コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン設立趣旨書
あなたの住む場所から200mも離れていないところで、誰にも気付かれずにこの世を去り、しばらくの間みつけられない人がいます。一ヶ月後から職場に復帰しなければならないのに、保育園探しに明け暮れる家族がいます。先の震災から3年、いまだに制約の多い仮設住宅に暮らし、家も仕事も先ゆきが見えない人々がいます。
「問題はいつか有能なリーダーが現れて解決してくれる」
では、いつまで「自分が期待するリーダー」を待ち続ければいいのでしょうか?
「いつか、、、」という幻想を捨てなければいけません。自分の人生は自分の選択と行動で形づくられるように、自分たちの暮らす社会も自分たちの選択と行動で形づくられるものだと私たちは考えています。
もちろん、望む社会をめざして行動を起こしてもすぐにそれが実現するとはかぎりません。私たちコミュニティ・オーガナイジング・ジャパンの発起人たちにも自分のいるコミュニティを良くしようとし、失敗した苦い経験があります。自分の職場を良くしよう、NPO業界の声を政策に反映させよう、生活困難に直面している人のくらしを改善しよう。でも思うようには上手くいきませんでした。そんな時、私たちはコミュニティ・オーガナイジングに出会いました。そして、志を共にして行動する多くの仲間を得ることと、その仲間の力を戦略的に使う考えが欠けていたことに気づきました。問題に気づいた最初の人が立ち上がり、仲間を増やしてコミュニティをつくり、力を生み出し、その力を戦略的に使って社会を変えていく手法。それこそが、私たちが望む社会に近づく指針となるものだと確信し、日本で実践し、広めていこうと決意しました。
コミュニティ・オーガナイジングは特別なことではありません。人々は古くから、一人ひとりの小さな力を合わせてより良い社会を実現してきました。アメリカの公民権運動やインドの独立運動、日本でも公害に関する市民運動などもその一つです。それらに共通するものを探っていくと、次の5つの大切な要素がみえてきます。
① ストーリーを語る
② 人間関係を構築する
③ チームをつくる
④ 戦略をつくる
⑤ アクションを起こす
実は、これらは誰でも日常的に行なっていることですが、それを意図的かつ効果的に行なってリーダーシップを発揮することが重要なのです。
私たちは、リーダーシップは学ぶことができ、すべての人にリーダーシップを発揮できる能力があると考えます。一人のカリスマリーダーではなく、お互いに支え合う、人と人との強いつながりを持つリーダーをたくさん生み出してはじめて、社会は私たちが望む方向に動いていくのです。
私たちがコミュニティ・オーガナイジングに希望を感じているのは、自分たちの望む社会を実現する可能性を秘めているからというだけではありません。実現の過程で、問題に直面する人々が課題解決に主体的に取り組むことで、自分の能力を開花させ、自信を持ち、強い絆で結ばれた仲間を得て、希望のある豊かな人生を送ることができるからです。
すでに社会を良くする活動をしている方には、コミュニティ・オーガナイジングを活用し、あなたの仲間のリーダーシップや主体性を育て、協働し、人々の人生を豊かにしてほしいと思っています。
「変えられない、力がない、行動の仕方がわからない」と思っている方は、いつまでも「有能なリーダー」を待ち続けるのではなく、あなたの仲間と力を合わせて、行動を起こしませんか。
自分たちの望む社会をめざして、今こそ行動する時です。最初から上手くいくことはないでしょう。しかし、諦めないでください。行動を起こし、失敗から学び、勇気を持って共に進んでいく仲間がここにいます。
2014年1月27日
Community Organizing JAPAN 発起人一同