しいことはありません。
今後は、年度末までに2回の合同ミーティングと、各チームごとに必要なトレーニングをします。3団体の活動がよりパワフルで、よりわくわくする活動になるよう、これから伴走させていただきます。皆さん、本当にお疲れ様でした。

レポート:山崎鮎美(コーチ)

<参加チーム>
富士川 Free to Flow(富士川に設定された、 河川環境保全のための「維持流量」を満たす放流を求める住民運動)※署名実施中
奄美せとうち観光協会(鹿児島県奄美大島南部の瀬戸内町で、環境保護保全、青少年育成など幅広い活動を実施している団体)
今ノ山愛好会 (高知県土佐清水市にある今ノ山を削って建設予定の大規模風力発電計画について、住民一人一人が考える場を作り、首長がその意思を汲んで意思決定することを求める住民団体)

開催概要

開催日時
2023年9月9日、10日
開催場所
オンライン開催(zoom)
MAP
主催
共催:パタゴニア日本支社/NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン
対象
パタゴニア日本支社の環境助成を受け活動している3つの団体
助成
Charities Aid Foundation America (CAF America)