新年のご挨拶(代表理事 鎌田華乃子)2016年1月ニュースレターより

新年あけましておめでとうございます。皆様が心安らかな新年を迎えられていらっしゃいますよう。

昨年、COJは新たな挑戦「コミュニティオーガナイジングを実践を進める」ことに取り組みました。ワークショップの内容や事後のフォローアップを工夫したり、既存の組織にCOを導入したり、実践する個人をコーチングする仕組み作りをしました。その成果が少しずつでており、3月27日(日)にオーガナイザー・ギャザリング(次の記事参照)で皆様と共有させて頂きたいと考えております。

年末にまた違った一つの形で表れました。別途号外で連絡させて頂きましたが、日経ビジネスの「次代を創る100人」にCOJを代表して私が選ばれたことです。大変光栄なことですが、メディアに取り上げられると、どうしても1人の人間にスポットライトを当てがちです。でも、どんな活動も1人の力では成し遂げられません。今回100人に選ばれたのは、まぎれもなく、COJの活動に密に関わってくれた運営メンバーのお陰です。

COへの深い理解と愛でCOJを陰ながら支えてくれている最初からの同志、室田信一さん。
自分のもつ人脈と資源を惜しみなくCOJにいつも投下してくれる、池本修悟さん。
事務局長として法人としての基盤と信用をしっかり支え、メンバーを安心させてくれる、林大介さん。
人がやりたがらない調整や雑務もこなし、チームリーダーも務める山本佑輔さん。
実践応援の方法がわからない不確実な状況に飛び込む勇気をもち、東北での実践応援を成し遂げた松澤桂子さん。
相手にしっかり寄り添いCOの導入を福祉法人等の既存組織で成し遂げた小田川華子さん。
いつも俯瞰した視点でCOJの状態をみて提言し、自らもアジア地域にてCO実践をする依田純子さん。
COの本質を深く洞察し、常にワークショップや教える事の改善を続ける笠井茂樹さん。
広い人脈でCOJの活動を広げてくれ、且つ広報という挑戦に取り組む荒川あゆみさん。

そして昨年末には今までコーチとして活躍してくれた會澤 裕貴さん、中山由里さんが運営メンバーに加わり、杉本篤彦さんがプロジェクトリーダーとして加わってくれています。古川美幸さんは理事としていつも適切な視点を提供してくれています。

そして運営メンバーから広がり、運営ボランティアで関わって下さった方々、ちゃぶ台返し女子アクションのメンバー、COJと共にCOを自分の地域や現場で広げ実践しようとしている方々、評議員や会員の方々、約60名のワークショップコーチの方々、そして約740名のワークショップ参加者、共に歩んで来た皆様の力に他なりません。人々の力を信じるコミュニティオーガナイジングと、社会課題を解決しようと取り組む皆様の勇気が称えられ、今の世の中に必要とされていると認識されたと感じております。

【動画】 慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2015 「グローバルリーダー育成教育の最前線」

2015年11月21日に慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2015にて代表の鎌田がパネリストとして登壇した「グローバルリーダー育成教育の最前線」の動画が公開されました。コミュニティオーガナイジングとは何か、リーダーシップとは何かについて38分20秒あたりから30分程度で簡潔に説明しておりますので是非ご覧ください。

<登壇者>
慶應義塾大学教授:田村次朗氏
Institution for a Global Society株式会社社長:福原正大氏

※動画はこちらからご覧ください
http://gc.sfc.keio.ac.jp/cgi/flv/flv_play_gc_sp.cgi?2015_gc00005+14+1
鎌田のプレゼンテーションは38分20秒からです。

※ORFのHPです
http://orf.sfc.keio.ac.jp/2015/session/g-03/

冬季休業期間のお知らせ

誠に勝手ながら、当法人は下記の期間を冬季休業期間とさせていただきます。
何卒ご理解いただきますようお願い致します。

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■冬季休業期間:
2015年12月28日(月)から2016年1月3日(日)まで
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第4回コミュニティ・オーガナイジング主催ワークショップ(2016年3月5日、6日開催)

