ワークショップ

WORKSHOPS

参加者の声
コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ
VOICE #88 facebook twitter
風岡 宗人
龍谷大学大学院政策学研究科後期博士課程、認定NPO法人環境市民、京都市北区大宮学区社会福祉協議会環境部会・大宮学区ビジョン策定委員会、等

ワークショップに参加した動機は?

学生時代から環境NGO等でのボランティアや専従スタッフ経験を通し、社会の持続可能性について考えてきました。環境NGOでは自治体(市区町村)への政策提言や人材育成に携わってきましたが、ずっと違和感も持ち続けてもいました。その違和感は、「地域社会」という抽象的な対象にアプローチするだけでいいのかな、というものでした。人や経済を動かす制度やシステムを変革するという視点ではなく、地域社会を構成する一人ひとりが主役の市民として生き生きと生きていける場をつくることが、社会の持続可能性を高める基盤、ドライビングフォースになるという確信を持つようになりました。いろんな経緯があって、京都市北区のある小学校区で活動をはじめました。地域コミュニティに共通する課題として、地域活動の担い手の高齢化、固定化があります。活動の輪を多様化するために地域活動のサポーターを発掘したり育てたり、2年ほど活動してきましたが、思うように活動が広がり深まらない状況が続く中で、「コミュニティ・オーガナイジング(CO)」という言葉にピンときた、というのが最初の動機でしょうか。といってもそれがどんなものなのか、実際にワークショップに参加してみるまでよくわからないまま、当日を迎えたというのが正直なところです。

ワークショップに参加した感想は?

元来自分のことを語ること、情熱を持って語りかけることに苦手意識をもっていました。それにワークショップが始まってしばらくはCOでなぜ「自分のことを語ること(ストーリー・オブ・セルフ)」が大切なのか、よく理解できないでいました。しかし、COの対象が「取り組もうとしている問題」ではなく「同志」にあるという理解、「セルフ」から「ナウ」そして「アス」に自分の視野が広がっていくにつれて、「あーこういうことだったんだ」と納得するものがありました。最後の発表会で光栄にも指名していただいて全員の前でストーリー・オブ・ナラティブを披露できたのもとてもいい思い出になりました。ワークショップが終わって数日は脳内でドーパミンが出続けていた感じでした。今でもストーリー・オブ・セルフは得意にはなれていませんが、今後支援を得るためのストーリーを描くとき、共感を広げるための要素として、あえて自分自身を冷静・客観的に見つめることは意識的にできるようになったと思っています。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

最も印象的だったのはタイムキープの厳格さ。全体会での講師の皆さんも時間どおり。グループワークでもいきなり難しいテーマを提示されて「3分で考えて2分で発表」など、最初は「えっっ!そんなの無理、なんて強引な」と思いつつ、プログラムはどんどん進んでいきますから不平を言っている暇もなく、怒涛のように2日間が過ぎていった感じです。でももっと大変なのはグループワークを回す側のスタッフの皆さんだったと思います。いろんな背景やニーズも持つ受講者一人ひとりに寄り添って、なんとか理解しようと努め、的確なコメントを返す、という鮮やかなスキルにも感心しました。1年かけて議論に議論を重ねてプログラムをつくりあげる、というやり方も、他ではあまり聞かないし、そんなモチベーションをつくり出す手法自体がCOを体現しているだろうな、と思います。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

地域コミュニティにおける活動の主人公はあくまで地域に暮らす当事者の皆さん。しかし日常の忙しさに追われ、現状が当たり前になってしまうと見るべきものが見えてきません。私はよそ者として、そんな見えないものを見せる働きかけをしていきたいと考えています。そのためには頭でっかちだとか、極端だとか思われても、それが自分の存在意義だと開き直って人と関わっていければいいな。しかしそんな状況をつくる前提として主人公としての私を受け入れてくれる同志、仲間を増やしていく必要があります。そのためにいつもCOの理念や手法を参考にしていきたいし、その同志たちにもCOについて伝えていけるようになりたいと思います。そのためには場数を踏むこと、これしかありません。時として凹むこともありますが、自分と同志を信じて地道に活動を続けていきます。