1月末に続き、京都では今年二度目の開催となりました。NPO・社会福祉協議会・大学生や学生の労働問題に取り組む大学院生など、様々な方面で活躍されている方々、総勢17名に参加いただきました。
初日、朝から京都は蒸し暑く気温は30度に迫ろうという中、8時半の開場と同時に参加者の方が続々と到着しました。それぞれがこの二日間への期待と不安を胸に、トレーニングの開始を待ちます。
9時になり、いよいよ二日間のトレーニングがスタート。初めに参加者とコーチが円になり、チェックインを行いました。一人1分で、日頃の活動や今の気持ちなどを共有します。
「普段は人と一緒に行うワークショップのようなものは苦手だが、思い切って参加した」
「二日間のスケジュールを全てキャンセルしてこの日に備えた」
などの声が聞かれました。
そして、いよいよ講義が開始。導入は「コミュニティオーガナイジングとは何か」について。50分と長めの講義ですが、参加者の皆さんは適宜メモを取りながら、講師の問いかけにも積極的に答えていました。
導入の講義が終わると、チーム(今回はA〜Dの4チーム)に分かれて、コーチング、昼食を挟んで、ストーリオブセルフ・関係構築・チーム構築のトレーニングを行いました。COのトレーニングで重要なことは、“自転車に乗ってみること”。“質問とパラフレーズ”のみで行うコーチングや、自分の価値観をこれまでの経験に基づいて話すストーリオブセルフなど、初めて取り組むCOのトレーニングに戸惑いながら(そして、CO独特のタイムプレッシャーと戦いながら)も、参加者はそれぞれのモジュールに懸命に取り組みました。
特に、お互いの資源と関心を交換する関係構築のモジュールでは、
「相手の関心や価値観にたどり着くことがとても難しかった」
「すぐにお互いの価値観を交換でき、関心と資源の交換までスムーズに至った」
など、参加者それぞれが自分の得意な分野と苦手な分野をはっきりと意識するような場面もありました。
1日目最後のモジュールであるチーム構築では、トレーニングを進めていくうちにチームに一体感が生まれ、チャント(チームに勢いを与える掛け声など)を各チームで披露するときには、一日のトレーニングを乗り切ったことへの達成感や充足感がどのチームにも漲っていました。
初日の最後は、全員で振り返りを行いました。
「自分がオーガナイジングするだけでなく、される側も体験することで、気づきが多かった」
「やっている業種や経験が違っていたので、話の核心に入るまでにすごく時間がかかった。どんな質問をしたら核心にはいれるのか」
など、お互いの学びを共有しました。
初日の夜に行われた懇親会は過去最高の参加率でした。コーチも参加者も一緒になって、今日一日の振り返りや、自分が普段行っている活動の話など、話題が尽きず大変な盛り上がりを見せました。
2日目はストーリーオブアスから。17人の共通体験からいかに“私たち”を感じられるアスを語ることができるのか。“自転車に乗ってみる”一日がまた始まりました。二日目は初日とは変わって、チームメンバーがお互いに打ち解けて学び合いも増えてきます。ストーリーオブアスの後は、戦略を立てるモジュール。各々が取り組む課題をCOの戦略メソッドに落とし込み、大ゴールを設定し、戦略的ゴールを決め、それに向けてのキャンペーンを考えていきます。チームメンバーからのコーチングを受け、戦略的ゴールを設定し直したりキャンペーンを修正したりしました。
「どのように人々をオーガナイズするか」
「そのキャンペーンは同志の力を高めているのか」
など、コーチの鋭い指摘もありながら、徐々に戦略を固めていきました。
戦略の全体振り返りで、講師の方が言った
「戦略的ゴールを達成できないのであれば、それはキャンペーンとは呼びません」
という言葉には、社会を本当に変革していくためには戦略がいかに重要かということが表れていたように感じました。
二日間の最後のモジュールは、ストーリオブセルフ・アス・ナウを結びつけるリンキング。タイムプレッシャーの中、最後の力を振り絞って参加者17名がそれぞれのパブリックナラティブを作り上げました。モジュール終了後、各チームで隣の人に二日間の感謝を伝える“ありがとうの輪”を行ってチーム演習は終了しました。
パブリックナラティブの全体振り返りは印象的なものになりました。参加者の一人が語ったパブリックナラティブに参加者コーチを含め全員が引き込まれました。普段語ることのない、けれどその人の価値観を作り上げることになった経験が語られ、その方のストーリーが一気に流れ込んでくるようでした。
二日間の締めくくりは、全員で円になってのチェックアウトでした。二日間の学びの共有を一人1分で行いました。
「不安もあったが参加して本当に良かった」
「この学びを生かすためにも、落とし込みをしっかりと行いたい」
などの声が聞かれました。
今回のトレーニングは、1月よりも参加された方は少なかったものの、前回と変わらぬ熱気が会場を包んでいました。また、今回は京都で活躍する2名が講義を務めたことも、この京都にCOが根付き始めていることを感じさせる非常に印象的なことでした。
参加者それぞれは活動の場が違っても、今回の学びを生かして、各々が取り組む課題解決が加速することを願っています。
南本広大(サブコーチ)