ワークショップ

WORKSHOPS

参加者の声
コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ
VOICE #105 facebook twitter
山本 尚範
名古屋大学医学部附属病院救急科

ワークショップに参加した動機は?

僕の信頼する友人がCOJの活動をされており、勉強になるよと聴いていました。僕は救急医療をしています。救急外来は現代の駆け込み寺のようになっています。様々な困難を抱えた方がやってきます。医療が解決して差し上げられるのは困難の一部に過ぎません。救急外来から見えて来る、多くの人たちの「生きづらさ」を解決するために人々に働き掛け組織化する方法を学びたいと思っていました。また新型コロナウイルスの世界的流行が起き、医療崩壊を防ぐための自粛で多くの人が孤立し生活苦に陥っています。医療の大切さを再認識する一方で、医療だけでは多くの人たちをお救いすることは出来ないという無力感も増しています。このワークショップに参加して、多くの社会活動家と出会うこと自体が刺激や励ましになるし、先達が実際にどうやって人々を組織化し社会を変えてきたかを学びたいと思いました。

ワークショップに参加した感想は?

非常に楽しかったです。理由は3つあります。ひとつには人々を組織化する方法論について体系的に学べたこと。もうひとつは実際に自分達で人々への呼び掛けの仕方を考え、スピーチする実践を体験出来たこと。最後に社会を良くしたいと考えて実践している様々な立場の方と出会えたことです。参加者の多くが様々な社会的活動をされていました。彼ら・彼女らはいずれも多様性を重んじながらも、それぞれの職業や能力(職能)だけでは解決出来ない問題に立ち向かっていました。人々を勇気づけ共に社会を変えていく方法について、お互いに意見交換しながら学ぶことが出来ました。温かい雰囲気の中で対話が出来、それ自体に励まされました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

医療系のワークショップに参加することが職業柄多いです。そうした専門系のワークショップでは参加者の関心事と背景がほぼ同じです。コミュニティ・オーガナイジング(以下CO)のワークショップで「COを学びたい」という思いは参加者共通ですが、その人の具体的な関心事や背景は多種多様です。これが最大の違いです。この多様性ゆえに最初は共通の関心事や相手の考え方や可能性を見出すことに労力を割きました。しかし、人々を組織化する上でこのプロセスは欠かせません。むしろ同一性の高い集団で解決出来る問題以外の問題に取り組むのが、社会を変えるためには必要だと思います。そのことを実体験出来たことがこれまでのワークショップとの大きな違いでした。参加者の皆さんがその多様性・個性を非常に重んじる方々ばかりだったので、とても楽しい時を過ごすことが出来ました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

人々がより良く暮らすことが出来る社会を作るためにCOを活かしたいと思います。新型コロナウイルス感染症パンデミック下の2020年8月、日本の自殺者数は前年比1.5倍と急増しました。人々の孤独化や生活苦は強まっていると思います。気付かれずにいた日本社会の絆の弱さが表に出てきました。医療従事者だけでも行政関係者だけでも企業や労働者だけでも、あるいは地域住民だけでも絆は快復しません。あらゆる職能(職業と能力)を持った人々がこれを機に、より暮らしやすい、人々に居場所と出番がある社会をどうしたら作れるのかを考える時期に来ています。そしてそれを具体的な行動に結び付け実際に社会を変えていく必要があります。その際にCOの方法論は必須アイテムだと思います。このワークショップをきっかけにもっとCOを学び、より良い社会の実現のために活かしていきたいと思います。