 ハーバード大学ケネディスクールマーシャル・ガンツ博士が開発した、市民一人一人のリーダーシップをはぐくむ『コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ』を東京で開催いたします。

2014年1月7日NHKクローズアップ現代で特集され話題になりました。
※クローズアップ現代のサイトはコチラ
【“物語”の力が社会を変える】
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3448_all.html

<コミュニティ・オーガナイジングとは>
市民1人ひとりの力は小さいが、沢山の力が合わさることで強い力が生まれ、問題解決に立ち向かえるようになる。
そのために市民1人ひとりが主体性を伸ばし、共有する価値観のもとに協力し、共に学び成長しながら、問題解決を目指すことをコミュニティ・オーガナイジングといいます。

<対象>
社会問題の解決に関心のある方、草の根活動を広げたい方
※NPOリーダー、市民活動のリーダー、企業のリーダー(企業規模や役職に関わらず)、行政担当者など

<日時・会場>
【日時】
1日目:2016年3月5日(土)9時~18時00分(予定)
2日目:2016年3月6日(日)9時~18時00分(予定)
※2日間通してのご参加をお願いします

【会場】
日本財団ビル
(東京都港区赤坂1丁目2番2号)

<参加費>
社会人:3万円(早割あり)
学生:1万円
※参加費は二日間受講の費用です。
※本WSは二日間で1セットとなっております。

<お申込み・お支払い方法>
本WSのお申し込みは、下記Peatixのサイトよりお願い致します。

http://peatix.com/event/139379

<講師>
鎌田華乃子
特定非営利活動法人 コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン代表理事
横浜生まれ。11年間の会社員生活の中で人々の生活を良くするためには市民社会が重要であることを痛感しハーバード大学ケネディスクールに留学しMaster in Public Administration(行政学修士)のプログラムを修了。卒業後ニューヨークにあるコミュニティ・オーガナイジング(CO、普通の市民が立ち上がり社会を変えていく活動)組織にて市民参加の様々な形を現場で学んだ後、2013年9月に帰国。NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(COJ)を2014年1月に仲間達と立ち上げ、ワークショップやコーチングを通じて、COの実践を広める活動を全国で行っている。

<参加予定人数>
30名

板垣崇志

ワークショップに参加した動機は?

社会福祉法人が運営する美術館のディレクターをしています。知的な障害のある人たちによる独創の美術(アウトサイダーアート)からプロ作家の作品まで、多彩な表現をボーダレスに紹介します。また、傷ついた子どもたちに造形あそびのワークショップを届ける任意団体の活動もしていますが、子どもたちの悲しみを減らすため、社会にどんな変化が必要なのかを日々考えています。

美術館での事業の中心は当然ながら美術作品の紹介ですが、その目的としては文化振興以上に社会福祉への貢献に重点を置いています。目的の中核は共生的な社会の実現です。

共生社会とはなんらかの「社会的マイノリティ」の立場にある人々のみに利益となるものではなく(子どもたちもまた自ら社会に対して声を上げることができず、こうしたマイノリティと非常に近い立場にあります)、あらゆる人々にとっての本質的な福祉の達成に必要不可欠な前提であると考えています。

このような認識が社会に普及し、「人がマイノリティの立場にあることによって社会から疎外されないこと」が広く一般的な関心事となり、その為のアクションに参加する市民を増やしたい。その際に、コミュニティ・オーガナイジングの手法はきわめて重要な効果を持つのではないかという期待から、今回の参加を希望しました。

ワークショップに参加した感想は?

