COJメンバーからのメッセージ(COJフェロー 山本佑輔)2016年3月ニュースレターより

COJでWSチームのリーダーをしております山本佑輔と申します。NLは初登場?で文章ながら緊張しております。

COJの2期目も3月末で終わろうとしています。本当に1年間があっという間で驚くばかりです。

昨年度と比べて今年度の事業の大きな特徴はコミュニティ・オーガナイジングの実践及び実践支援に力を入れたことだと思います。その集大成が、既にご案内しております3月27日の「オーガナイザー祭り」になります。昨年度のCOJの事業はほぼワークショップのみであり、今年度は我々のビジョン・ミッションを実現するために、大きなチャレンジをした1年でした。

一方でワークショップは昨年度ほどの回数を提供はできませんでしたが、別の意味で着実な手応えを感じた事業でもあります。

1月末には関西で初のフルWSを京都の同志社大学で行うことができ、来年度に向けて受講してくださった皆さんでの自主的な取組みが関西で広がっていきそうです。まさに「スノーフレーク」とはこの事だと思います。テキストである「参加者ガイド」は改訂・改良を継続し10版を重ねるに至りました。

また何より実践及び実践支援を組織として取組むことで、間違いなくWSのクオリティもあがっていると、手前味噌でありますが思っております。まずは参加者としてWSを体験してくださった方が、次にコーチにチャレンジするという循環も確立・定着しつつあります。

3月5日、6日に開催しました第4回一般WSは本番の1ヶ月前に満席になり、受講の希望を頂いていたにも関わらずご参加頂くことが叶わなかった方が多数いらしたことはうれしい悲鳴でもあり、次年度に向けての課題・反省点になりました。本当に必要としている皆さんに、このメソッドを届ける努力をしていかなくてはならいと、責任をかみ締めています。

社会からのニーズにしっかりと応え、一人でも多くの皆さんに学びの機会を提供していきたいと考えております。そしてCOJは理論と実践のバランスを重視しつつ、今後もメンバー一同、頑張る所存です。

山口浩次

ワークショップに参加した動機は?

 これまで、社協職員としてコミュニティ・オーガナイジングの技術を学ぶ機会がほとんどなかった。職場では、長年、地域組織化を仕事にしているにもかかわらず、我流で進めていた。

社協の職員(管理職)として、コミュニティ・オーガナイジングを学びたかった。また、コーチングの技術の取得も自分のテーマであった。

ワークショップに参加した感想は?

手作り感があって、仲間同士で学びあっていく二日間は、時間に追われつつ、時間内でまとめて、仲間の中で報告することが楽しかった。仲間の報告を聴く事も勉強になった。仲間の変化を身近に感じることが出来るのも新鮮であった。

各ワークが、自転車の練習をしているような感覚で取り組めた。グループのコーチの適切な声かけにより、ゴールの方向性を変えるという経験をした。ゴールの設定の仕方や、同志という考え方は、ワークを進める中で大きな役割を果たしていることを実感できた。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

全社協、社会福祉士会、その他のワークショップに参加してきたが、どのワークショップとも一味違う感じを受けた。それは、少人数のグループにコーチがいる点にあると感じている。今まで参加してきたワークショップには、各グループに進行役がいることはあったが、あくまで進行役であって、ファシリテーターの意を汲んだコーチが入ることでワークが深くなることを実感した。

共有の時間と、みんなの前で成果を報告する時間も特徴的であった。私は、何度か報告するチャンスをいただいたこともあり、より深く体験が出来たように感じている。こうしたワークショップを私が所属している団体で活かしたいという気持ちが強くなった。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

私個人としては、今回の受講内容を大津市社協の地域福祉活動に活かしている。住民からの小地域での助け合い作りの相談や、地域に居場所を作りたいという相談に、コーチングや関係構築の聴き方、ゴールの設定と小さなイベントの積み重ねなどの方向付けをしたところ、大変喜んでいただけた。また、職員の日々の相談や悩みを聞く際にも、コーチングの技術は役立っている。

