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2020年12月18日
当事者の声は最大の資源(あだにーコラム#11)

みなさん、こんにちは。
COJ代表理事、安谷屋(あだにー)です。

約1か月ぶりの更新ですが、11回目のコラムです。7月にこのコラムを書き始めたのですが、もう随分昔に思えます。今年はコロナ禍にいて、今までに経験したことのない時間の流れのように感じています。みなさんはどのように12月をお過ごしでしょうか?

COJは2021年2月に、今年度2回目となるオンラインワークショップの開催を決め絶賛準備中なのですが、最近そのワークショップのグループワークで、コーチが参加者に必ず問う「同志が直面している困難は何ですか?」「具体的に誰がどこでどんな顔でどう困っていますか?」の質問に通ずるお話を聞き、とても印象的でした。そのことを書こうと思います。

抽象的な不安より、今当事者に起きていることに目を向ける

先日、上智大学グローバル・コンサーン研究所からのお知らせに関心をひかれて視聴したオンラインイベント「日本・同性婚法制化へのみちしるべ〜訴訟までとこれからについて〜」。「一般社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」の代表理事である寺原真希子さんの、日本で現在進行中の同性婚法制化を目指した訴訟までとこれからについてのお話を伺った後、上智大学の学生団体「クツシタカラ」、公認サークル「くまのみ」の学生と寺原さんの対話という内容でした。

当事者である学生が、次のように寺原さんに質問しました。

「同性婚を法制化したら社会が変わってしまいそうで不安だから賛成できないと言われたら、どんな風に返事をすると良いですか?」

これに対しての寺原さんの回答がとてもピンと来ました。そのまま記憶できていないので、思い出しながら私の受け取り方で表すと、変わってしまいそうという不安は抽象的。何がどうなることが不安だとおそらく本人も言えないはず。その不安よりも、今法制化されていないことで社会に存在を認められていないかのように、パートナーと結ばれても祝福もされないとか、暮らしやすい海外に行けば?と家族にさえ言われてしまうというそういう現実の方に目を向ける必要があると伝えよう、そういう主旨でした。

寺原さんのお話の中に当事者のことばがいくつか紹介され、登壇していた学生も当事者として自分の体験を語ってくださって、そういう一人ひとり個別の経験(問題)を解決していくことが本来の目的であることが身に染みるイベントでした。

当事者に起きていることをどう伝えるか~「情景を描く」とは

ワークショップ参加のご経験がある方は聞いたことがあると思います。ワークショップで学ぶリーダーシップの1つ目、ストーリーの共有では、自分がリーダーシップをとって行動しようと思い立った経験を話すとき、説明ではなく情景が浮かぶように話そうとトレーニングをします。

また、4つ目のリーダーシップ、創造的な戦略を考え始める最初の段階では、同志が直面している困難を絵に描く(オンラインの場合絵に描くとしたらどういう場面?と問う)ワークをします。「高齢化」「気候変動」、このようなことばでも緊急性は伝わりますが、それによって何が起きているかを考えることで更に「今すぐ行動しなくちゃ」「最初にこれを解決したい!」と解決したい問題がはっきりします。

直面する困難の絵

私たちは魔法使いでも強大な権力の持ち主でもないので、大きな変化をいきなり起こすことは難しいので、自分の思いに共感して仲間になってくれる人とつながり、最初に取り組む問題を決めて、小さな変化を積み重ねていくのがコミュニティ・オーガナイジング(以下CO)です。

当事者の声にはチカラがある

ひとりではできないことを仲間と、一気に求める社会には変わらないから小さな変化を積み重ねる、COはそういう手法です。この手法に欠かせないものが当事者の声なのだなと思います。

・35人学級化
・GoTo停止
・選択的夫婦別姓の文言削除
・性交同意年齢16歳への引き上げが難しい状況

例えばこのようなニュースを耳にしたとき、その当事者たちの声を、意思決定者はどのくらい聞いたのだろうかと思います。その決定の先に誰の幸せを思い描いているのだろうと思います。

私たちは当事者の声をチカラに変えて、私たち自身がほしい未来をみんなで創れるよう、2月のワークショップではもちろん、私たちの活動全てを通して、手法と勇気を届け続けたいと思います。

ワークショップと登壇シンポジウムのご案内

社会変えたいと思っている人ってこんなにいるんだ
日常生活の中では空気を読んだり、意識高いって思われたくなかったり、自分一人何かしても変わらないと思ったり、圧倒的な権力の前にあきらめたりして、でもそれは本意ではなくてモヤモヤしている人たちが、このワークショップで同じ思いの人の存在を知り、一緒にモヤモヤを晴らす手法つまり【コミュニティ・オーガナイジング】を学びながらつながって、一緒に何かをしたいと思えたり互いを応援するようになったりする。その感じがたまらなくて私はこの場を作り続けています。ぜひご一緒しましょう!

来年1月16日開催です。パネリストの一人としてお声がけいただきました。こちらもオンライン開催、どこからでも視聴できます。一緒に考える時間を過ごせたらうれしいです。

2020年12月18日(金)安谷屋貴子


  • COJの
    vision:仲間と一緒に変えていく、という希望に満ちた社会へ
    mission:人々のパワーで変化を起こす手法と勇気を届ける
  • COJ共同創設者 鎌田華乃子著『コミュニティ・オーガナイジング-ほしい未来をみんなで創る5つのステップ(英治出版)』11月12日発売!!
  • 年末年始の営業について:弊団休暇期間 12月26日(土)~1月3日(日)
  • 感想やコメントなどありましたらぜひ、私へのメール(email hidden; JavaScript is required)などでお寄せください。
  • COJは主催事業(主にワークショップ)と委託事業(ワークショップや社会へのアクションの伴走・サポート支援)を行っていますが、みなさんからの月額寄付/スポット寄付によって支えられています。寄付を通して一緒に社会に希望を届けましょう(こちらからご寄付いただけます)。