ストーリー・オブ・セルフ…自分のルーツを語ることで他の参加者の皆さんと出会う。十年付き合った友だちにも一度も話すことがなかったかもしれない記憶を、今日初めて出会う人たちと共有しあう。そんなワークショップの導入に、まず新鮮な発見がありました。社会課題への挑戦の動機には、一人ひとりの痛みの記憶があるのではないか。一人の人の痛みの経験は、時として他の多くの人の痛みを取り除く行動を生み出す。そして多くの他者はその痛みを共感する力を持っており、そこからさらに多くの行動が生み出される可能性がある。人間には、こうしてよりよき存在となっていく原動力が内在されている。そのことを確認する発見でもありました。

そうやって出会った人たちとチームメートになり、一緒に擬似的なキャンペーンを創出していくプロセスの中、とても短い時間で「仲間」の一体感が生まれていく。どの人も世界をよりよくしていこうとしている人たち。この出会いの喜びも大きかったです。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

常に実践を念頭においたワークショップであること。成果を出すための、具体的で明確な前提条件が示されてあること。学んだ基礎をもとに、じつに多彩な実践への応用が無限に派生すると感じました。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

自分の仕事領域で、エンパワメントされることで立ち上がることができる当事者たち(同志)とは誰か。ここに複数の可能性がありそうです。楽しそうで、社会に素敵な変化を生み出せる方法は何か、考えています。

たとえば「知的障害者」と呼ばれる立場にある人たちが、自ら社会に発信する若干のスキルと機会を得ることで、自身の人間性によって多くの人とつながっていくには。

あるいは子どもたちが自身の言葉で、行動で、大人たちにもっと思いや願いを届けるには。

もうひとつ。人間の社会に属しながら、もっとも発言と主張の機会を持たない様々な「どうぶつたち」の幸福を、人間社会の課題として多くの人の関心事とするには。

志田香奈

ワークショップに参加した動機は?

自分が今まで生きてきた経験と保健師として働き出会った女性を見て思ったことは、もっと世の中の女性が自分を認めてもっと自分を大切にできたらいいな、もっと自分の幸せを感じることができたらいいな、ということでした。ならば、自分は何ができるのか、何をしたらいいのか…ただ漠然としていて、それを明確にできたらいいなと思っていました。参加の決定打は、今活動している「まんまるママいわて」の代表が勧めてくれたこと。実際、どんなワークショップなのか前日までよくわかっていませんでしたが、「自分探し」みたいな気持ちで参加してみようと思いました。

ワークショップに参加した感想は?

2泊3日、私の中で「チャレンジ」がテーマでした。いつもは、ゆっくり考え一歩一歩進んでいく私ですが、短い時間に追われながら、なんとか必死についていき、考えがまとまらなくても「話してみよう」「やってみよう」のチャレンジでした。でも、勇気を出してチャレンジしたその経験は私の自信になりました。また、ワークショップは、いろんな場所から、いろんな年齢層のいろんな関心事を持った人たちの集まりでした。一見わかりあえそうにない人とチームを組んで作り上げることが本当にできるのかな、と不安に思いました。でも、お互いにコーチングをしたり、関係構築をしていく中で、チームとしての信頼ができ、みんなで共有目的を作り上げ、それに向かっていくパワーのすごさに感動しました。「いける!」「変われる!」と自分の中で思えました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

「大切な出会い」ができたことだと思います。今までは、同じ分野で似たような仕事をしている人たちとのワークショップが多かったのですが、このワークショップで出会う人たちは、そうではなかった。なのに、話してみると人それぞれにいろんな困難があり、価値観があり、その中にも共通したところがあって…。出会いに感謝できたワークショップでした。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

私が活動している「まんまるママいわて」の代表が実際にCOを実践しています。チームが増えていっている中、私はひとつのチームに加わり、関係構築をし、戦略を練っていこうとしています。実践してみると、難しさに直面することも多いですが、ワークショップで思えた「いける!」「変われる!」の思いを忘れず、これからも活動に活かしていきたいと思います。

COJメンバーからのメッセージ(副代表理事 池本修悟)2015年11月ニュースレターより

秋が深まってきましたがいかがお過ごしでしょうか。

多くの方々に支えられコミュニティ・オーガナイジング・ジャパン(以下COJ)は全国各地でワークショップ開催や社会課題の解決に取り組む実践者の伴走をさせていただき、少しずつですが活動の基盤を整えて参りました。

一方で、「コミュニティ・オーガナイジング」が日本ではほとんど知られていないため、一言ではイメージをつかんでいただけず活動内容をしっかりと伝えていくことに力を入れていく必要性を強く感じ、ニュースレターを配信させていただくことにいたしました。