そこで、職場や、滋賀県、近畿地域の社協の後輩たちの研修プログラムにぜひとも入れたいと考えている。そのためには、今回参加したコーチや参加者の力を借りて、もう少し仲間を増やしたい。社協職員がコミュニティ・オーガナイジングを学ぶことの意味を「ことば」にして、夏ごろには、ミニ研修会を開催したい。そして、12月には、京都で社協職員のためのコミュニティ・オーガナイジング研修会を開きたい。詳細は、今後、コミュニティ・オーガナイジングジャパンの皆さんや、各方面の協力者と相談しながら進めたい。今回の受講を次に活かしたいと強く感じています。

大塚茜

ワークショップに参加した動機は?

 東日本大震災の復興支援の活動を行う団体の代表をつとめていますが、1000年に一度という大規模な災害、また日本初の原子力発電所の事故からの、復興とは何だろう、支援とは何だろう、と日々悩みながら活動しています。人々は、立場の違い考え方の違いで分断を起こし、疲弊し、生活の再建が進まない現状があります。到底、ボランティア精神や支援団体の活動だけでどうにかなるものでもなく、行政の力も市民の力も必要です。この国は災害が多いのは周知の事実。でも、それを救済する仕組みがあまりにも脆弱ではないか、と思うようになりました。コミュニティオーガナイジングは、そういう立場の違いを超え、人の心を動かして同志を作り、社会を変えていく方法だということを知り、ぜひ学んでみたいと思い増した。

ワークショップに参加した感想は?

 まず、自分が悩んでいたこと、「どうやって人の心を動かし、共感してもらえるか」ということに、論理と方法がある、ということが驚きでした。これまでは、個人の人間性、話法といったパーソナルな特性によるのではないかと思っていたからで、それがないこと・不足していることに無力感を感じていたからです。でも、論理と手法を学べば「誰でもできる」と講師から聞き、希望を見た気がしました。

資料や講義、実践のワークも洗練されていて、3人に一人という手厚いコーチの援助もあり、無駄のないスケジュールをこなしていくことは、ある意味とても達成感を感じられ、同じグループのメンバーとともに成長していっているような感覚を得ることができました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

 今までのワークショップは、個々の課題や活動の種類に分別されたものが多かったので、課題出し、共有、事例の紹介にとどまり、どうすれば具体的な解決になるか、という視点が不足しているように思います。「みんな大変なんだ」「自分だけじゃないんだ」「明日からも頑張ろう」というような連帯感は得られても、じゃあどうやって頑張るか、という具体にはなりにくいと思っていました。コミュニティオーガナイジングでは、どんな活動にも共通する土台で気を付けるポイントが論理的に順番に学ぶことができたので、すぐに役に立つのではないか、と感じました。また、自転車に乗るように、実践を通して少しづつやれば必ず身につきます、という言葉に励まされました。特にコーチングは、日々の活動だけでなく家庭の中でもチャレンジしているところです。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

 限られた時間の中で多くのことを学びましたが、まだまだ自分の整理が足りていないと思います。しかし、どのポイントの整理が足りないか、という視点を得られているので、以前より思考がまとまる気がしています。

まずは、活動を共にする仲間に対し、コーチングによって信頼関係を築きなおし、活動の基盤を強くして「私たちは何を目指して活動するか」という方向性を示していきたいと考えています。その過程で、多くの人に現状を知ってもらう機会を増やし、自分事として考えてくれる方が増え、災害や人生の困難を経験した人が、また新たな人生を踏み出せることを支援する制度や、社会そのものの実現につながるように語っていけたら、と思います。

高浜拓也

ワークショップに参加した動機は?

先行きの見えない困難な状況の中で、
目的を共有して、みなの気持ちを一つにして、
希望を見出し、力を引き出すことで、目的を達成するというCOの手法が、
まさに僕が社会の中で発揮したいやり方であり、それをぜひ身に着けたいと思って参加しました。

ワークショップに参加した感想は?

