みんなと一緒だったから走り抜けられた!濃密な2日間!!
2023年12月9日(土)、10日(日)の2日間に渡って、オンライン開催では9回目となる「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ(以下、COW)」が開催されました。一般企業、労働組合、一般社団法人や公的機関まで、それぞれ多様なバックグランドを持つ22名の参加者と16名の運営スタッフが、コミュニティ・オーガナイジング(以下、CO)を一緒に学びました。
ワークショップ開始時は、日々取り組んでいる分野・活動も異なる参加者が集まる中で「初対面の方と最後までやり遂げることができるか不安」という声もありましたが、ワークショップ終了時には、リーダーシップの5つの単元(モジュール)の学びや演習を振り返り、「熱いチームメンバーと出会えて良かった!」という嬉しい声が至るところから聞こえてきました!
濃密な2日間となった第9回オンラインCOWについて振り返ります!
COWでは、COを実践するために必要な5つのリーダーシップを学ぶことを目標にしています。ここでのリーダーシップとは、「先行きの見通しがたたない不確かな状況の中で、人々の目的達成を可能にする、その責任を引き受けること」です。具体的には、➀ストーリーの共有、②関係に基づいたコミットメント、③明確な組織構造、④創造的な戦略、⑤測定でき、目標のある行動、の5つの実践があり、それぞれの単元(モジュール)を「講義を聞く→手本を見る→実践してみる→振り返る」のプロセスを繰り返しながら学びました。
5つのリーダーシップ |
単元(モジュール) |
➀ストーリーの共有 |
パブリック・ナラティブ(ストーリー・オブ・セルフ、ストーリー・オブ・アス、ストーリー・オブ・ナウ) |
②関係に基づいたコミットメント |
関係構築 |
③明確な組織構造 |
リーダーシップチームの構築 |
④創造的な戦略 |
戦略 |
⑤測定でき、目標のある行動 |
(アクション) |
お互いの価値観で繋がる関係とチーム
1日目に、コーチング、パブリック・ナラティブとストーリー・オブ・セルフ、関係構築、リーダーシップチームの構築、2日目に、戦略、パブリック・ナラティブ(ストーリー・オブ・アス、ストーリー・オブ・ナウ、ストーリー・オブ・セルフをつなげたもの)について学んでいきました。
ストーリー・オブ・セルフでは、自分自身の価値観を伝える方法としての語り方を学びました。現在、各自が取り組んでいる活動への原動力がどこから生まれてきたのか?過去を振り返り考えました。どのような困難に直面したか?その際にどのような選択をとったか?そして、その結果、何を感じ・学んだのか?を一貫した力強いストーリーとして語ります。
5分間で考え、2分で語るという短い時間で、実践の難しさに戸惑いながらも、価値観を経験や感情を語ることで伝わったときの効果を実感したモジュールになりました。自身のストーリーを語り、チームメンバーのストーリーを聞き合いました。胸の奥がぐっと熱くなるストーリーに参加者の熱い想いが溢れて、感動する場面が多くありました。
関係構築では、関心事だけではなく、価値観で繋がる関係を築くための1対1でのミーテイング(1on1)を実践しました。お互いのストーリーを知ることで、共有する価値観を見つけていきます。その共有する価値観に根ざすお互いの共有する関心を見出し、その関心事を一緒になすために必要な資源を交換します。ペアになり、相手に色々な質問をして探究することに時間をかけながら、相手の価値観、関心、資源を知り、同時に、自分の価値観、関心・資源を共有しました。
リーダーシップチームの構築では、チームの共有目的と、ともに取り組むためのノーム(グランドルール)をつくり、各自の役割と責任を明確にしました。そうすることで、機能するチームづくりを実践しました。
ワークショップで初めて会う5~6人のチームでどんなことを目指すチームか(目的)、誰と一緒に活動するのか(同志)、そして、目的を達成するためにこのチームは何をすべきか(活動)を言葉にしていきました。集まったメンバーの関心はバラバラに見えても、価値観で繋がることができる!私が一緒に取り組んだチームでは、「ひとりひとりの存在が大切にされ、皆がありのままの自分でいて安心できる社会」を作りたいんだ!とチームが一体感を持った瞬間でした。
1日目が終わるころには、参加者も運営スタッフも充実した疲労感!
「もっとがちがちになると思ってけど、価値観に触れられて、発言しやすく、聞きやすく、心地よく、楽しかった」
「聞く姿勢が自分で思ってたより大変だった。聞きながら受け止め相手の思いを受け止め、また返していくのが難しかった。今後の自分の活動に活かしたい!」といった感想がありました。
2日目に向けて気合十分です!!