ニュースレターではCOJ設立趣旨に書かせていただいた「問題に気づいた最初の人が立ち上がり、仲間を増やしてコミュニティをつくり、力を生み出し、その力を戦略的に使って社会を変えていく手法」をいろいろな角度からお伝えして参りたいと思います。

是非皆様と情報交換を行っていくメディアにしていきたいと思いますので、感想や情報提供、忌憚ないご意見などお寄せいただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

COJ副代表理事 池本修悟

ちゃぶ台返し女子アクション Vol.1 (鎌田華乃子)

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※2015年11月ニュースレターより

ちゃぶ台返し女子アクションというコミュニティオーガナイジングプロジェクトをコーチの大澤祥子さんと初めました。

オーガナイジング・プロジェクトを一言で表すと?
日本女性のおかれている環境や、期待されてる役割を変えたいと思う女性達と、自分らしく生きられる社会を目指し、自分の問題が個別事情ではなく女性共通の問題であることに気付き、「声を出していいんだ!」という実感を得ることにより、今の女性の声を代表する組織を立ち上げることを目指します。2016年2月28日に東京駅の前で女性を取り巻く問題を見える形にして、それをひっくり返す「大ちゃぶ台返し」をします。

ウェブサイト:https://www.facebook.com/chabujo/

誰にとって、どんな緊急の課題があるのか?
2014年の男女平等ランキングは142カ国中、104位。政府では女性の活躍推進を進めていますが、本当に女性がその能力を発揮することができる環境が日本にはあるのでしょうか?育休、産休は取れ、託児所もそれなりに整ってきました。でも自分の時間を全て会社に捧げないとやりがいのある仕事が出来ない、会社に迷惑が掛かると思い仕事を離れる女性。日々子育てと家事に追われ自分のための時間が取れない女性が沢山います。最近託児付きの女性向けイベントが日本で増えましたが、北欧では女性向けイベントで託児は不要、母親以外の人たちが子どもの面倒をみるのが当たり前なのです。制度は整って来ても沢山の「こうあるべき」に女性達は捕われています。日本女性は誰かのためではなく自分の人生を生きているのでしょうか?そして日本社会は人口の半分を占める女性たちの資源を無駄にしていないでしょうか?

どうしたら課題が解決するのか?
今日本には子育てや仕事をする女性の声を集め、政治や社会に届けられる組織がありません。それには当事者である女性自身が声を上げ、その声が束となっていく必要があります。でも生活や仕事の問題や疑問を話す場もないので、「私が我慢すればいいんだ」「私が悪いんだ」「しかたない」と女性は言葉を飲み込んでしまいがちです。でも「何に私たちは抑えられているのか」と深い対話をしていくと問題がみえてきます。その問題をちゃぶ台返しながら叫び、変えて行くためのアクションを宣言する、というのが最初のステップです。しかも話してみると、女性の抱える生きづらさは根っこが同じ、今の社会の仕組みに沢山の問題があります。多くの「変えたい!」という声を集め女性の声を代表する組織を立ち上げる事で、女性の問題を公の問題として認識し、政策を変え、多くの女性に勇気を与えるアクションを取って行き、女性自らが女性としてほしい環境をつくっていくことを目指します。

広がって行く組織をどう作って行くのか?
コアチームである「戦略練る隊」を中心に、1)対話を通じて繋がる、2)女性を取り巻く問題を学ぶ、3)勇気を与えるアクションをする3つのチームを立ち上げて行きます。まず首都圏での組織作りを目指しますが、将来的には地方にも広げて行きたいと考えています。

現状と今後の展望
コアチームが7名、そのうちCO学習者が5名という強力なチームが立ち上がりました。そのコアチームで11月8日にキックオフイベント「Women Negotiating〜Noから始まる女性の交渉〜」を開催。そこでさらに多くの女性が仲間に加わりました。今後も活動を広げ、2/28の大ちゃぶ台返しに向けてパワーを溜めて行きます。

 

※2015年11月ニュースレターより