すごく学びの多い場になりました。

ひとつは、人を動かして目標を達成するための戦略的な思考法を実践的に学べたことです。

自分が解決したい問題は何か。その問題に直面する同志は誰か。その同志の関心事は何か。その関心事の資源を持つ者は何か。などということを順に考えていく流れを学び、パワーを物や性質ではなく、関心事と資源との間に生じる影響力として捉え、「力なき者たちが変革を起こす術」を突き詰めるCOの可能性を感じました。

また、最も大きな気づきは、「どんなに表面的に差異しかないように見える人でも、深い部分では価値観でつながり、協働しあえる関係にあるのだ」ということを心の奥から実感できたことでした。最近は、自分の目標に向けて、目の前の人と関わることが有益か否かを短い対話の中で表面的に判断し、後者はある種、関わる必要がないと区別する意識が働いていましたが、相手の価値観まで探求するコーチングの実践を通して、全く共通性のないように見える人と、共感しあえて、協働しあえることに気づきました。

今まで参加してきたワークショップとの違いは何ですか?

学び方が、概念について説明する「講義」、実践の手本を示してイメージを明確にする「見本」、チームに分かれて実践してみる「演習」、全体で経験知をシェアして学びを深める「振り返り」という形式でバランスよく進んだこと、また、自分自身の課題に対して、それを実践するためにはどうすべきかという個別的なテーマでも考えたことで、体系的に学んだ知識やスキルを、個別的に実践できる即戦力に変えることができたことです。理論は理解したもののいざ実践するときにどうすればいいかわからない、結局は精神論的な教えに終始した、というワークショップが多い中で、意味のある学びの場でした。

コミュニティ・オーガナイジングを今後の活動にどう活かしたいですか?

いつか自分が政治家を本気で志すときが来たら、政治、そして自分たちの生活の将来に希望を見出せなくなっている同じ世代の若者に対して、まさにCOの手法を用いて呼びかけると思います。なぜ、何もない無力で未熟な僕が、それでも政治家を志したのか。僕たちは今、どんな困難に直面していて、それを乗り越えるために、何をすることが必要なのか。その先にどんなワクワクする未来が待っているのか。語りかけ、仲間を創り、力なき者たちのムーブメントを起したいと思っています。

「コミュニティ・オーガナイジング」トレーニングin京都~社会を変える語り方・関係づくり・チームづくり・戦略・アクション~

立春を間近に控えた1月30、31日の両日にわたって、同志社大学今出川キャンパスの講義室を会場に、NPO法人場とつながりラボhome’s viとダイバーシティズン共催による、「『コミュニティ・オーガナイジング』トレーニングin京都~社会を変える語り方・関係づくり・チームづくり・戦略・アクション~」を開催しました。

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30名の顔ぶれは、労組職員、大学教員、東北大震災被災者支援団体、学生主体の国際人道支援グループなど、じつに多彩で、学生さんの参加が多かったのも印象的でした。また、京都、大阪、滋賀はもとより、遠く四国や九州からこのトレーニングめがけての参加者もありました。みなさん、活動地域や内容はさまざまなれど、ここで得た学びを実地で活かしたいという熱意をもった方たちばかりでした。

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 今回のトレーニングの特徴は、関西圏でコミュニティ・オーガナイジング(以下CO)を広めていこうという明確な意志をもって開催されたものであり、過去にCOのフル・ワークショップ体験済み7名のコーチ・デビューの場でもありました。また、COJコーチ陣と何度も話し合いを重ね、京都流にカスタマイズされたプログラム仕様で臨んだ、実験的な場でもありました。

