2019年3月13日~4月1日まで「水先案内人」として乗船し、「全体向け講座(75分)」を2回、「ストーリー・オブ・セルフ(私の物語)を作るワークショップ(70分)」を1回、「地球大学ゼミ(90分)」を4回、実施しました。そのレポートを2つに分けて行います。①では全体向け講座とワークショップについて、②では地球大学ゼミについて報告します。
このクルーズは2018年12月26日に横浜港を発ち、17の寄港地をめぐるものです。また「SDGs」をテーマに掲げ、気候変動や貧困について、寄港地での出会い、船上でのプログラムなどを通して学び、考えられる、そんな作りになっていました。
私はそのクルーズの最後から3番目の寄港地であるタヒチから乗船し、洋上期間が長いことを活用し、およそ100日間でインプットしたことをどう、船を降りてからの実践につなげられるのか、そのための方法を学ぶ場づくりが主な使命でした。ストーリーの力と戦略を学ぶ場を作り、「船を降りたら食べ残しは絶対しないようにする!」のような「個人でとりあえずできることはやるけれど、この旅で感じた課題解決にはつながらないような気がする…」という状態ではなく、「できるかも!」という思いを持って旅を終えることができる状態を目指しました。
全体向け講座は1回目でコミュニティ・オーガナイジングの概要と実践事例(岩手の「まんまるママいわて」の事例を今回も使わせていただきました!)を話しました。一人ではできないことを、「スイミー」のようにみんなの力を合わせて成し遂げるには何が必要なのか。ストーリーの力を「ジェームス・クロフト」さんの動画で実感し、雪の結晶のように広がる、一人だけががんばったり力を持っていたりするのではない「スノーフレーク・リーダーシップ」が今まで足りていなかった要素だと気づいた、実施後に数人の参加者と話してそんな感触を持ちました。
2回目では、ストーリーの力に焦点を当て、人は行動するとき、認識的な理解と感情的な理解が必要で、その感情的な理解を引き出すのがストーリーであること、そのストーリーの構造や作り方を話しました。また、1回目の参加者かつ地球大学のゼミ参加者でもある20代のJさんに、ストーリー・オブ・セルフを作ってもらってコーチングして、2回目の講座の中で発表してもらうこともできました。この旅を通して「“はし”渡しプロジェクト」を個人的に実施したJさんは、人と人のつながりを大事に思っています。なぜ、いつからそう思うようになったのか、そのきっかけになった出来事はいつで、誰がいて、どんな気持ちだったか。次々に私が投げる質問に根気強く考えて、200人ほどの参加者の前で語ってくださいました。
予定にはありませんでしたが、実際ストーリーを作ってみる場があった方が学びが深まるということで、急遽ワークショップを、2回目の講座の後(別日)、実施しました。12人が参加し、3人グループでお互いのストーリーを聞き、質問によるコーチングをし合う場でした。また他の企画と重なって参加できなかったというKさんとSさんのふたりに、補習を行うというおまけも。Kさんは、船内で「毛筆で漢字を1つ。思いを残しましょう」という企画を運営していたのですが、用意してきた半紙がなくなってしまったり、書いた人みなさんに作品を返すときに一言メッセージを付けたり、「どうしてそこまでやるの?」と周囲が思うくらい一生懸命でした。ストーリー・オブ・セルフを作ることを通して、「なぜ自分がそうまでしてやり遂げたいのか」を考え、そう思うようになった経験を詳細に語ることで改めて、「この企画、最後までやり遂げよう!」と思うことができたと話してくださいました。
ピースボートの全体講座のほとんどが、日本語、中文、英語に対応していて、スピーカーが日本語の場合は同時通訳、英語の場合は逐次通訳、スライドも3画面でそれぞれの言語で表示されます。そのため、事前に「CC」と言われる通訳チームとの打ち合わせがあり、講座内容を共有します。それがだいたい講座の2日前くらい。そして講座では、打ち合わせで共有していないことは話さず、早口にならないように話す必要がありました。これは、いつも時間を気にして早口になったり、その場で思いついたことをよく話す私にとっては、少しだけ窮屈でした(笑)。また日本語文化圏以外のみなさん向けにお話しをするのも初めての体験でした。
ピースボートでもレポートを作成くださいました。良かったら合わせてご覧ください。レポート②に続きます…