ワークショップ

WORKSHOPS

参加者の声
コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ
VOICE #16 facebook twitter
太田 啓子
弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会  湘南合同法律事務所)

ワークショップに参加した動機は?

 自民党憲法改正草案に強い危機感があり、この実現を止めたいという思いから、2年ほど前から、出張憲法勉強会「憲法カフェ」を各地で行っています。目的は、「憲法のことなど初めて勉強する」という初心者に、憲法のことをまず知ってもらい、憲法改正をめぐる政治状況に主体的にアプローチする市民を増やすことです。

 カフェやバー、幼稚園など意外性が高い場所で行う、女性誌に記事を掲載してもらうなど色々なことをしてきて、ある程度手ごたえはあるのですが、今までは全て独自に手探りの試行錯誤でやってきたので、手法論自体をきちんと勉強してみて憲法カフェ拡散に生かしたいと考えました。

 やってきて一番の課題は、まだ関心がない層へのアプローチ方法です。この社会では政治にアレルギーが強く、憲法というテーマ自体が堅く縁遠く感じられがちなので、その敷居をどう下げるか、どうアプローチするのが効果的なのか考えるヒントがほしいと思って参加しました。

ワークショップに参加した感想

 とても参考になりました。勉強になったとはいくつもありますが、まずは冒頭、「市民運動で一番大事な資源はなんだと思いますか?」「時間なんです」ということで、何をやるにもきっちりタイマーで時間を測って、一定の時間で、粗くてもとにかく必ずアウトプットを出すということ自体、とても意味があると感じました。アウトプットについて必ず自分以外の人に見てもらって意見をもらい、ブラッシュアップしてまたアウトプット、というプロセスで、内容がどんどん洗練されていくのを見るのは面白かったです。

 一番印象に残ったのは、他の方の話を聞いていると、話者自身が一番感情を揺さぶられた瞬間が情景が浮かぶようにビビッドに表現され、話者が何に最も揺さぶられて動こうとしているのかという動機が、感情を抑えずに語られると、聴衆もそれに共鳴して揺さぶられるということでした。性別も年代も職業も全く違い、共通の属性が少なそうな方のお話に共鳴し揺さぶられるのには偶然ではない、何か必然的な理由があるのだと実感しました。個人的な経験や感情は属人的で限定的であるかのように感じがちですが、おそらく、掘り下げていくと何か普遍的なものがあるということで、それを表現できると他の人の気持ちも揺さぶるということなのかなと感じました。掘り下げていく過程がコーチングなのだと理解しています。自分で自分にコーチングすることはなかなか難しく、やっぱり誰かにコーチングしてもらうことが有用なのだとも実感しました。

COを今後の活動にどう活かしたいか?

 今まで私がやってきた憲法カフェで、よく、参加者から聞かれた感想に「すごい熱意だと思った」「すごい熱量の人がきた」というようなものがあり、話の内容自体ではなく私が熱くなっていることについての感想があったので、私の話の内容がまだ稚拙で、そちらがより印象深くなっているのかと少々恥ずかしく思っていたところもあるのですが、これでいいのかもと、何かこの現象に裏付けを与えられたように感じました。ありがたいことに憲法カフェ参加者が次の憲法カフェを企画したり、新しい参加者をよんでくるという連鎖が続いているのですが、それは、私がなぜこれを一所懸命やって熱くなっているのかという動機が伝わって、一緒に熱くなってくださっているからということなのかなと思っています。

 憲法についての解説内容や話し方をブラッシュアップすることももちろんなのですが、この、私がどうしてこういうことをやるようになったのかということをより簡潔に、よりビビッドに、話す工夫をすると、「一緒にやりたい」と共鳴して頂ける効果が高くなるのではないかと感じているので、そのように活かしてみたいと思っています。