望むものを得るためには、戦略とナラティブが必要!戦略的ゴールまでの道筋を描く!!
ワークショップ2日目。1日目と同様に緊張しつつも、期待感に膨らむ参加者のみなさんがオンライン上に集まりました。1日目に作ったノームの確認とチェックインから2日目が始まりました!
人は、「どうやって行動するのか」が分かり(頭での理解)、「なぜ自分が行動するのか」が分かり(心での理解)、「何をすべきか」が分かる(手の動かし方の理解)ことで、行動につなげることができると1日目のコーチングやパブリック・ナラティブで学びました。
2日目は、一緒にパワーを高めてゴールを達成したい人々と課題を解決するためにどのように力を合わせるのか(戦略)、なぜ今行動するのかという動機にかかるパブリック・ナラティブを学びます。
戦略Ⅰでは、共有目的を踏まえ、困難に直面する「同志」は誰か、どんな困難に直面しているかを分析することから始めました。現場を明確にし、誰が関係者であるかオンラインのワークシートを使いながら、マッピングしていきました。関係者を具体的に挙げ、関心や資源を明らかにしました。問題を解決するための資源や権力をもつ人々に影響を与えるために、同志のもつ資源をどのように用いてオーガナイズできるか?変革の仮説をつくり、一文にまとめました。
戦略Ⅱでは、戦略Iで作り上げた戦略を達成するための具体的な戦術を考えました。設定した戦略的ゴールを達成するために、キックオフ戦術、複数のピークアクションをタイムラインに落とし込んでいきました。立案した戦術は戦略的ゴールに繋がっているか、同志の資源を上手く使えているか、同志の問題解決能力を高めるものかを確認しながら、キャンペーン・タイムラインを作っていきました。
立案したキャンペーンを、全てのチームが全体発表!
「キャンペーン・タイムラインが具体的なチームは、リアルに感じて応援したくなった!」
「インパクトの強いキーワードがキャンペーンに入っているとわくわくするし、これならやれそう!と思える。」といった感想が飛び交い、課題を解決するための具体的なアクションの考え方の理解が進みました。
パブリック・ナラティブ(ストーリー・オブ・ナウ/アス/セルフの繋げて語る)では、ご自身のストーリー・オブ・セルフ、会場にいる全員のストーリー・オブ・アス、それぞれの課題の緊急性を語るストーリー・オブ・ナウを全てつなげて、パブリック・ナラティブを作成しました。「5分でストーリー作って、3分で話す!」というチャレンジングな課題にも前向きに取り組みました。
価値観が経験と感情を介して伝わってくるストーリーに、目頭が熱くなる参加者と運営スタッフ。オンライン上での発表者からの呼びかけに対して、参加者の皆さんからたくさんの”いいね”や“拍手”のリアクションがありました。なぜ行動したいのか、しなくてはならないのかという思いを改めて、参加者同士で感じあった瞬間でした!
ワークショップが終わってからが本番!今後に向けた参加者の声
2日目のワークショップの終了時には、それぞれこの2日間を振り返り、明日からのアクションプランを考えました。2日間のワークショップでの学びを活かせるように具体的に考えました。参加者の声を一部抜粋して、お届けします!
- 「今回初めてCOWに参加したが、チームの雰囲気が良くてのびのび学ぶことができた。2週間以内に業務が大変な若手職員に声掛けをして状況を聞きたい。傾聴することの大切さと咀嚼することの大変さを実感したので、実践していきたい」
- 「自分の価値観を大切にして、希望を語ることのパワーを感じた。仲間と一緒に一つのことを作ることの大切さを学んだ濃密な二日間だった。セルフを3人に語る、ナラティブを磨き直すというのが出たので、それをやってみたい。熱いチームメンバーでした」
- 「現在進行しているプロジェクトの打合せが明後日にあり、この2日間の学びを取り入れたい。心が動かされて自分ごととして考えられるようになったので、周りにも内容をシェアして、チームのみんなが自分ごととして考えられるようにしたい。聞く姿勢や思いやりの気持ちを忘れないでやっていきたいと感じた!チームのみんな出会えて良かったよ!」
- 「パブリック・ナラティブの構造を学んだので各々の場で使いたい。COをやっていく意義が感じられた二日間。パワーを奪われてしまっている人でもできると思った。関係構築、チーム構築は奥が深く、自分の本音、価値観を語ることが重要と感じた。希望を感じながら進むことが出来たと実感したので、これを継続してやっていきたい。わくわくした二日間。価値観を共有できてよかった」
参加者のみなさん、2日間のワークショップ、本当にお疲れ様でした!ワークショップが終わってからが本番!何度も実践し、チャレンジし続けていきましょう!
レポート:里見翔平(コーチ)