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結果として、新しいチャレンジはとてもうまくいきました。最初に、場の空気を和らげ、これからのプログラムが円滑に進むよう、ティーチングチームと参加者全員で輪になって自己紹介をしました。その後、講義、演習へと入っていきましたが、それぞれのチームに分かれたコーチングでは、最初は戸惑いがちだった参加者のみなさんも、コーチを受ける前と受けたあとでは語りが変わるさまが、あちこちのグループで見受けられました。そして、そのことにコーチ陣が最も感動する、という場面が何度もありました。

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 また、負けてはいられないと、関係構築しかり、ストーリー・オブ・セルフもアスも、コーチが練習の成果をみせることができたためか、参加者もいい刺激を受け、とても印象に残るナラティブが披露されました。大震災で見た無情な光景を鮮やかに表現し、だからいま私はこの活動をしているのだと、困難・選択・結果をしっかり語ってくれた被災者支援チームのリーダー、いまの教育現場で直面した課題に向き合い、乗り越えた自身の体験とこれからの子どもたちへの夢を語ってくれた現役大学生、そのひとならではのナラティブの原石のようなきらめきに、会場が一体となって聴き入りました。

CO in Kyoto nomacchi 最後の「振り返りと共有」では、「ストーリーを語る大切さがよくわかった。フィードバックによっても深く学べた」「原体験に基づいて活動しているひとばかりで、感動した」「アスばかりをしゃべってきたことに気づいた。これからナウを語れるようにしたい」「COというひとつ大きな武器を手に入れたと思いました」といった、深い気づきと感動に満ちたメッセージが次々と発せられました。

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「まだ消化不良なので、今後消化する会をやってみてもよいのでは?」といった提案も飛び出すなど、参加者のみなさんが、これからそれぞれのフィールドにこの2日間の学びを持ち帰って、一人ひとりが何らかの形で活かしていってくれることを、確信しました。

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まさに、この場こそが希望にあふれ、これからが新しいスタートなのだということを、だれもが感じてくれたのではないでしょうか。

CO in Kyoto all

 新コーチたちは、早速「COワークショップ振り返りラボ」を開催します。この2日間をあの場でのことに終わらせず、これからにつなげてゆくことを、お約束いたします!

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 レポート: 西田那都花(コーチ)

日経Bizアカデミー 「社会起業家インタビュー ~社会問題に挑戦するイノベーターたち~」にCOJ代表の鎌田華乃子へのインタビューが掲載されました。 2016/1/22

日経Bizアカデミー「社会起業家インタビュー ~社会問題に挑戦するイノベーターたち~」にCOJ代表の鎌田華乃子へのインタビューが掲載されました。

内閣府 平成27 年度 子ども・若者育成支援のための地域連携推進事業「青年リーダー研修会」

2016年1月20日(水)〜1月22日(金)、東京都渋谷区国立オリンピック記念青少年総合センターにて内閣府主催「平成27年度 子ども・若者育成支援のための地域連携推進事業『青年リーダー研修会』」が開催されました。本研修会は昨年度より実施され、今年が2年目となります。今年も地域で中心的役割を担っている子ども・若者育成活動を行う10代後半から40代前半までの各種団体の青年指導者45人が都道府県各代表として一同に会し、合宿形式でリーダーシップや企画力の向上のためパブリック・ナラティブを学びました。

DSC_0827 参加者は子どもの自然体験活動を指導するボランティアや山形県の地域おこし協力隊隊員、子どもの放課後居場所つくりに関する活動をするNPOスタッフ等、一言で「子ども・若者育成支援」といってもその活動の内容は多岐に渡ります。最初はその多様性から会場内が一体となるようなパブリック・ナラティブを行うのは無理なのではないかといった不安が一部の参加者から伝わってくることもありましたが、ストーリー・オブ・セルフ、アス、ナウを班に分かれて順に追っていきコーチングを重ねるたびに、私たちは子ども・若者に安心感を持って生き生きと成長して欲しいといったアツい想いがあるのだという共通認識を私たちの中から見出すことができました。最後に行ったパブリック・ナラティブではより参加者一人ひとりの感情に届くような、そしてなによりも会場全体に希望の光が指すようなストーリーが次々に生まれていく瞬間に立ち会うことができました。これは参加者が個々に自分を見つめ直し、心の情景を粒さに描写するために言葉を探し、そして一貫したストーリーとして繋いでいくといった丹念な作業を真摯に行った結果であったと思います。

