ワークショップ

WORKSHOPS

参加者の声
コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ
VOICE #36 facebook twitter
青木 克也
京都大学大学院博士後期課程1年(労働法専攻)
関西学生アルバイトユニオン 執行委員
http://kanuni.jimdo.com/

ワークショップに参加した動機

私は、関西圏の学生アルバイトを中心とした労働組合「関西学生アルバイトユニオン(かんユニ)」の活動に結成以来携わっており、労働相談や団体交渉、大学や高校でのワークルール教育などを行っています。
今日では、親世代の収入の減少や高額の学費負担といった経済的な事情から、多くの学生が学費や生活費を賄うためにアルバイトをする必要に迫られており、そのような学生を使い勝手の良い労働力として職場に強く拘束する「ブラックバイト」が大きな社会問題となっています。かんユニにも多くの相談が寄せられ、日々当事者の方々と共に解決に向けた取り組みを行っていますが、自身の問題が解決した後でなお組合活動に関わり続けるという方は非常に少なく、個別事案の解決を通した組織化に成功していないという問題意識を抱いていました。
そこで、労働運動にも広く取り入れられているというコミュニティ・オーガナイジング(CO)の理念や実践方法を学ぶことによって、私たちの抱える課題に対する示唆を得たいと思い、折よく京都で開催されたワークショップに参加しました。

ワークショップに参加した感想

COのワークショップでは、パブリック・ナラティヴのお手本となるいくつかの映像を視聴します。これらが本当に感動的で、スピーチが終わったときには思わず映像の中の人々と一緒に拍手をしてしまいそうになりました。
人の心を動かすスピーチには、人の心を動かすだけの(表現可能な)理由が必ずあります。それをまずは分析的に、次いで体系的に学ぶことができたのが大きな収穫でした。たとえ崇高な志を持っていても、聞き手に「準備」をさせないまま核心を話すだけでは、伝わるものも伝わらなくなってしまいます。自分の価値観をいかに相手と共有できるか――その観点からのストーリーの組立てが決定的に重要であることがわかりました。

今まで参加してきたワークショップとの違い

学部生の頃、国家公務員の立場で社会問題に取り組みたいと考えていた時期があり、中央省庁が主催するワークショップに何度か参加したことがありました。ほとんどのワークショップは、チームごとに議論して政策立案などを行い、それを発表して職員の方からフィードバックを受けるというオーソドックスな形式でした。良質な議論ができたことも少なからずありましたが、チーム内のさらに一部の人が主導で進める形になり、なかなか主体的に議論に参加できない人が出てきてしまうことが多かったです。
COのワークショップは、2日間にわたって行われるということもあり、多種多様な形式のグループワークを体験することができました。具体的には、1対1でのコーチングの練習、1人ずつチーム全員に対して語りかけるパブリック・ナラティヴ、ファシリテーターを交替しながら行うリーダーシップチーム構築などがありましたが、そのすべてにおいて、1人1人が時間制限に注意を払いつつ自分の頭で考え、発言するという主体的な関与が必須となります。これほどエネルギーを使い、かつ力のつくワークショップは初めてでした。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいか。

上述のように、まずは自分の団体の組織力アップにつなげたいと考えていますが、それは新たな仲間を増やすというだけではなく、既存のメンバーのリーダーシップを強めることをも含めています。価値観を主軸としたCOの理念や、「ティーチング」と「コーチング」の違いなどについての認識を共有し、またメンバー1人1人がよりよく主体性を発揮できる組織にしていくための運営方法の改善にも努めていきたいと思います。