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コミュニティオーガナイジングを地域福祉実践に活かす(金田喜弘 2019年4月ニュースレターより)

 「リーダーシップとは、他者が不確実な状況の中で目的を達成できるようにする責任を引き受けること」コミュニティオーガナイジング(以下、CO)のワークショップの初日、この言葉を聞いた時に私は心が大きく揺さぶられました。

 私は地域福祉実践に関する研究をしており、そこでの社会福祉専門職、特に社会福祉協議会(以下、社協)の役割について関心を持っています。ソーシャルワークでは地域を基盤とした実践を進める際に、コミュニティワークと言われる社会福祉援助技術が用いられます。COの考え方や手法が地域福祉実践にも活かせられるのではと思い、2016年にワークショップに参加しました。

 COでは、当事者(同志)がスノーフレークを形成しながら各々がリーダーシップを発揮しネットワークを生み出します。そして当事者が抱えている課題を明確にし、解決に向けて戦略を立て実践しています。このプロセスや視点はコミュニティワークやソーシャルワークの展開過程を重なる部分が多いと感じました。

 今日、日本では一人暮らし高齢者や障がいがある方の暮らしづくりや、ひきこもりの方の生活支援、子どもの貧困など様々な生活課題が横たわっています。当事者の想いや願いに耳を傾け、その人を中心に据えながら地域住民と共に解決に向けた取り組みを展開する際には、このCOが効果的であると確信しました。これまで地域福祉実践は連綿と全国で取り組まれてきました。しかし、そこでの要素や軸が体系化されていない(あるいは体系化しづらい)という課題がありました。COは一定、それを体系化したことで「職人技」から学べば誰でも用いることができる「普遍的」な手法に転換したことは大きな意味があると思います。これまでの実践にコーチングやパブリックナラティブ、関係構築や戦略などのモジュールが重ねあわせることでさらに大きな力になると思います。

 現在、ワークショップを受講した社協ワーカーのメンバーと共に、これまで進めてきた実践をCOの切り口で分析を行なっています。COの考え方は大いに役立つと言いましたが、そのまま全てを使い切るのは難しいこともわかってきました。日本の風土や文化・歴史と切り結びながら再整理することが求められると思います。この学びの蓄積が、社協にとどまらず、それ以外の実践の指針になるものができればと考えています。一方で、関西には社協だけではなく、多様な団体や想いを持った方々がすでに受講しています。具体的なゴールは様々ですが、誰もがより良い社会を作っていきたいと願っています。COを共通言語として関西のエリアで組織化し、これまで受講した同志の応援と、さらなる実践の広がりを目指して動き出していきたいと思っています。


金田喜弘
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