ワークショップ

WORKSHOPS

参加者の声
コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ
VOICE #27 facebook twitter
福士 浩
NTTコミュニケーションズ
Zero HUBアカデミー主宰

ワークショップに参加した動機は?

大切な人が統合失調症である、当事者として、何かしようと思っても何もできないもどかしさを、何十年もずっと抱えてきました。20年以上の間社会から隔離され、病院の隔離病棟で暮らして、辛く、絶望感に満ちた毎日を送ってきたのだと思います。最近、その大切な人と病院で話す機会が何回かありました。病気ではあるものの、嘗てと変わらぬ純粋な心をもつ姿に心を打たれ、今動かなくて何時動くのかという気持ちになりました。

すべての人は平等の機会を与えられているのになぜそれを受け入れる社会が存在しないのだろうか?なぜ、統合失調症を抱える家族は辛い思いを明らかにせずに肩身がせまい思いで生きていかなければいけないのか?そして、その思いがいつの日か、それぞれが、”自分らしく”、共に生きていくために必要なセイフティネットを作りたい。病を自分でコントロールできなくなった大切な人が、ハブにされない世の中を作る。そして、病や障がいを持った大切な人のためのオリジナルな未来を、立ちはだかる様々な困難にチャレンジしながら、自らが先頭に立ち、創造していける、胆力を持ち備えた人材を作る。そういった強い思いに至りました。その時、知人から紹介された、コミュニティオーガナイジング 代表理事の鎌田さん経由で、本ワークショップの存在を知り、そして、サイトで コミュニティオーガナイジングの思想の素晴らしさに共感し、ぜひやってみようという気持ちになり、参加させていただきました。

ワークショップに参加した感想は?

期待を遥かに上回るとても有意義な2日となりました。スタッフの方々のキビキビとした動き、そして、プロ意識に先導され、MBAで勉強したときと同じような気持ちで、頭をフル回転させて、課題に取り組むことができました。リーダシップ実践についての5つの方法のうち、「戦略立案」、「関係構築」、「“ストーリー・オブ・セルフ”、”ストーリー・オブ・アス”、”ストーリー・オブ・ナウ”の3つのストーリ構築」を学びました。分刻みでアウトプットを出す必要があり、頭が真っ白にならないように、時間をかけずに意見を書いていけるように、必死で頑張りました。時には、空欄もできてしまうこともあり、自分の不甲斐なさに、落ち込むこともありましたが、何しろ、落ち込んでいる時間すら与えてもらえません。常日頃、今の時代には思考の速さ、レスポンスの速さが大切だと思って訓練していたつもりでしたが、まだまだ、未熟であることを痛感しました。特に、”ストーリー・オブ・アス”が難しかったです。朝から晩まで, 8-9時間集中して講義を受け、クタクタになっていたので、もうお腹一杯になっていたのですが、何故か、まだ学びたい気持ちの方が強く、可能であれば、夜通しでも続けてやりたかったという気持ちになっていました。それくらい有意義な2日間だったということです。なぜ、そういう気持ちになれたのかを自分なりに考えてみたのですが、理由は3つあります。①希望を持たせてくれるワークショップであること、②スタッフの方の意識とスキルの高さ、③参加された方々のマインドの高さ、になります。また、私自身、2回、参加者の前に立ち、発表をさせていただく機会をいただき、とても励みになりました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

私自身、これまで、たくさんのワークショップに参加してきましたが、ここまで本格的な社会課題解決のためのワークショップには参加したことがありませんでした。社会解決するためには、様々な専門性を持った方々の協力が必要で、共感を得て、巻き込みながら、大きな活動へとつなげていく必要がありますが、ストーリをもって巻き込む力、そして、それを戦略的に行うフレームワークを教えていただき、かつ、それを自分が作ろうとしている取り組みに当てはめていくことができたため、とても有意義でした。本ワークショップが他のワークショップと比べて違う点は、課題をする前に、スタッフの方が手本を見せていただき、それを参考に課題に取り組めた点、そして、スタッフの方の意識とスキルの高さの下支えがあり、参加者を置き去りにせず、課題を進められた点だと思います。各チームは5〜6名から構成されるのですが、そこにリーダとサブリーダに2名のスタッフが参加します。スタッフの皆さんは社会課題活動に自らがリーダとして取り組んでいる方々で、自らがコミュニティオーガナイジングの手法をご活用されているので、質問に対するご回答やアドバイスがとても丁寧で的確でした。また、スタッフの方々がとっても関係性がよく、チームワークが良い点も、目につきました。コーチングの演習前に、参加者の前で、コーチの方が、”悪いコーチ例”と”良いコーチ例”について、お手本を見せてくださったのですが、二人ともに息の合ったロールプレイを繰り広げていただき、とても感動しました。コーチング演習のみならず、他の演習でのお手本も素晴らしかったため、普段から関係性よく、お仕事をされている雰囲気を感じ取りました。そういった雰囲気から、参加者が自ら進んで対話を始める場のステージが上がるワークショップとなっていったと思います。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

私は、本ワークショップで、下記のオーガナイズセンテンスを作成いたしました。

「統合失調症の社会的入院をゼロにし、統合失調症を抱える家族の方々が”、自分らしく”、共に生きていくために必要なセイフティネット創りを成し遂げるために、当事者をオーガナイズし、セミナーなどを通じリーダ候補者の発掘、育成を進めることで、来年の3月31日までに、鎌倉で社会的入院をなくしていくために立ち上がる、20名の胆力あるリーダ創りを達成します。」日本は世界一精神科病棟が多い国で、世界の精神科病床の総数185万床の内、日本には約32万床のベッドがあり、世界全体の約5分の1のベッドが日本に存在しており、それに比例し社会的入院患者もダントツの多さです。とてもハードルが高いテーマですが、世界を見ると、イタリアでは、1970年代に脱精神科病院を掲げて政策転換し、1998年には全ての精神科病院が機能を停止し、世界で唯一、精神科病院が「過去になった国」があります。幻覚や妄想が主症状となる「統合失調症」は、100人に1人は発症する疾患で、意外と身近な病気です。この疾患は、家族や友人、地域社会といった生活環境によって悪化もすれば、改善もしてゆくのがわかっており、それは、脳機能への生物学的な治療だけでは解決できるものではなく、疾患の根本にある「人間的な苦悩」に対する人間的なかかわりや、社会的にその個人の存在が承認されることによって、改善されてゆくと言われてます。自分ができる範囲から徐々に活動を広げていくために、コミュニティオーガナイジングでの学びを活かし、より多くの困った人たちを、助けていけるように頑張っていきたいと思います。