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パブリック・ナラティブ・ワークショップ
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2019年6-7月慶應義塾大学リーダーシップ基礎 パブリック・ナラティブ講座レポート

2019年6月24日(月)、7月1日(月)、7月8日(月)の3週にわたり、慶應義塾大学南校舎にて「2019年度パブリック・ナラティブ講座」が開催されました。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティチュート寄付講座『リーダーシップ基礎』の授業内で行われる本講座は、昨年に引き続き今年度で4度目となります。

   “リー基礎”と親しまれる『リーダーシップ基礎』に参加するのは、「リーダーシップを学びたい」という思いのもと、高倍率の書類審査を通過して選ばれた約150名の学生たち。春学期の毎週月曜に、数多くの外部講師による3時間の講義を通じてリーダーシップについて学んできました。今回の「パブリック・ナラティブ講座」は授業全体の締めくくりとして位置付けられ、生徒たちは気合い十分です。

授業の特色として、授業の運営に昨年度受講生であった学生TA 19名が携わっている点が挙げられます。TAたちは、各班のメンバーに的確なコーチングを行うことができるように、1日かけて事前研修を行いました。TAの一部からは、「当日班のみんなにうまくコーチングできるか不安だなぁ」という声も上がりました。

こうして、それぞれの “期待”と“緊張”が入り混じる教室で授業が始まりました。最後の授業に行うパブリック・ナラティブの発表に向けて、ストーリー・オブ・セルフ、アス、ナウを3週にわたって順に追っていきます。学年・学部を問わず集まった学生たちは、同じ大学とは言え、これまで関わったことのない人ばかり。教室正面のホワイトボードには、「授業内で話した個人的なことはここだけに留める」という共通ルールが記載されました。

最初は自分自身のことを深く語り合うことに抵抗がある学生もいる様子でしたが、TAによるモデルスピーチを参考にしながら個々のストーリーを共有していきます。すると次第に、目を輝かせながら互いの話に興味を示していく様子が見て取れました。船越さん(法学部3年)は、「勇気を持って困難をさらけ出すことで、真の価値観が伝わると気づいた。」と語っていました。

一見、異なるコミュニティーから集められた学生たちに共通点はないようですが、ストーリー・オブ・アスの講義で、「リーダーシップを学び、成長したい」という初心を教室にいる全員で共有できたとき、これまでにない一体感が生まれました。

また回を重ねるごとに、TAだけでなく積極的にコーチングに挑戦する学生も多く見られました。TAの吉井さん(経済学部3年)は「自分がコーチングの主導権を握るのが難しいほどで焦りました。」と話すほどでした。

そして迎えた最後の授業、他の受講者が見守る中、一人ひとりがパブリック・ナラティブを発表しました。真剣な表情で語る姿からは、コーチングを素直に受け止めながら準備を重ねてきたことが伝わってきました。

最後には「コーチングを受けることで、自分自身のことを客観的に見つめることができた。」「壮大なテーマだけではなく身近な小さな出来事でも人々の心を動かすことができることを知った。」といった学びを共有することができました。そして何よりも、彼らの生き生きとした表情が、学びの充実感を表しているように思います。コーチングに励んだTAとして、受講生が自分自身と向き合うことに前向きな姿勢を示してくれたことが、何よりも嬉しく思います。

リーダーシップを発揮する上で、人の心を動かすことは不可欠です。今回熱意を持って取り組んだ受講生たちは、それぞれが所属するコミュニティーでパブリック・ナラティブを“武器“に、活躍してくれることでしょう。

長谷栞里(慶應義塾大学 法学部政治学科4年・リーダーシップ基礎TA)

開催概要

開催日時
2019年6月24日,7月1日,7月8日
開催場所
慶應義塾大学
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主催
慶應義塾大学