2017年8月26-27日の2日間、京都市上京区の同志社大学今出川キャンパスにて、関西の社会福祉協議会職員等の有志による実行委員会(CO×関西for社協)主催により「第2回社協職員のためのコミュニティーオーガナイジングワークショップ」を開催しました。
昨年の12月に「第1回社協職員のためのコミュニティーオーガナイジングワークショップ」を開催してから約8か月。第2回として開催した今回のワークショップには、前回同様「地域福祉の実践に活かしたい!」という思いを持った社会福祉協議会の職員27名のほか、福祉職、NPO・NGO関係者、研究者、大学生など、総勢35名が集まりました。立場や経験、年齢は違っても「地域を、社会を、より良くしたい」という思いは一緒です。
講義と演習を繰り返す2日間のワークショップは、この2日間の学びの基礎となる「コーチング」のモジュールから始まります。コーチングとは、「相手が目指すゴールを達成できるための責任を負う」こと。参加者全員が2日目のゴールまで走りきれるように、講師や各班のコーチはもちろん、参加者同士でコーチングしあいながらお互いの学びを助け合います。
そして、“戸惑い”と“気づき”の両面が最も多かったのではないかと思うのが、「ストーリーオブセルフ」。特に「当事者主体」が基礎にある福祉の仕事の中で、支援者が「私の物語」を語ることは普段は余りありません。
「私を突き動かす価値観は何なのか?」「その価値観を得た体験は何なのか?」
コーチやグループの仲間とともに自分への問いを重ね、戸惑いながらも少しずつ「私」を言葉にしていく参加者。お互いの価値観を共有し、価値観をベースにした模擬チームづくりへとつながっていきます。
チームメンバーの「関係構築」、「共有目的づくり」など、ワークショップではチームづくりに大切な要素を自分たち自身が模擬体験しながら学んでいきます。各グループではチーム名の他に、チームの一体感をつくる掛け声=「チャント」をつくります。
*チャントが決まるとチームの一体感もグッと増していきます!
そして緊張と不安の中走り抜けた1日目の最後は、それぞれがこの1日目を振り返りながらストーリーオブアス(=私たちの物語)を語るトレーニング。会場にいる私たちが共有した体験、そこから見える価値観は何なのか。私たちをつなぐ物語を語ることで、会場に不思議な一体感が生まれます。
2日目に入るとワークショップの進み方もいよいよ加速。タイムプレッシャーに追われながらも、各チームで設定した「ゴール」に向けての戦略を練るトレーニングに入っていきます。
全7チームからそれぞれ、チームで考えたオーガナイジングキャンペーンを言葉やイラストを使って発表する時間は最高に盛り上がる瞬間です!
そして、2日間を締めくくる最後は、“パブリックナラティブ”。
私の物語(セルフ)と私たちの物語(アス)と今直面している課題(ナウ)をつなぎ、一人ひとりが魂を込めてキャンペーンへの賛同を募る2日間の集大成の“語り”です。
自分の幼少期の体験を語った人、
仕事を通じて目の当たりにした困難を抱えている人の姿を語った人、
そして、会場の私たちが持っている共通の価値観を呼び覚ます問いかけ・・・。
最初は「自分の物語」を語ることに躊躇があった参加者が、自らの価値観を開示し、会場に語り掛ける姿には大きな勇気と希望を感じました。参加者が語ったナラティブは、自分の原体験と、今支援者として向き合おうとしている課題とが非常に近い方が多く、ゆるぎない信念をもってこの仕事に向き合っていることを感じさせました。そして「自分を語る」ことはその根幹に触れるものであるということ、だからこそ、その語りがきっと聞く人の心にも強く響くものになる、と感じずにはいれませんでした。
「合宿のような2日間だった!」
「これまでは住民の方に“お願い”ばかりすることに、遠慮を感じていたが、この2日間で考えが変わった。」
「価値観を共有することで同志になる、ということを学んだ」
「実践の中で少しずつ自分の力にしていきたい」
参加された皆さんは、それぞれの実践の場を持っている方ばかり。2日間のワークショップを乗り切った皆さんの言葉から、この2日間の学びや繋がりをこの場だけのものにせず、明日からの実践の中で活かしてこそ意味があるのだと感じています。実行委員会では今後、受講者とともに“ワークショップのその後”を歩むため、実践の共有の機会やワークショップの振り返りの場を設けていきたいと考えています。
*今回のワークショップに向けて、第1回WS参加者と実行委員の有志で作成したCO用語を解説するガイド。その名も「翻訳コンニャク・ガイド」!WSの学びを支えました。
また、今回のワークショップでは、昨年12月に開催した第1回ワークショップの参加者のうち、実に6名がコーチへ初チャレンジしています。また、実行委員会からも2名がモジュールの講師やモデルを初めて務めました。このワークショップの運営においてもスノーフレーク型でリーダーシップが広がっていることを実感しています。
*今回のワークショップ運営チーム「パッションHEROS」。合言葉は“よろしく勇気!”
福祉やまちづくりに携わる私たちは、今、社会の狭間で時間の流れに取り残され、あらゆる生きづらさに直面している人の姿を毎日のように目の当たりにしています。福祉やまちづくりに携わる人たちが、このコミュニティオーガナイジングの手法を実践に活かすことで、先行き不透明なこの社会の中で、確実に小さな変革を起こしていけるとわたしたち実行委員会のメンバーは信じています。
「弱さを強さに変え、市民の力で社会は変わる。」
その実感の輪を関西で広げていくために、わたしたち自身も新たな同志を増やしながら、第3回のワークショップの実現に向かっていきたいと思っています!
文責:実行委員会 さいき なお(A班「多様レンジャー」サブコーチ)