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参加者からは「時間に追われて言いたいことが言えないようなもどかしさがあったが、逆にそれだからこそ一生懸命考え最終的には言葉を紡ぎだすことができた。」といった感想や、「最初どのようなことを話していいか戸惑ったが、他の参加者のストーリーに感銘を受けて自分もどのように話していきたいか具体的にイメージすることができた。最後は自分なりにうまく話すことができた。」といった感想を聞くことができました。2泊3日という限られた時間内で一つのパブリック・ナラティブを創り上げる難しさを実感しつつも最後は充実感があったと前向きな言葉を聞くことができたのは非常に嬉しい限りです。会場の雰囲気も緊張感がありつつも終始良好で、参加者がそれぞれに学びの多い場となったのではないかと思います。

今回のパブリック・ナラティブ・ワークショップで特徴的だったのは昨年度参加者であった一期生4人がコーチとして各班のファシリテーションを担当したことです。コーチとして班のメンバーに寄り添いコーチングを行ったり、ストーリー・オブ・セルフやアスを壇上で話し共有することで、二期生にとってはより具体的で分かりやすいロールモデルとなったようです。

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冒頭で話したとおり、この青年リーダー研修会は今年が二年目です。一期生、二期生を合わせると100人弱のリーダーがパブリック・ナラティブの手法を学びました。私はこの青年リーダーこそがこの手法を元に日本における子ども・若者育成支援活動のメインストリームとなり一大ムーブメントを巻き起こすことを願ってやみません。今回の参加者の皆さんには都道府県の各所属に戻った後も今回の学びの成果を伝え続けて欲しいと思います。

河野摂

オーガナイザTIPS 『ハーバードで学ぶ「デキるチーム」5つの条件』(フェロー 会沢裕貴)2016年1月のニュースレターより

※このコーナーでは、ワークショップを受講頂いた方、オーガナイザーを志す方にとって活動のヒントとなるような内容をお届けします。今回は書籍の紹介です。
 
ハーバードで学ぶ「デキるチーム」5つの条件
J・リチャード・ハックマン
生産性出版
 
 
「我々は、チームワークが苦手である」
これが、この本の出発点であり、痛快で明確なハックマン博士のメッセージです。
私が最初にタイトルを見た時には、チームでやることを推奨し、その素晴らしさを説くとともにその方法を解説する普通のビジネス書であると思っていましたが、その予想は見事に裏切られました。
この300ページほどの内容は、論文調の文体と各セクションの最後に明示される豊富な参照元から研究と調査結果によって裏打ちされた事実を基に展開されていることが改めてうかがい知れます。
 
さて、ハックマン博士が示すデキるチームの条件とは、
(1)真のチームであること
(2)揺るぎない方針を持つこと
(3)チーム力が高まる構造を持つこと
(4)チーム力が高まる制度を作ること
(5)適切なコーチング体制を持つこと
の5つです。
 
「我々は、チームワークが苦手である」というメッセージの通り、人間の自然な振る舞いに任せていてはこの条件が自然に満たされることはないからこそ、意識的にこの条件を満たすようチーム・リーダーシップを発揮することが重要だとよくわかります。
普段の生活の中でチームで活動されることがある方は、この本の内容に沿ってチームの置かれている状況を分析することでチームの成果を高めるヒントが得られること間違いなしの一冊です
 
