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開催レポート
コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ
CASE #105 facebook twitter
2020年5月9、10日、6月6日COJ/パタゴニア「新年度戦略ワークショップ」開催レポート

2020年5月9~10日、6月6日、オンライン(zoom)にてパタゴニア日本支社と共催で米タイズ財団の助成を頂き、パタゴニア日本支社の環境助成を受け活動している3つの実践団体向けワークショップを開催いたしました。

参加された3つの団体はそれぞれのミッションテーマは異なるものの、根底にあるエネルギーや関心事が重なる部分もあり、お互いを刺激しあいながらオンラインでの3日間に挑戦されました。

参加した3団体は…

参加したのは、横須賀の石炭火力発電所新規建設反対の運動をされているチーム(様々な団体からコアメンバーが集合していました。)、若者の声を政治に届けるということをミッションにするNO YOUTH NO JAPAN、「すべての子どもたちに学校菜園を」を掲げる一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパンの皆さまです。

周囲を巻き込む難しさや、課題への理解を広めていく難しさ、そんな課題を今回のワークショップで解決したい、そんな動機を持って参加された方も多かったのではと思います。

「少し広い範囲へチャレンジするということを知れた」

ワークショップは、はじめの2日間で戦略までを設計、その後およそ1か月という現場での実践期間を経て、戦略の見直しを3日目に実施するということが一つ大きな特徴でした。

最初の2日間を経て、実践に向けた動機が高まり行動につながっているチームや、自分たちのチームなりにコミュニティ・オーガナイジングの言語を再定義したチーム、じっくりと戦略を見直すことに時間を費やしたチームと様々でしたが、1か月の使い方の違いもお互いの刺激になったのではと思います。

また、お互いの発表や共有の時間には、チャット機能を使って支援できるリソースが紹介されたり、応援コメントが数多く発信されたりと、オンラインならではの良さを感じられたことも一つの気づきでした。

コミュニティ・オーガナイジングのワークショップを通じて、「これまで自分ができる範囲のことだけを考えていたが、少し広い範囲へチャレンジするということを知れたことが学びだった」という声が印象的でした。これまで活動に取り組んでこられている方にとっても、ワークショップという機会を通じてさらにチャレンジできる希望を持ち帰っていただけたことをうれしく思います。

その問題があなたにとってなぜ重要なのか

また、理性と感情のどちらにもアプローチをすることの大切さを、ワークショップの中で私もコーチとして伝えていますが、それに対し「理性(戦略)は得意だが、感情(こころ)へのアプローチが苦手と気づいた」という声も多かったです。活動を日々実践されている方ばかりだったからこそ、向き合う問題が「いかに解決すべき緊急度の高い問題なのかを説明すること」は得意だったのに対して、その人個人としてなぜ問題の解決に時間、労力、エネルギーを投資するのかということを伝えるのはあまり実践する場がなかったのではとも思いました。同じような経験をしながらも、その問題があなたにとってなぜ重要なのか、重要だと思うのはあなたがどんな価値観を大切にしているからなのか、といった問いはコミュニティ・オーガナイジングを活用する上でも非常に大切な問いかけです。そんな問いかけを意識して活動に取り入れていただけると嬉しく思います。

問題として難しいものがストーリーを通じて解決につながっていくかもしれない

今回コーチを経験することで私の中での環境問題に向けた当事者性は高くなりました。それは、実践されている方々の想い、原体験に共感することができ、自分もこの問題に関わりたいと思えたからです。具体的には伝えられませんが、自分が大事にしていた海や浜を失ってきた、それは何十年も続いているということを語られたとき、自分自身も幼いころ好きだった実家の目の前の海の色合いが、今では失われていることを思い出しハッとしたからです。

実践されている皆さんのストーリーを聞いたとき、問題として難しいものがストーリーを通じて解決につながっていくかもしれないということを感じられたことがワークショップを経ての希望です。

そのような希望は3つの全ての団体のストーリー、戦略から感じました。ぜひ、3つの団体がそれぞれで違うミッションに対して進んでいきながら、同じコミュニティ・オーガナイジングを学んだ同志として、お互い助け合い励ましあう関係(ワークショップ参加者向けに言い換えるとすれば、関心と資源の交換がされる関係)が続くとよいと思います。3日間で、さらにオンラインでしか見たことがない相手を、チャットや実際のフィードバックで何度も応援しあえる関係だったからこそ、その関係がより長く太く繋がることで、よい影響・刺激をもらいあえるのではないかと期待してしまいます。

課題、問題への関心が強い今回の参加された皆さんだからこそ、少し関心が弱い層や、関わってもらうのに苦戦している相手をどう巻き込むかという壁にぶつかることもあると思います。そんな時に、第三者的に質問したり、コーチングをしあうことで、よりそれぞれの団体の戦略が洗練され、活動に参加したいと思えるキャンペーンへと磨かれ、達成したいゴールを実現できることを期待します。

みんないい顔してます!

レポート:久保田裕輝(本ワークショップコーチ)

開催概要

開催日時
2020年5月9、10日、6月6日
開催場所
オンライン開催(zoom)
MAP
主催
共催:パタゴニア日本支社/NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン
対象
パタゴニア日本支社の環境助成を受け活動している3つの実践団体
助成
米タイズ財団