余談になりますが、この本の著者・ハックマン博士が、アメリカにおける社会組織心理学の第一人者であることをご存知の方は、そう多くないのではないでしょうか。
私自身、コミュニティ・オーガナイジングを学ばなければ、(恐らく人生の中で一度も)ハックマン博士の名前を目にすることはなかったのではないかと思います。
ハックマン博士は、コミュニティ・オーガナイジングの生みの親・ガンツ博士の指導教官であり、この5条件はコミュニティ・オーガナイジングの理論的骨格となっています。
コミュニティ・オーガナイジングでは何故、共有目的やノームを作るのか、コーチングが組み込まれているのか、そういった観点でこの書籍を読むことで、コミュニティ・オーガナイジングの理解がさらに深まると思います。

COJメンバーからのメッセージ(コーディネーター 杉本篤彦)2016年1月ニュースレターより

新年明けましておめでとうございます。
COJでは、昨年も多くのワークショップが全国各地で開催され、新たなワークショップ受講者やコーチメンバーも増え、また過去のワークショップ受講者の実践も全国各地で広まりつつあります。
一方で、ワークショップ以降、全国各地の現場に戻って、実践にコミュニティ・オーガナイジング(以下、CO)での学びや気付きを取り入れる難しさを感じながら、日々活動されている方も多いのではないでしょうか。私自身、ワークショップ参加者・コーチ・プロジェクト実践者として、少しづつCOでの学びや気付きを得て、手応えを感じながらも、実践に落とし込む難しさを日々感じています。
ワークショップを経て、全国各地・各分野で、自らの想いを語り、共感から仲間を増やし、社会課題解決へ行動を共にする仲間が増えていくことは、実践で直面する様々な困難にも立ち向かう上での勇気を与えてくれます。

COJでは、今年の3月27日に『オーガナイザー・ギャザリング』という企画を開催します。世界的なCOの潮流や、現在日本で行われているオーガナイジングキャンペーンの代表的な事例をご紹介します。またオーガナイザー一人ひとりが得られた実践からの学びや気付きを共有し、オーガナイザー同士が継続的に実践を応援できるような契機にして行きたいと思っております。みなさんのお力添えをいただけたら幸いです。

『市民一人ひとりが、自らの価値観にもとづいて能力を発揮し、そのパワーを結集することで困難や課題が解決され、さらにその挑戦が応援される社会』(COJビジョン)の実現へ。本年も宜しくお願い申し上げます。

実践!コミュニティ・オーガナイジング いわて終了(理事 松澤桂子)2016年1月ニュースレターより

7月から行っているCO実践プログラム※「実践!COいわて」が終了し、12月4日に岩手県一関市で発表会を開催しました。

※ピアコーチング、一対一のコーチング、スキルトレーニングを定期的に行うCOJの実践者応援プログラム。今回は9名が参加し、岩手グループ(5名)と東京・ベトナムグループ(4名)に分かれて実施しました。岩手での取り組みについてはNewsLetter準備号でも紹介しています。

実践者5名がこれまでの実践の道のりと成果、今後の展望について発表し、聴衆から多くの鋭い質問が挙がりました。「私も住民主体の活動を目指しているので、発表を自分の立場に置きかえて、どういかせるかを考えた」、「(実践)することに意味があると感じた。次は自分が取り組む番だと思った」といった感想を聞き、COという“得体の知れないもの”を活動に取り入れることに挑戦し切った実践者の思いや苦労が伝わったと感じました。

実践者の4か月間を振り返るコメントを一部ご紹介します。
「人を巻き込む際のポイントを、実践を通じて学んだ」、
「質問やフィードバックを受けたときに”なぜそういわれたんだろう”と考え直すことで、自分の言葉がどう伝わったのかを振り返ることができた」、
「ワークショップだけではわからなかった”相手が持っているものを引き出す質問”の仕方がわかった」、
「型を一通り学んだので、今後は自分なりに手法をアレンジして活用したい」、
「ナラティブや関係構築はできるようになったので、これからは戦略をもっとうまく活動に織り込めるようにしたい」

今後は今回の5名に加え、岩手県内外から新たな仲間を迎え、実践者同士が支えあい、背中を押しあう活動を続けていきます。